632話
魔塔にあるベンの部屋から全員で花火に似た催し物を見てから5日後。
コウ達がここ数日間いったい何をしていたのかというと、そこらにいる街の人達と同様にメークタリアの街中を歩き回り、時にはロジーの店に立ち寄って新たな魔道具を購入した。
ちなみにどんな魔道具を購入したのかというと、周囲の魔力を吸収して溜める物やどんなに固く縛られた縄でも簡単に解けるようになるといった魔道具などで、その場のノリと勢いで購入したいまいち使い所の無さそうな無駄な物だったりする。
とりあえず買ってしまったものはしょうがないということで、今のところはコウが持つ収納の指輪の中に仕舞い込んであるのだが、果たして使い道が来るのだろうか...?
とまぁ色々とあったものの祭典の総評としてはしっかりと楽しめたということもあって各々はかなり満足していると言える。
そんな満足したコウ達は帰る準備も済ませ、街中を歩いている訳なのだが、メークタリアの祭典は終わったというのにまだまだ人は多く溢れており、そこらにある魔道具店は賑わいを見せていたりする。
「それにしても昨日の夜は凄かったですね〜」
「あそこまで凄いとは思ってもなかったですね」
「なんか言い方が...いやまぁ最後を締め括るには良かった催し物だったけども」
ライラ達の話している催し物はどんなものだったのかというと、初日にベンの部屋から見たものと同じではあるのだが、更に派手な演出となっているため、かなり迫力があるものであった。
さて...そんな催し物の感想を述べながら向かっている先はメークタリアの城門であり、馬車は有り難いことに前日のうちベンが手配してくれたようで、今は街の外で待ってもらっているらしい。
そんなこんなで城門の広場に到着すると、そこにはベンと魔道具職人であるロジーの2人が立っているのが見えた。
「やぁ!見送りに来たよ!」
「にゃ!次に会う時も元気にしてるにゃ!」
どうやらベンとロジーの2人にここで出会ったのは偶然ではないようで、わざわざ自身達のために別れの挨拶と見送りに来てくれたみたいである。
「あぁ馬車とか色々ありがとな。また遊びに来るからよろしく」
「キュイ!」
「ありがとうございました〜楽しかったです〜」
「皆さんありがとうございました。王都でしたら案内できますので是非いらしてください」
そんなベン達と軽く別れの言葉を交わすと、コウ達はそのまま街の外に出るための手続きを済ませ、城門を通り過ぎたのだが、フェニが待機している馬車を見つけたため、肩から馬車に向かって飛び立っていく。
そして自身達も手配してくれた馬車に向かって歩き出すと、コウが身に付けている赤い髪の女性から記念品として貰ったミサンガだけがぼんやりと黒く光り出したではないか。
「コウさん〜何ですかその黒い光は〜?」
「コウさんそれは...?」
「ん?」
そんな異変に気付いたのはライラとイザベルであり、2人の反応でコウも気付き、何だか嫌な予感がしたため、身に付けているミサンガをとりあえず取り外そうとしだす。
「ちょ...!外れない!」
しかしその身に付けていたミサンガに目一杯力を込めて取り外そうとしても取れることはなく、引き千切れたりする様子もない。
そうこうしていると、コウだけを包み込むように黒い渦が作り出され、まるで全身がその黒い渦に吸い込まれるかのような感覚が伝わってくるではないか。
「コウさん手を〜!」
「早く!」
そしてライラとイザベルが黒い渦に吸い込まれそうになっている自身に向かって手を伸ばし、何とかして掴もうとしてくれたのだが、残念ながら虚しくも空を掴んでしまい、その場からコウは姿を消してしまうこととなるのであった...。
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