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613話

「やっとローランに着いたな」


「ん~...っと...宿についたらすぐ寝ちゃいそうですね~」


「キュ!」


「僕も宿を取らないとなぁ...空いてると良いんだけど...」


 ダンジョンから無事に脱出することができたコウ達は真っ直ぐローランへ帰ったのだが、到着した頃には既に時間帯は夜となっており、街中は落ち着いた雰囲気となっていた。


 ちなみにローランへ帰っている途中はディーンがどうやってコウ達の元まで来たのか?や魔族討伐隊というのはどういったものなのか?などの話を聞いたりしていた。

 

「じゃあ僕は宿を探すからここでお別れかな?また機会がある時はよろしくね」


「今日はありがとな。またな」


「一時はどうなるかと思いましたけどありがとうございました〜。また会いましょ〜」


「キュー!」


 どうやらディーンはこれから泊まる予定の宿を探すらしく、ここでお別れとなるため、助けてくれたお礼を伝えつつ、お互いに別れの言葉を交わしていく。


 そしてディーンはそのまま大通りに向かって歩いていき、人混みの中へと消えていってしまった。


「コウさんこれからどうしますか〜?」


「ん?まぁとりあえずは冒険者ギルドに行って報告だな」


 そんなこんなでディーンの背中を見送り終わると、ライラからこれからどうするかについて聞かれたため、コウはまず最初に冒険者ギルドへ報告をしに行くことにした。


 まぁ正直なところ真っ先に小鳥の止まり木という宿に向かい、空腹を満たし、柔らかなベッドの上で横になって身体を休めたい気持ちはあるのだが、面倒なことは早めに処理しておくことに越したことはない。


 ということで、コウ達は冒険者ギルドへと向かうこととし、途中で良い匂いを漂わせる店の誘惑に屈することなく、大通りを移動して到着すると建物の中へ入っていく。


 そんな冒険者ギルド内は時間帯的に片隅にある酒場はそれなりに混み合っているが、受付はそうでもないのか、空いていたりする。


 とりあえず報告のために受付へ向かうと、そこにはいつものサーラではなく、同期のミラが座っており、コウ達のことを笑顔で迎え入れてくれた。


「コウ君達こんばんは。今日は何の用かしら?」


「こんばんはです~」


「キュ!」


「依頼の報...いややっぱジールさんっているか?」


 詳しく今回の件について報告しようと思ったのだが、色々な出来事があったため、ここはギルドマスターであるジールに報告した方が良いと思い、居るかどうかについて聞いてみることにした。


「今日はギルドマスター室にまだいるわ。もう少ししたらお酒でも飲みに行っちゃうかもしれないから会いたいなら早めが良いわよ」


「そうか。ありがとな」


 すると珍しいことに今日はまだギルドマスター室にいるらしいとのことであり、その話を聞いたコウはお礼を伝えつつ、そのまま2階へ続く階段を上っていく。


 そしてギルドマスター室の前に到着したコウは扉を何度かノックすると、部屋の中から入っても良いという声が聞こえてきたため、部屋の中へ入っていくと、何やらソワソワとしながら上着を羽織ろうとしているジールが立っているではないか。


「コウ達か。こんな時間に何なんだ?そろそろ俺は飲みに行きたいんだが..,」


 どうやらジールは飲みに行きたいとのことであり、何か話があるのならば手短に済ませて欲しい様子だったので、コウは今回の件について簡潔に報告していくことにした。


「ローランの近くにある小さな洞窟に行方不明の冒険者を探しに行ったんだけどダンジョンが出来てた」


「おぉ...ローランが賑わう良い話じゃねぇか。冒険者は無事だったのか?」


「いや冒険者は多分魔物にやられててそこに魔族が居座ってたからディーンと協力して倒した」


「なるほどな...そいつぁご苦労さん...って魔族だぁ!?」


 そして報告を済ませると、途中までふんふんとコウの話を流し聞きしていたジールは目を見開きながら驚き、羽織ろうとしてた上着を床にぽとりと落としてしまうのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分10月12日になりますのでよろしくお願いします。

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