635話
「よし...解けた。どんな魔道具でも使い道ってあるもんだな」
収納の指輪の中に仕舞い込んでいたクワガタの形をした魔道具のお陰で何とか全身をきつく縛っていた縄が解けることとなった。
「さてと...逃げるにしても準備しないと」
そして自由の身となった身体を動かしながら、きつく縛られた縄の跡を摩りつつ、コウはこれからのことについて考え出す。
何を考え出したのかというと、勿論それはこの場から逃げ出す算段である。
何もせずにここから逃げても良いのだが、何かしらの小細工をしなければ、すぐに逃げたしたことがあの2人バレてしまい、追手としてコウのことを追いかけてくる可能性があるということだ。
「うーん...こうしてみるか」
ということで、コウは氷魔法を使って自身の大きさほどの氷像を作り出すと、地面に横たわらせた状態とさせ、その上へ近くに置いてあった布を被せていく。
これでなんとかあの2人から逃げ切る時間は多少なりとも稼げると思いたい。
まぁこのような小細工をしないよりか、何かした方が良い筈なので、後は神様にでも祈ることにでもしようか。
「さて...逃げる準備は出来たし行くか」
そんなこんなでここから逃げる準備が整ったため、部屋に取り付けられた木製の窓を開き、身を乗り出すと、実はこの部屋は2階となっていたみたいであり、飛び降りるにしても危ないということで、コウは氷魔法を使って今度は手軽な足場を作り出していく。
「よいしょっ...それにしても周りは木ばかりだな。一応遠くに街っぽいのは見えたけれども」
そして氷の足場に飛び乗りながら部屋から出たコウは周りを見てみると、周囲は青々とした木々が広がる森林となっていた。
また2階の窓から身を乗り出し、周囲を見渡した際には遠くに小さな街のようなものが見えたりもした。
まぁ街が見えたところで、ここがどこなのか分からないし、何よりもここからメークタリアは近いのだろうか?
出来ればメークタリアに近い方が好ましいのだが、そう都合の良いことが起こると思わない方が良いかもしれない。
「どうするかな...街があった方向にでもとりあえず行ってみるか...?」
とりあえず自由の身となり、部屋から抜け出すことが出来たのは良いものの、行く先を考えていなかったのだが、ここは先程2階からでも見えた街へ向かうべきだろうか?
もし先程2階から見えた街へ到着すれば、あの魔族の2人もそう簡単に手出しをしてこない筈だし、何よりも街中ということで、コウのことを見つけづらくなる筈なので、悪くない案だと言えるかもしれない。
「うーん...あぁそういえば皆の居場所が分かる魔道具があったな」
そんなことを考えながら先程2階から見えた街に向かって歩いていると、そういえばお互いの居場所が分かるイヤーカフの魔道具を持っていたことをコウは思い出すこととなる。
その魔道具を使えば、ライラやフェニの居場所に向かって2本の光の線が道標となり、進む方向を教えてくれるので、どれだけ遠くの地に離れていたとしてもその光の線を頼りに歩き続ければいつかは合流することは出来るだろうか。
まぁライラやフェニも同じイヤーカフの魔道具を持っているため、もしかすると既に使ってこちらに向かっているかもしれない。
「街の方向にも光の線は伸びてるな。まぁ丁度いいしこのまま寄ってくか」
ということで、イヤーカフの魔道具を収納の指輪から取り出して魔力を込めてみると、2本の光の線は一直線に目の前へ伸びており、今しがた向かっていた街の方向へも伸びているので、コウはそのまま街に立ち寄るため、再び歩き出すことにするのであった...。
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