624話
「ふぅ...結構食べたな」
「なかなか美味しかったですね〜もうお腹いっぱいです〜」
「私もお腹いっぱいですね」
「キュ!」
さて...あれからというもの昼食を取れるような場所を見つけたコウ達は腹が目一杯膨れるまで食事を楽しんだのだが、そんなお腹がいっぱいの状態で向かっている先は何処なのかというと、魔導国メークタリアの中心部で空高くまで聳え立つ魔塔である。
また何故、魔塔に向かっているのかについては朝方、遊びに来ないかとベンに誘われたからであり、時間帯も丁度良いと思ったからというのもある。
「おっ...見えてきたな」
「久しぶりに来ましたね〜」
「キュイ!」
「遠くからでも見えてましたが近づくとかなり高い塔ですね」
そして重くなったお腹を抱えながら運動がてら街中を歩き、時間を掛けてメークタリアの中心部に聳え立つ魔塔へとコウ達は無事に到着することとなった。
まぁ魔塔に到着した頃には時間を掛けて街中を歩いたお陰で昼食を食べて重くなっていたお腹も多少は軽くなっており、最初の苦しさは緩和されていたりする。
それにしても久しぶりに魔塔へ訪れたのだが、空に向かって高く伸びている姿はやはり圧巻の一言といったところ。
そんな圧巻とも言える魔塔の中には大陸内の様々な土地から優秀な研究者が集まっており、技術などを守るためか防犯意識も高く、魔塔の内部へ入るにはとある魔道具が必要となる。
ということで、ベンから魔塔へ入るための魔道具を借りないといけないのだが、残念ながら連絡が取れないため、魔塔の研究者などを捕まえ、呼びに行ってもらわないといけないだろうか。
しかし研究者達は自身の研究に没頭し、魔塔内部へ引き篭もる者達が多く、中々魔塔から出てくる者がいないため、どうしたものかとその場で立ち尽くして考えていると、オーバーオールの衣服を着用し、長い茶髪を糸で一纏にした少女が両手に荷物を抱えつつ、コウ達の目の前をひょこひょこと髪を揺らしながら通り過ぎた。
その少女の正体はロロルといい、見た目は幼く見えるのだが、実のところ年齢はコウ達よりも遥かに上となっており、魔塔の地下深くにある魔力炉の主でもある。
「おっ...ロロル久しぶりだな」
「お久しぶりです〜」
「この声はコウなのだ!それにライラも久しぶりなのだ!ん...?後ろの可愛らしい女の子は誰なのだ?」
何故こんなところにいるのか分からないが、丁度良いタイミングで目の前に現れたロロルに話し掛けてみると、どうやら声で気付いたようで、こちらに向かってぐるりと首を回し、挨拶を返してくると同時に後ろに立っていたイザベルのことに気付いた様子。
「初めまして冒険者をしてるイザベルと申します。よろしくお願いします」
「わっちは魔塔で働いてるロロルなのだ!こちらこそよろしくなのだ!」
「あー自己紹介してるとこ悪いけどベンって魔塔にいるか?」
「ベンならさっき魔塔の中へ帰ってくるのを見たのだ!」
お互いに自己紹介を終えたということで、コウはベンが魔塔の中にいるかどうかをロロルに聞いてみると、どうやら先程帰ってきたのを見たとのこと。
「そうなのか。悪いけど呼んできてもらってもいいか?遊びに来いって言われたんだけど連絡先がなくてさ」
「なるほど...後でベンはわっちがシメるとして...二度手間だしコウ達も一緒に入るのだ!」
そのため、ロロルにベンのことを呼んできてもらおうと思ったのだが、二度手間になるからと魔塔の内部へ入ることが可能となる細かな装飾が施された腕輪の魔道具を人数分手渡された。
そして腕輪の魔道具を嵌めて魔塔へと近づいていくと、正面にある外壁の一部がぐにゃりと粘土のように曲がり始め、入り口が作り出されたため、ロロルの後を追うようにコウ達も入っていくのであった...。
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