660話
「地図を見ると大体ここらへんだけど...」
「結構大きくて綺麗な建物らしいですけど見当たりませんね~」
ジールからもらった簡易的な地図を片手にコウ達はローランの街中を歩きつつ、拠点となる家が購入することが出来るという場所へ向かって歩いていた。
しかし紙に描かれている簡易的な地図は大雑把に描かれているためか、目的地周辺に辿り着いたというのに周囲をきょろきょろと見渡してもそれらしい建物は見当たりはしない。
そのため、もしかするとここまで来るのに地図を読み間違えて道を間違えたりしたのではないかとも思ったのだが、目印として鐘が鳴る塔の近くにあるという一文が紙の隅に添えてあり、その目印の鐘の鳴る塔はコウ達から見て近くにあるので、読み間違えてはいない筈である。
「とりあえず周辺を歩いて見て回るしか無さそうだな」
「みたいですね〜」
そんなこんなで鐘の鳴る塔の周辺をぐるぐると彷徨いながら幾つかの曲がり角を通り過ぎていると、冒険者ギルドよりも大きな建物がコウ達の目の前に姿を現すこととなった。
「これっぽいな」
「冒険者ギルドとはまた違った感じの建物ですね〜」
目の前に現れた建物の外観としては赤レンガで作られた冒険者ギルドなどより大きなドーム状の建物となっており、そこの周囲にいる人々や建物の中に入っていく人々は家の購入を考えてる者が多いのか、身なりを整えている者が多く見える。
まぁ家の購入を考えている者であれば、それなりにお金を蓄えていたり、稼ぎが良かったりするため、身なりを整えている者が多いというのは当たり前と言えるだろうか。
「とりあえず俺達も中に入ってみるか」
「そうしましょ〜」
ともかく建物の中に入らず、近くで彷徨いているというのは、はたから見れば不審な人物がいるようにも見えてしまうので、とりあえずコウ達はそのまま屋内に入ることにした。
そんな屋内にいざ入ってみると、屋内も綺麗な作りとなっており、幾つかの受付に分かれ、何人かの従業員が先程入っていった身なりの良い人達を丁寧に対応しているのが見えた。
「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」
そして入口の近くで立っていると、従業員と思われる人物が新しく入ってきたコウ達の存在に気付いたようで、こちらに近づきながら丁寧な口調で話し掛けられることとなる。
普通に考えれば、このような場所にコウの様な年齢の者が入ってきたとしても、迷子か何かだと思われる筈なのだが、高価な魔道具で身を固めているからか格好自体は悪くないので、もしかすると何処かの貴族のお坊ちゃんだと思われているのかもしれない。
「家を見に来たんだけど...ヴィーって人はいるか?」
「ヴィー様でしょうか?失礼ですがどの様な関係で?」
とりあえず話し掛けられたということで、コウはジールから事前に聞いていたヴィーという人物を呼んで対応してもらおうとしたのだが、どうやら従業員の口ぶり的にそれなりに偉い立場にいる人物だということが何となくではあるが察することが出来る。
「冒険者ギルドのギルドマスターからの紹介されたんだ。これを見せてみてくれ」
「了解致しました。では今から確認させて頂きますので少々お待ち下さい」
そしてどの様な関係なのかと聞かれたため、コウは片手に持っていたジールのサインと共に簡易的な地図が描かれた1枚の紙をヴィーという人物に見せることをお願いしながら手渡すと、従業員は確認するために少しだけ待って欲しいと言い残し、そのまま奥の部屋へ行ってしまった。
ということで、暫くの間、ライラと共に壁端で待っていると、すらっとした黒の制服を身に纏い、片眼鏡を掛けた知的な雰囲気を纏わせた猫の獣人が奥の部屋から現れ、コウ達の下に向かってコツコツと足音を鳴らしながら歩いてくるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分2月12日or2月13日になりますのでよろしくお願いします。




