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592話

「父さんはいるかー?って...いるなら返事が返ってくるか」


 玄関から家の中へ入ったコウは父であるハイドのことを呼んでみたのだが、やはりというか一切返事が返ってこず、出掛けているのかもしれないことだと思わされてしまう。


 せっかく土産話を手土産にして会いに来たというのに話す相手がいないというのは何とも悲しい話である。


「どうするかな...出掛けてるならいつ帰ってくるかもわからないし...」


 しかもその話し相手がいつ頃にこの家から出掛け、いつ帰ってくるかも分からないため、これからどうするか少しだけ困ってしまう。


 とはいえ、せっかくここまで苦労してきたというのに何もなく、そのままローランに帰るのも流石に勿体ないし、出来れば少しでも話をして帰りたいところ。


「ん...コップが置いてあるな。本当は家の中にいるのか?」


 これからどうしたものかと考えていると、コウは机の上には使用済みと思われるコップが置かれていることに気付き、本当は家の中にいるのではないか?という考えに変わった。


 ただ家の中にいるのであれば、何故自身のことを出迎えてくれなかったのかが全く持って分からない。


 まぁ何かしらの作業に集中しているのかもしれないし、きっと出迎えてくれなかった理由があるのだろう。


「驚かすためにゆっくり行ってやろうかな?」


 ということで、コウはこの家の中で1番いる可能性の高いハイドの私室へ向かうこととし、今度は2階へ続く階段に向かって歩き出すことにした。


 また2階へ続く階段を登る際、1歩1歩踏みしめると、ギシギシと階段の軋む音が空間に響き渡ってしまうため、コウはゆっくりと猫のように音を出すことはなく、階段を登っていく。


 そのまま2階に辿り着くと、そこは時が止まったかのように変わっていない自身の部屋そしてハイドの部屋があり、旅に出て1年ぐらいしか経過していないというのに更に懐かしさを感じさせられた。


「ふぅ...行くか...。父さん帰ってきたぞ」


 そして自身の部屋の前を通り過ぎ、ハイドの部屋の前に立つと、コウは一呼吸をおいてドアノブを捻ると、部屋の扉を一気に開けていき、帰ってきたという声を掛けながら中に入っていくも、目の前の机と椅子が置いてある場所には誰も座っていなかった。


「あれ?いない?って...寝てるだけか...」


 結局のところ出掛けているのかと思いもしたのだが、ベッドの上で毛布に包まれながら横になって寝ているハイドに気付き、コウはこんな時間まで寝てるなんてと思いつつ、起こすために近づいていくことにした。


「何だこんな時間まで寝てるんだか...耳でも悪くなったのか?帰ってきたぞ」


 既に時間帯は朝を過ぎているということなので、寝ていると思われるハイドの肩を揺らしつつ、声を掛けながら起こそうとしてみるも全く持って起きる様子はない。


 それもその筈。コウは知らないが起きる訳がないのだ。


 何故なら父であるハイドはコウが旅立ったのを見送ったのち、静かに息を引き取ったのだから。


「どんだけ寝てるんだ...起きろって!」


 そんなこともつゆ知らず、コウは未だに寝ていると思っているハイドの肩を揺らし続けるも、一切反応がないことに疑問を覚え、包まっていた毛布を取り払い、起こそうとしてみることにした。


「って...え...?」


 そして毛布に包まれたハイドが目の前に姿を現したのだが、何故家の中に帰ってきても出迎えてくれる様子も無かったのか?ということにコウはその場で気付かされることとなるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分8月26日になりますのでよろしくお願いします。

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