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595話

 あれからというもの真上にあった煌々と輝く月は西の方向へと傾いている中、コウは庭の片隅でスコップを片手に持って立っていたのだが、足元には人一人分がすっぽりと入れるくらいの大きさをした穴が掘り作られていた。


 またその穴の中には大量の薪が、まるで棺の形のように並べられており、上には真っ白な布が敷かれていたりする。


「ふぅ...こんなもんか...?実際どれくらい燃えるか分からんけど...」


 そしてそんなスコップを持っているコウが身に纏っている外套や靴などは地面に穴を掘ったせいか土で汚れてしまっており、袖で額に薄っすらと浮き出ている汗をぐいっと拭うと、袖についていた土が肌にこびりつく。


「とりあえず身体の汚れを落とさないと...」


 流石に地面を掘り続けたということで、疲れたコウは身体の汚れを落とすことにし、手に持っていたスコップを地面に突き刺すと、その場で得意な水魔法を使い、身体中にしっかりとこびりついていた土を落としていく。


 身体の汚れも綺麗に落とせたということで今度は家の中に戻ると、灯りが付いておらず、真っ暗でしんとした静けさが広がっているリビングがコウのことを迎え入れてきたため、寂しさを紛らわせようと、設置されている灯りの魔道具を全て点けつつ、ハイドの部屋に向かって歩き出す。


 とりあえずハイドの部屋に到着したコウは中に入ると、そのまま横たわった遺体のある筈のベッドまで向かった。


「お別れだな...よいしょっと...」


 そしてもう二度と動くことがないハイドの遺体のことをコウはぐっすりと寝てしまった子供を扱うかのように背負うと、ずしりとした重みと冷たさが背中に伝わっていく。


 そのままコウは背中にハイドの遺体を背負ったまま階段を下りていき、家の外に出ると、大量の薪が棺のような形として置かれている自身が掘った穴へと向かった。


 自身が掘った穴へ到着すると、背中に背負っていたハイドの遺体を棺のような形として置かれている薪の上にゆっくり降ろし、元々敷いてあった布で全身を包み込むと、コウは穴から掘った穴から出て、次に指先へ大量の魔力を込めていくことにした。


 勿論、コウが指先に大量の魔力を込め始めたのにも理由があり、それはハイドのことを火葬するのに必要な火を生み出すためである。


 本来であれば、コウは水魔法に適正があるため、真反対の性質である火魔法とは相性が悪いのだが、大量の魔力を消費すれば使えないことはないのだ。


 そのため、コウは自身が保有する大量の魔力を消費して指先に火魔法を作り出すことにしたのだが、あまりにも燃費が悪い。


 しかし1年前の時よりも保有する魔力は大幅に増えているということで、メラメラと燃えるバスケットボールサイズの火球を作り出すことが出来たのだが、あまりにも燃費が悪いということで、再びコウの額にじんわりと汗が流れる。


「ふぅ...父さん。母さんによろしくな」


 そんなコウは最後にこの世界の父であったハイドに別れの挨拶を告げつつ、指先に作り出した火球を棺のような形の薪に向かって放り投げると、一気に炎が燃えあがり、ホタルの光のような火の粉は空へと昇っては消えていく。


 そして自身のやるべきことを終えたコウは空へ昇っていく火の粉を近くの木に寄り掛かりながら眺めていると、疲れていたのか瞼は徐々に重くなっていき、いつの間にか眠ってしまうこととなるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分9月1日になりますのでよろしくお願いします。

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