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657話

 さて...コウ達が目を丸くし、絶句してしまった料理の正体はというと、まさかの木の実と芋虫のようなものが炒められた虫料理であり、あまり見た目もよろしくないということで、食欲をそそらせるような料理では全くもってなかった。


 また今までの人生の中で虫料理は食べたこと無かったので、自身の中では抵抗感がかなり強かったりする。


 ただ料理を注文した以上、食べないというのは勿体無いし、なによりも残してしまうのは店に対して失礼に当たってしまうだろうか。


 とはいえ、この虫料理は店のお勧めと呼ばれるものなので、もしかすると意外にも口に合い、美味しく頂けるかもしれない。


「ふぅ...しょうがない...」


 ともかく正直言ってあまり食べたくはないのだが、ここは覚悟を決めて机の上に置いてあったスプーンをギュッと握り、皿の上にこんもりと盛られた木の実と芋虫の炒められた虫料理を掬って恐る恐る口の中へと放り込んでいく。


 そんな率先して勇者のように目の前に置かれた虫料理を口にしたコウのことをライラ達が見守る中、無言のままゆっくりと咀嚼し、味を確かめてから飲み込むと、一旦手に持っていたスプーンを手前に置いて一息つく。


「ふぅ...」


「ど...どうですか~...?」


「キュ〜...?」


「いや...想像以上に美味しかった...」


 そしてライラ達から味はどうだったか?と聞かれたのだが、意外にも目の前に出された虫料理の味は美味しかったため、正直な感想を2人に言うと、まさかコウの口からそんな言葉が出てくると思ってなかったのかギョッとした目をこちらに向けられた。


 しかし見た目はあれだが、味に関しては間違いなく、美味しいものであり、ここで嘘をついたところで何も意味は無い。


 また一口だけ虫料理を食べただけなのだが、何故か身体の疲れが少しだけ取れたような気がしないでもない。


 まぁ疲れが取れたりするような効果があるとは思えないのだが、もしかすると腹の虫の要望を答えたから身体の疲れが取れたように感じているのかもしれない。


「本当なんですか〜...?嘘じゃないですよね〜...?」


「1回だけ食べてみてくれ。フェニもどうだ?」


「う〜...コウさんのことを信じますからね〜...」


「キュ...」


 そんなコウの言葉を聞いたとはいえ、ライラはまだ口にするか躊躇している様子だったため、ここは一口だけ食べてみるのはどうだろうかと2人に提案してみるも、フェニは逃げるように隣に置いてあった果実の盛り合わせを食べ始めてしまう。


 ただコウのことをライラは信じ、覚悟を決めたのか手元にあったスプーンを手に取り、虫料理へ手をつけ始めた。


 そしてライラはスプーンの上に乗せた少量の虫料理を口へ入れると、最初は表情が強張っていたのだが、徐々に柔らかな表情へと変化していき、皿に盛られた虫料理を確かめるかのように一口二口と追加で口にしていくではないか。


「美味しいよな?」


「う~...何度か確かめましたけど本当に美味しいと思いませんでした~...」


「見た目はあれだけど意外だよな。だからこんな客が多いんだろ」


 そのため、何度も確かめるかのように虫料理へ手を出すライラに味の感想を聞いてみると、味に関しては概ね満足らしいが、こんな見た目だというのに味が美味しいというのは納得いっていない様子。


 それにしてもこのように見た目はあれだが美味しい料理が提供される大衆料理店ならば、多くの客が訪れている理由も何となくではあるが分かったような気がした。


 ともかくそんな見た目はあれだが、美味しく頂けるということは分かったので、コウ達は皿の上に盛られた虫料理の姿から目を逸らしながら味だけを楽しむことにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分2月3日or2月4日になりますのでよろしくお願いします。

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