661話
「ローラン支部を任せられているヴィーと申します。以後お見知りおき下さい」
「俺は冒険者のコウで隣に居るのがパーティを組んでるライラだ。よろしくな」
そんな目の前に現れた猫の獣人は自身の役職と共に名乗りつつ、片手を差し出されたので、コウも続く様に自身の名を名乗りながら隣に立っていたライラのこともついでに紹介していき、しっかりと握手を交わしていく。
また握手を交わすと、ヴィーの手は毛並みが綺麗に手入れされているためか、ふわふわとして何というか触り心地が良く、ずっと握っていたい気持ちとなってしまう。
「あの...」
「おっと...悪いな」
そんなふわふわとした毛並みの手をにぎにぎと握り返していると、ヴィーから戸惑うように声を掛けられたため、コウはバツが悪そうな表情を浮かべ、反射的に謝りながらパッと握手を交わしていた手を離した。
「ごほん...ではお話もあることですしお部屋に案内させて頂きますね」
そしてヴィーは咳払いをして気まずくなった空気感を払うと、今回の本題を聞くためにコウ達をこれから近くにある受付ではなく、別室に案内してくれることとなった。
ということで、そのままコウ達は別室へと案内されることとなったのだが、到着したのはそれなりに上質な椅子や机が配置された高級感があふれる部屋となっていた。
「お好きなところへお掛け下さい」
「よいしょっと...じゃあ早速ここに来た理由なんだけど...」
そしてヴィーから好きな場所に座って良いと言われたため、1番柔らかそうなクッションが張られている椅子に腰を掛けると、早速ではあるが今回この場所に訪れた理由と聞きたかったことについてコウは話していくことにした。
どんなことをヴィーに話したのかというと、ギルドマスターのジールからそれなりのランクの冒険者となったことだし、新たにローランで拠点となるような家を構えたらどうだ?という話を持ちかけられたことと、本当に冒険者は購入したりするのか?などである。
「なるほど...お話は理解致しました。確かにコウ様の言う通り多くの冒険者の方々は拠点となるお家をご購入しておりますね」
「あーやっぱりそうなんだな」
そんなコウの話をヴィーは理解してくれたようで、質問に対して丁寧に答えてくれたのだが、やはりというか高ランク冒険者になると、例外はあれど、殆どが拠点となる家を購入するみたいである。
「ただクランを作られていない若しくはパーティーの人数が少ない冒険者の方々には都合が悪いところがありますね」
「そうなのか?」
「例えば大きい拠点ですと管理などでしょうか。冒険者の方々は依頼で長期的にお家を空ける際が多々ありますので管理が面倒だという方もいらっしゃられます」
しかし拠点となる家を購入したとしても、冒険者達にはデメリットもあったりするらしく、そのデメリットといえば、遠くに行く依頼を受けた際に人数が少ないということで、掃除や食材の管理などが長期的に出来なくなってしまうことであった。
イザベルくらいにでも大規模なクランにでもなれば、そのようなことは無さそうだが、確かにクランも作っていないたった3人のパーティーとして活動しているコウ達にとっては絶対に起きてしまう問題だろうか。
「あー...なるほど...確かに俺達にとってはあんまり良くないな」
「ただお金があるのでしたらメイドや執事などで解決する方もいらっしゃいますね」
まぁそこは一応、パーティー人数が少ない冒険者達にも解決策はあるようで、メイドや執事なりを雇って面倒な管理を放り投げてしまうことであり、確かにそうすれば現状クランも作っておらず、パーティー人数が少ないコウ達でも解決できそうである。
「どうしますか?もしよろしければ幾つかの家を内見でもしていきますか?予算にもよりますが」
「ん〜...ライラはどうする?」
「見るくらいならいいんじゃないんでしょうか〜?」
そしてもし良ければ今から幾つかの家を今から内見していかないか?ということをヴィーから誘われたのだが、確かにライラの言う通り、別に今購入する訳ではないので見るくらいならば問題はないだろうか。
「それもそうか。じゃあお願いしようかな?予算はそこまで高くない家で頼む」
「畏まりました。では幾つか候補がありますので今からご案内致しますね」
ということで、幾つかの家を内見することと予算は控えめでという旨を伝えると、ヴィーの頭の中では何軒か拠点として良さげな家の候補が浮かび上がったのか、すぐにその拠点となる家へコウ達は案内されることとなるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分2月15日or2月16日になりますのでよろしくお願いします。




