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634話

「あまり舐めるな!こんなものすぐに引き千切っ...なんだこれ!?」


 全身をきつく縄で縛られてしまったということで、身動きがしずらいコウは自由になるため、全身をきつく縛っている縄を引き千切ろうと、両腕に力を込めて何とかしようとしたのだが、どれだけ力を込めようとも引き千切れる気は一切しない。


「あー無理っすよ?魔力がしっかりと込められてるっすからね」


「そういうことよ。大人しくしておくといいわ」


 そんな縄に対して驚いているコウに対してアインが説明してくれたのだが、どうやら縄自体にしっかりと魔力が込められているようで、そう簡単には解けるものでは無いとのこと。


 まぁ今縄を解いたところで、目の前には苦戦を強いられた2人が立っているため、ここはレヴィーエルの言う通り、大人しくしていた方が良いかもしれない。


「で...俺を捕まえてどうするんだ?」


「それはあれっすよ。あの御方に会わせるっす」


「あの御方って誰だ?」


「会えば分かるわ。アインはとりあえずこの子を監禁するから別室に運んで」


「分かったっす!レガーティルに移動するにしても準備が必要っすもんね」


 一体どこの誰に自身を会わせたいのか分からないが、言い方的に目の前の2人よりも立場が上の人物に違いない。


 ということで、コウはアインの肩に担がれると、そのまま空いている倉庫のような一室に運ばれることとなるのだが、どうやら話を聞いている限り、ここが彼らの本拠点ではない様子。


 そしてここからレガーティルという聞き慣れない土地の場所へ移動するらしいのだが、コウが吸い込まれた黒い渦のようなものと似たような移動手段を持ち合わせているようで、本拠点までの移動の準備がそれなりに掛かるみたいである。


「アイン。手が空いてるなら少し手伝って欲しいわ」


「まぁいいっすよ。でも監視しなくていいんすか?」


「そうね...まぁ縄を解けなさそうだったし問題ないんじゃないかしら?」


「あー...確かにそうっすね。じゃあレヴィーエルさんを手伝うっす」


 そんな2人はコウを部屋に置いたまま、レガーティルという場所へ移動の準備をしに何処かへ行ってしまったのだが、自身の監視をしないというのは何とも舐められたものである。


 とりあえずこれはこれでこの場から逃げ出す好機ではあるのだが、何とかしてこの全身をきつく縛っている縄を解かなければいけないだろうか。


「力技じゃ無理だしなぁ...あっ...そういえばあれがあったな」


 ということで、自身の魔力で周囲を探知することが出来る霧を出しつつ、あの2人が近くにいないかを確認しながら、縄抜けの方法を考えていると、コウはとある魔道具の存在をふと思い出す。


 その魔道具とはメークタリアでノリと勢いで購入し、使い道のなさそうだと思って収納の指輪の中に放置していたどんなに固く縛られた縄でも簡単に解ける魔道具である。


 もしその魔道具を使えば現在、全身をきつく縛っている縄を解くことが出来るかもしれない。


 また全身をきつく縛られていたりするが、幸いにも手はある程度動かせるということなので、その魔道具を収納の指輪から取り出して使用するといったことは可能だろうか。


「よいしょっと...これか?」


 そしてゴソゴソと身体を捻って動きながら体勢を整え、目的の魔道具を収納の指輪の中から取り出すと、それは自身の目の前にコトっと転がった。


 そんな収納の指輪から取り出した魔道具はクワガタのような見た目となっており、再び魔道具に触れれるような体勢になると、指先で触れながら自身の魔力を流すことにした。


 するとクワガタのような見た目をした魔道具は動き出したのだが、何やら主人であるコウの指示を待っている様子。


「とりあえず縛ってるこの縄を解いてくれ」


 そのため、全身をきつく縛る縄を魔道具に対して解くように指示を出すと、意図を理解したのか動き出し、コウの身体を登り始め、全身をきつく縛っている縄に辿り着くと、持ち前の(はさみ)でゆっくりと切り裂き始めるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分12月1日になりますのでよろしくお願いします。

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