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472話

「それにしても人が多くなってきたな...」


 冒険者ギルドから出たコウは早速、ローランの観光場所である噴水広場へと向かい、目的地付近へと近づくに連れて、朝だというのにそれなりに人が多く同じ方向に向けて歩いてた。


 まぁ観光場所だからというのもあるが、それにしてもまだ朝なのに人が同じ方向に向けて歩いているということは全員の目的はもしかしたら同じなのかもしれない。


「まじか...もう人が並んでるのか」


 そして目的地であった噴水広場へと到着すると、そこにはとある屋台へ既に人達が綺麗に列を成しているため、コウもとりあえずここが魔法のクッキーを売っている場所だと思いながら一番後ろに並ぶことにした。


 そんな列にコウも並んでみると、並んでいる人達の殆どは女性が多く、きっと美容効果に釣られてやってきたのだろう。


 実のところ買って来て欲しいと言っていたサーラもその内の1人であり、美容に対する女性達の姿勢というものは、いつの世も変わらないものである。


 ただそんな多くの女性達に混じって老人や身なりの良い格好をした人達もいたりするが、それらの正体は商人だと思われる。


 そして暫くそんな色々な人達が並んでいる列にて時間を潰しながら待っていると、コウよりも前に並んでいる人達が少しづつ前に進み始めたので、きっとクッキーの販売が始まったのかもしれない。


「意外にスムーズだな」


 それにしても多くの人達が成している列だというのに、クッキーの販売が始まると、すんなりと前へ進んでいくので、接客には手慣れている様子。


 まぁ長時間並んでずっと待たされるよりも、短時間で事が済むのであれば、有り難いことではある。


 暫くするとコウの前に並んでいた人達が捌け、ようやく列の先頭に立つことができると、そこには綺麗に包装されたクッキー入りの袋が残り少ない状態で木の箱の中に並べられていた。


 それにしても並んでいるクッキーを達をじっくり見てみると、何となくぼんやりと光っているように見えなくもないが、事前に魔法のクッキーだと話を聞いていたということもあって気の所為だろうか。


「いらっしゃいませ」


 そしてクッキーを見ていたコウへ話しかけるように販売している店員が声を掛けてきたため、顔をあげると、そこには左目の下に泣きほくろを持ち、右頬には横のナイフ傷がある柔らかな印象の青年が目の前に立っていた。


 そんな目の前の人物はどこかで見たような特徴の顔をしていることにコウはふとした瞬間に気がつき、何だろうと思い返すと、1つの答えに辿り着いた。


 それはロバーツが冒険者ギルドへ依頼した探している人物と同じ特徴を持っているということであり、もしかしたら息子本人なのかもしれない。


「どうなさいましたか?」


「いやなんでもない。とりあえず2袋頼む」


「申し訳ありませんがおひとり様おひとつまでになります」


「あぁそうなのか。じゃあ1袋で良いや」


「では銅貨3枚になります」


 ただ依頼を受けていないので報告の必要はないし、これだけ有名になりつつあるのであれば、そのうちロバーツに伝わる可能性が高いため、ここは一旦放置してもいいだろうか。


 そしてコウはどうせお遣いとして買いに来たのであれば、自身用としても1袋欲しいと思ったので、2袋を欲しいと伝えると、残念なことに1人1袋までらしい。


 まぁ多くの人達が並んでいるということなので、その人達に行き渡るようにするためだと思われる。


 しかしそれにしても安い。この世界でお菓子というものは中々庶民には手が届かない筈なのだが、この屋台のクッキーはなんと銅貨3枚という値段設定となっており、庶民でも手に入れやすい甘味となっているので、ローランに住んでいる人達かからしてみれば嬉しいことだろう。


 そしてとりあえず無事に魔法のクッキーと呼ばれる物が売り切れになる前に入手することが出来たので、コウはサーラに届けるため、購入したクッキーを収納の指輪の中へと仕舞い込み、冒険者ギルドへと戻ることにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新予定日は12月29日になりますのでよろしくお願いします。

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