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636話

 さて...少し小高い山の上にあった屋敷から逃げ出してからというものコウは魔道具から伸びる2本の光の線を頼りに森の中を数時間ほど休憩もせずに歩き続けていた。


「追いかけて来る様子もないな。このまま平和に行けばいいけども...」


 そして時折り後ろを振り返りながら、あの2人がコウのことを追い掛けて来てはいないか?を確認していたのだが、今のところ追って来ているような気配は感じない。


 とりあえず暫くは大丈夫だと思いたいのだが、それも時間の問題ではあるだろうし、なるべくあの場所から遠くに行けるだけ行きたいところではある。


「はぁ...メークタリアまではどれだけの距離があるんだろな」


 それにしても魔道具から伸びる2本の光の線はライラやフェニに向かって伸びているのだが、メークタリア付近まではどれくらい距離があるのかが分からない。


 まぁ歩き続ければ、いずれ辿り着くだろうのだろうが、出来れば距離がそこまで遠くないことを祈りたいところ。


「おっ...街の城壁か?」


 そしてそんな事を考えながら歩き続けていると、目の前に沢山生える木々の隙間から街を守るために存在する城壁のようなものがチラリと見えた。


 そのため、コウはようやく街へ到着したのかと思いつつ、急ぎ足で歩き出したのだが、街の城壁の前へ到着すると、目の前に広がる光景に息を飲みながら足を止めた。


「なんだよ...これ...」


 何故、コウが息を飲みながら足を止めてしまったのかというと、それは目の前に聳え立つ街を守るために存在する筈の堅牢な城壁が崩壊しており、門兵や街を出入りする人などがいなかったからである。


 こんな状態では盗賊や魔物は入りたい放題であるし、街を守るための機能はなく、防壁にすらなりはしない。


「とりあえず中に入ってみるか...」


 ともかく、いったい何が起こってこんな状態となってしまったのかを知るためにコウは街の中へ入ることにし、崩壊している城壁を通り抜けていく。


 そして崩れた城壁を通り抜けて街中に入ると、本来は綺麗な街並みが広がっていたと思われるのだが、そこはには建築物だったと思われる物達が瓦礫の山となっており、予想していた通り街に住んでいるような人は誰もおらず、そこら中のあちらこちらに古い血痕が付着していたり、兵士だと思われる白骨した死体がちらほらと転がっていたりする。


「やっぱ誰もいないか...」


 そんな悲惨な状態となっている街中に入って誰かいないかを探した訳なのだが、やはりというか誰もおらず、転がっているのは兵士だと思われる白骨した死体ばかりであり、死人に口無しということもあって詳しい話を聞ける者は残念ながらいない。


 もしかすると、少し小高い山の上にある屋敷に過ごしているあの魔族の2人が原因なのではないだろうか?


 何故なら、アインという魔族は元々ローランを狙ってたりしていたからである。


 まぁここがこうなってしまった原因は何なのかを色々と考えてしまうが、誰かが答えてくれる訳でもないので、結局のところ答えは分からず終いなのだ。


「ここにいてもしょうがないな。先を進むか」


 ともかく、こんな悲惨な状態となった街にいたとしても何もないので、ここは魔道具から伸びる2本の光の線を頼りに進んでいくしかない。


 そのため、早々とここから立ち去るために崩壊した街中を歩き進んでいると、自身の目の前からこちらに向かってくる人が遠目に見えた。


「この街の生き残りか?」


 一応、この街を襲った魔族だったり、コウのことを追ってきたあの2人だったりする可能性はあるのだが、もしそんな奴らであれば既に襲ってきている筈なので、その線は薄いと思いたい。


 ということで、そのままこちらに向かってくる人が誰なのか確認するためにコウも同じく近づいていくと、それは腰に一本の無骨な剣をぶら下げたまるで傭兵のような風貌の男であった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分12月5日になりますのでよろしくお願いします。

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