497話
「なんだか強そうな魔物ですね~...」
「キュ~...」
大部屋の中ですやすやと眠っている魔物の正体はサラマンダーという主に火山の火口付近に生息しているBランクの魔物である。
そんなサラマンダーは見た目も相まって竜種として勘違いされることも多いのだが、実のところ竜種では無かったりする。
ちなみに竜種に近しい魔物というと、コウ達も戦ったことのあるワイバーンが1番近しいだろうか。
さて...ワイバーンの話はさておき、もしかすると目の前ですやすやと眠っているサラマンダーがきっとクーリャが棲家としている場所の温度が上昇している原因かもしれない。
「ん~...?奥に丸い水晶みたいの物が浮かんでいますね~」
「もしかしてあれがダンジョンコアってやつか?」
そしてライラが何かを見つけたようで、コウも同じく中央で寝ているサラマンダーの奥をよく見てみると、小さな台座があり、その上には水晶に似た球体の物が透明な結界のようなものに守られながら置かれているのに気づいた。
その水晶に似た球体の物とはコウの言った通り、それはダンジョンコアと呼ばれるものであり、このダンジョンを形成するために存在する貴重なもので、それを壊す若しくは台座から取り外すことが出来ればダンジョンの踏破となる。
ではどうやったら透明な結界を通り抜けて、そのダンジョンコアを破壊若しくは台座から取り外すことが出来るのかというと、まずは大部屋の中心部ですやすやと眠っているサラマンダーを倒さないといけない。
「とりあえず中に入るか。どちらにしろそれ以外に道はないし」
「そうですね~ここまで一本道でしたもんね~」
とりあえず何が原因か分からないが、中に入らないことには進むことが出来ないということなので、そのまま作戦などを考えることもなく、扉を全開にして中に入ろうとすると、部屋内に籠もっていた熱気が、まるでサウナの様にコウ達へ襲いかかったのだが、実際その熱気をまともに受けたのは肩に止まっているフェニだけであった。
「キュ~...」
「どうしたんだ?」
「キュキュイ!」
そしてコウはすぐに何か嫌そうにしているフェニの様子に気づき、どうしたのかと聞いてみると、どうやらフェニは大部屋から放たれる熱気が苦手なようで、あまり大部屋の中へ入りたくないようだ。
「じゃあフェニはここで待つか?すぐ終わらせてくるから」
「キュ!」
大部屋の中へ入りたくなさそうなので、フェニにはこの場で待機するかどうか聞くと、コウの肩から飛び立ち、入り口の扉の近くで待機し出す。
まぁフェニにもコウ達と同じ様な熱気を防ぐ手段があれば良かったのだが、残念ながら持ち合わせてないので、これはしょうが無いだろう。
そしてコウとライラはフェニを入り口に待機させ、熱気が包み込む大部屋の中に一歩踏み出すと、サラマンダーが何かに気づいたようで、閉じていた瞳がゆっくりと開きだし、背中の炎が一段とめらめら燃え盛り出す。
「まずは小手調べだな。氷槍!」
そんなサラマンダーが動き出す前にコウは小手調べとして氷槍を作り出し、先に攻撃を仕掛けることにした。
そのままコウによって作り出された氷槍は一直線に飛んでいくも、サラマンダーから発せられる熱量によって氷槍が溶けて尖っていた先端部分が丸くなり、当たったはいいが、硬い鱗に実を守られているためかダメージはない様子。
「ここは私が~...って近づくと熱いです~!」
そして今度はライラが打撃を加えるために赤いオーラを全身へ纏い、近づいていくも、サラマンダーから発せられる熱気が赤いオーラを貫通して近寄るには厳しいらしく、すぐにこちらへ戻ってきた。
むぅ...なんとも自身達と相性の悪い魔物なのだろうかと思っていると、サラマンダーはコウ達へ狙いを定め出し、口元の隙間から真っ赤な炎が微かに漏れ始める。
「何か来ます~!」
「ここは俺に任せろ!氷壁!」
そして今度は自分の番だと言わんばかりにサラマンダーは凶悪な牙が見え隠れする口を大きく開くと、龍種が吐くような炎のブレスを吐き出すので、コウはその炎のブレスを受けるために分厚い氷の壁を作り出すのであった...。
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