619話
「どうしたんだ?」
「それがこれから進む先に幾つかの木箱が転がっていまして...」
「木箱?」
馬車が止まったということで、コウは何があったのかを確認するために御者席を覗くことが出来る小窓から御者に話し掛けると、どうやら馬車の進行方向に謎の木箱が幾つか転がっているとのこと。
そのため、先に進むことが出来ないと判断した御者は一旦馬車を止めたらしく、コウ達も左右についている窓から身を乗り出して前方を確認すると、そこには御者の言っていた通り、幾つかの木箱が道に転がっているではないか。
確かにこのままでは馬車が通ることが出来ないため、足踏みをしてしまったのはしょうがないといったところだろうか。
「なんでこんな所に木箱が落ちてるんでしょうか〜?」
それにしてもライラの言う通り、何故こんな道のど真ん中に幾つもの木箱が転がっているかが分からない。
「んー...周りを見ても荷馬車はないですね」
「一応フェニは周囲を確認してきてくれ。盗賊達の罠かもしれないし」
また周囲を確認しても荷馬車のようなものはなく、明らかに不自然ということでコウはフェニに周囲を確認するよう指示を出すことにした。
するとフェニはコウの指示通りに窓際へ立つと、羽を大きく広げて空に向かって飛び立っていき、まるで獲物を狙う鷹のようにぐるりと上空を旋回していく。
そのまま暫くの間、何が起こっても良いように馬車の中で待機していると、偵察に向かったフェニが戻ってきたため、何か不審な物があったりはしなかったかについて聞くことにした。
「ご苦労様。何かあったか?」
「キュ!」
そんなフェニから返ってきた答えは周囲にそれらしいものは何もなかったということなのか首を横に振られることとなる。
とりあえずこれで周囲の安全がフェニのお陰で担保されたということなので、今度は木箱に何が入っているのかを確認するためにコウ達は馬車から降りて近づいていくことにした。
「どれどれ?何が入ってるんだ?」
そして何かしらの罠が仕掛けられてないかを確認しながら慎重に木箱の蓋を取り外し、中身を見てみると、そこには緩衝材としてなのか大量の布で隙間を埋められており、中心部にはランタンや何に使うか分からない不思議な形をした置物などが大切そうにそっと置かれていた。
「んー...これって魔道具ではないですか?魔石を嵌め込む穴がありますし」
「ん?本当だな。でもなんでこんなところに魔道具が...?」
「メークタリアに運ぶ予定の魔道具だったりとかではないですか〜?」
「普通こんな荷物を落としたら気づくと思うけどなぁ...」
またイザベルが気付いたのだが、ランタンなどには魔石をはめ込むような部分が作られているため、魔道具であることが分かる。
そして過去に通った荷馬車が落としてしまったのかもしれないのでは?とでも思ったのだが、落としたならすぐに気付く筈だし、魔道具のような値が張る物であれば尚更であるため、謎は深まるばかりである。
とりあえずメークタリアに運ぶ予定の魔道具を荷馬車が落としてしまったと仮定して、転がっている木箱を回収し、もしメークタリアでこの魔道具達を探している者がいるのであれば、届けてあげた方が良いのかもしれない。
それに道へ木箱をこのまま放置しておいたとしてもコウ達の乗る馬車が道を走るのに邪魔というのもある。
ということで、コウは道に落ちている木箱を収納の指輪の中へ全て回収していき、それが終わると、再び馬車へ乗り込んでいく。
そしてコウ達が乗ったのを確認した御者は馬に鞭を打ち、馬車の側面についている4つの車輪を回転させ、再びメークタリアに向けて走り出すのであった...。
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