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645話

 さて...コウや冒険者達を乗せた馬車はゆらりゆらりと揺り籠のように揺れながら街道を進んでいくこととなり、魔物に襲われてからの旅自体は平和そのものであった。


 そんな平和な馬車旅は順調に進んでいき、この馬車の目的地であったポールログという街は意外と近くにあったため、すぐに到着することとなる。


 ちなみに到着した時間帯は昼過ぎということもあってまだまだメークタリアに向かう馬車はあると思われるので、ここから先は乗り換え先の馬車をコウは探さないといけないだろうか。


「じゃあな。みんな元気でな」


「あぁまた何かあったら俺達に頼ってくれ!」


「ほんま助かったわ!ほなまたな!」


「もう少しお話を聞きたかったのですが...お元気で」


 そのため、途中で出会った冒険者達とは別れることとなり、コウはメークタリアに向かう予定の新たな馬車を探しにいくこととなった。


 まぁ新たな馬車と言っても今のところ自身の周りには多くの馬車が停まっているということもあり、街中を歩き回ったりして探す必要はない。


 とはいえ、少し手間なことがあり、それは1台1台何処に向かうかなどの話を御者に聞かないといけないということだろうか。


 ということで、コウは停車している馬車の側にいる御者に何処まで行く予定なのか話を聞きに行こうとするが、それにしても街中の雰囲気は何だか暗い気がしないでもない。


 そのため、コウはこれから向かう先の街のことのついでとして街中の雰囲気が暗いのか?についての詳しい話を馬車の側にいる御者へ聞いてみることにした。


「なぁなんでこんな街中の雰囲気が暗いんだ?」


「ん?それはあれだ。近くの街が魔族に襲われただろう?それが原因なのかもな」


「ふぅん...だからか」


 そしてどうやらこの街中の雰囲気が暗い理由とはコウが一度訪れたことのある隣の街が魔族に襲われ崩壊したことが原因とのこと。


 そのため、この街もいつその隣街を崩壊させた魔族に襲われるかのか分からず、街の人々は不安な日々を過ごしている様子。


 まぁ確かに平和だった生活が脅かされてしまうと、危機感を感じたり、不安を感じたりするのは当たり前だということで、街中の雰囲気が暗くなってしまうのもしょうがないだろうか。


 とはいえ、その暗い雰囲気はすぐに変わると思うし、街に住む人々の心配は杞憂に終わると思われる。


 何故ならあのSランク冒険者であるドールが魔族2人を討伐若しくは撤退させた筈だからである。


 まぁ実際にその光景を見ていないのでなんとも言えないが、あの魔族2人が自身のことを追ってきていない以上、それ以外思いつかないのだ。


 とはいえ、そのことを知らない街の人々は知らないので、出来ればドールがこの街に訪れて事情を説明して欲しいものである。


「あぁあと1つだけ聞きたいことがあるんだけどこの馬車ってメークタリアに行ったりするか?」


「いんや行く予定は無いな」


「そうなのか。色々と聞いて悪かったな」


「おうよ。次は乗ってくれよな」


 ということで、コウは御者に聞いた話のことについてお礼を伝えつつ、その場から離れて次の馬車へ向かおうとすると、今度は街の奥からまた新たな馬車が現れることとなる。


 そしてそんな街中の奥からこちらに向かってきた馬車に向かってコウが持つお互いの位置が分かる魔道具から伸びる光の線がその街中の奥からきたばかりの馬車に向かって伸びていることに気付かされることとなるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分12月29日or30日になりますのでよろしくお願いします。

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