622話
魔道具が入った木箱を商人に渡してからというもの、お礼として宿の代金を払ってもらった宿で数日の時間を潰すこととなり、時は流れて祭典の日。
その日は宿で朝食を食べ終えた後、コウ達はどんな魔道具が売られているのかを見て回るため、街の外に繰り出した訳なのだが、そこは多くの人が道に溢れ、露店を開いている商人はどこもかしこもあの手この手で客を呼び寄せようとしている。
「人が多いですね~」
「キュ!」
「ここまで大きな祭典だとは思わなかったな」
「メークタリアの祭典は有名ですからね。いつもこれぐらいは集まってますよ」
ここまで人が多いとなると、早めにメークタリアへ到着し、宿を確保することが出来たのは本当に良かったと思ってしまう。
それにしてもメークタリアの祭典は聞いていた通り、いつもよりも多くの魔道具が集まっているようだ。
ただしそんな魔道具の中にはどうでもよさそうなものも売られているが、売られている以上、何処かしらに需要はあるのだろう。
まぁそんな使い道が無さそうな魔道具を欲しがるような人物というのは魔塔で局長代理を務め、見たこともない魔道具を集めるのが大好きなベンぐらいなものだろうか。
「わぁ〜!これとか可愛いですね〜!」
「意外に良さげな作りをしていますしお土産として買っていくか悩みますね...」
「キュ!」
そして街中を歩きながら様々な魔道具を見ていると、ライラ達が何かを見つけた様子であり、一体何を見つけたのか覗いてみると、そこには様々な魔物がデフォルメされた人形が並べられた露店であった。
確かにそれらの人形はデフォルメされているためか、可愛いらしいデザインで作られており、ライラ達のような女性層に人気は出そうだし、何よりお土産としても悪くなさそうである。
そんな売られている人形は魔道具でもあるらしく、魔石を穴が空いている場所に嵌めると、可愛らしい動きをしたり、音楽が流れたりもするらしい。
「買うのか?」
「んーエリスに買っていこうかなぁとは思ってます。あの子は可愛い物好きですから」
「私も欲しいですけど〜...置き場所がないんですよね~...」
とりあえずイザベルはお土産として買っていくとのことであり、エリスにそんな可愛らしい趣味があるとは思ってもいなかったため、今度会った時に少しぐらい弄るのも悪くないかもしれない。
そしてライラも欲しいには欲しいらしいのだが、普段は宿で生活しているということもあり、置くような場所が無いためか購入するかどうか少し悩んでいる様子。
ちなみにフェニは人形や魔道具にはあまり興味が無いようで、いつの間にかコウの胸元へと入り込み、すやすやと眠っていたりする。
ということで、コウは人形が並べられた露店の近くで、ライラ達のお土産選びが終わるのをのんびりと待っていると、聞き覚えのある声で話し掛けられることとなった。
「コウ君奇遇だね。こんなところで会うなんて」
「お久しぶりです。コウ様」
「ん?あぁベンとミリーじゃないか。久しぶりだな」
その聞き覚えのある声の持ち主とは魔塔の局長代理であるベンとメイドのミリーであり、まさかこんなところで偶然にも出会うとは思ってもいなかった。
そんなベンとミリーの2人は両手で様々な魔道具が入っている木箱を持っていたので、これから露店を出して販売でもするのかもしれない。
「これから店でも開くのか?」
「いやこれは...「ベン様が買い漁り私が荷物持ちとして手伝わされております」
「あはは...ミリーはなんか僕に棘がないかい...?」
とりあえず話を聞いてみると、どうやらベンはあちらこちらの露店で自身の気に入った魔道具を買い漁っているらしく、ミリーはその付き合いで荷物持ちとして手伝わされているとのこと。
「そうだ。もしコウ君が良ければ一緒に露店を見て回らないかい?」
そしてそんなベンからもしよければ一緒に露店巡りをしないかと誘われたのだが、今回ばかりはイザベルやライラと共に行動しているため、残念ながら誘いに乗ることは出来ない。
「あー悪いな。今日は連れがいるんだ」
「そうなんだ...また暇だったら魔塔にでも寄ってくれると嬉しいな!またね!」
「あぁ気が向いたらな。またな」
「ではコウ様失礼致します」
そのため、連れがいると答えるとベンは残念そうにするが、切り替えが早いようで、別れの言葉と共にもし暇であれば魔塔に寄って欲しいと言われた。
そんなコウもベン達に別れの言葉を返しつつ、気が向いたら行くという約束をした訳なのだが、とりあえず魔塔へ向かうにしても、ライラ達に行くかどうか聞く必要があるだろうか。
こうしてベン達と別れた後は入れ違いで、お土産である人形の買い物が終わったライラ達が戻ってきたため、今度は魔塔に行くかどうかについて聞くことにするのであった...。
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次回の更新予定日は多分11月2日になりますのでよろしくお願いします。




