492話
石像のように固まってしまい、その場からサンクチュアリを振り上げた状態で動けなくなってしまったコウのことを目の前にいるホワイトパンサーのボスはニヤリと半月状に目を細め、口元からは涎をだらりと垂らしていた。
では何故、唐突にコウが動けなくなったのか?というと、それはホワイトパンサーのボスが作り出した小さな氷の結晶のせいであった。
そんな小さな氷の結晶はただの小細工かと思いきや、実はそんなことはなく、二段構えの策であったのだ。
どうやらその小さな氷の結晶はコウの全身に付着した際、時間をかけてゆっくりと広がり、気づかないうちに全身を凍らせるものだったようだ。
そのため、何も問題ないと慢心していたコウは今では身動きが一切取れなくなってしまい、目の前にいるホワイトパンサーのボスの餌食となりかけてしまっている。
「コウさん~!!」
「キュイー!!」
そんなホワイトパンサーのボスが鋭い牙を見せつけながら大きく口を開き、身動きの取れないコウの首元を噛み千切ろうと徐々に近づいていくので、ライラ達は切羽詰まった焦り声で叫ぶも、周りの取り巻きが邪魔をしてくるため、割って入ることも出来ない。
側から見れば既に詰みの状態に見えるのだが、それでもコウの瞳は死んでおらず、まだ他に何とかする手があるような表情を浮かべていた。
「動けなくなったのは驚いたけどまだ手は無いわけじゃないぞ」
そしてコウの首元に向かってホワイトパンサーのボスは鋭い牙で噛み千切ろうとした瞬間、今度は凍っていた全身を守るかのように分厚い氷の鎧が現れる。
その現れた分厚い氷の鎧とは、コウがロスガニアの王であるリアムから教えてもらった亜技という亜人が使える奥の手の技であり、身体に中にある魔石からまた別の魔力を引き出して扱える出来るものだ。
そんなホワイトパンサーのボスはコウの全身へ急に現れた分厚い氷の鎧ごと噛み砕いて、そのままとどめを刺せば良いと思ったのか、躊躇うことはなく、大きな口を開き、飛び付きながら噛み付いてきた。
しかしコウが亜技で作り出した分厚い氷の鎧はホワイトパンサーのボスといえど、噛み砕くことは出来ず、ガジガジと齧り付いていただけであり、無傷の状態となっていた。
「じゃあ俺の番だな」
「グァ?」
今度は自身の番だとコウは告げると、ホワイトパンサーのボスが噛み付いている部分から徐々に凍りつき始めていくではないか。
そのため、ホワイトパンサーのボスは噛み付くのをやめてコウの元から離れようとするも、口元が既に凍りつき始めているためか、その場から動けず、必死にバタバタと両足を動かし、何とか逃げ出そうと抗っていた。
そして既に凍りついてしまったホワイトパンサーのボスの口元からピキピキと音を立てながら全身をコウの作り出した氷で包み込んでいき、まるで琥珀の中のように閉じ込められていく。
すると今度は凍りついていたコウの全身は少しづつではあるが、じんわりと溶け始めていき、先程まで動かなかった身体が徐々に動かせるようになってきた。
「ふぅ...これで終わりかな?」
また自身のボスがやられてしまったことに気づいた取り巻き達は散り散りとなってあちらこちらへ逃げて行ってしまったので、これで当分はホワイトパンサーがこの場所に寄りつくこともないだろうか。
「大丈夫ですか~!?」
「キュイー!」
「あぁ特に問題ない。とりあえずさっさと片付けて帰ろう」
そして取り巻き達がいなくなったことによって心配していたライラ達が心配そうにコウの本へ戻ってくるので、自身に怪我はないことを伝えつつ、今度は倒したホワイトパンサーを回収する指示を出していく。
無事に全て回収し終わると、無事に縄張りとしていたホワイトパンサー達を追い払うことが出来たことを冒険者ギルドに報告するため、コウ達は夜になる前にローランへ戻ることにするのであった...。
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