470話
「ふぅ...着いたな」
空気がひんやりとする寒空の朝。白い息を吐きながら、まだ開店前ということで準備している店や屋台などの前を通り過ぎ、コウはローランにある冒険者ギルドの前へと、無事に到着した。
とりあえず入口前で立ったままだと、出入りする冒険者の邪魔になるということなので、コウは早速建物の中に入ると、そこには多少なりとも冒険者達が依頼ボード前で屯していた。
まぁコウは依頼を受ける気は一切無いが、受付にいる職員達も冒険者達が手に持った依頼書を1つ1つ処理しており、まだ空いていないということなので、暇つぶしとして依頼ボードの前に立ち、今日は何の依頼が貼り出されているのか確認していくことにした。
「ん...?これってロバーツの依頼か?」
そして最初に目についた依頼は途中から馬車の旅を一緒にしたロバーツの名前が書かれた依頼書であり、最初の触り部分だけ見てみると、人探しと書かれていた。
どうやら想像よりもローランが広かったためか、1人で探すのは無謀だと思って流石に冒険者ギルドへ依頼を頼んだと思われる。
ただ人探しの依頼のためか、そこまでランクは高くないということもあって報酬はそこまで高くはない。
とはいえ、人探しの依頼は特に危険でもないし、新人の冒険者達にはもってこいの依頼なので、これくらい安い報酬でも問題は無い筈である。
まぁ実際にはロバーツの手持ちが少なく、満足のいく報酬が払えないということで報酬が少なくなってしまっているのだろう。
とりあえずロバーツの探している息子はどんな特徴をしているのだろうと思いながら、依頼書に書かれている内容の続きを見てみると、左目の下に泣きほくろを持ち、右頬には横のナイフ傷がある柔らかな印象の青年と書かれていた。
「まぁ受ける気はないしそのままにしとくか」
きっと新人の冒険者が依頼を受けると思われるため、そのままロバーツの出した依頼を放置しつつ、コウは他に貼られている依頼は何があるんだろうと、視線を別に貼られている依頼の方向へと移す。
「これはこの間の魔物の依頼か...結構報酬が高いんだな」
次にコウが見つけた依頼書はローランに向かう際、馬車旅の途中で襲いかかってきた魔物の特徴が描かれた物となっており、それなりに報酬が高いため、なんだか損をした気持ちとなってしまう。
そんな貼られている依頼を眺めながら時間を潰していると、どうやらある程度の冒険者達は依頼書の処理が終わり、依頼をこなすために出掛けてしまったということで、いつの間にか受付前は人が捌けていた。
そして受付にいるギルド職員達は冒険者達の依頼書の処理ラッシュが終わったということで、ようやく一息つき始めていたりする。
とまぁ仕事が落ち着いたところ悪いが、とりあえず郵便物は届いていないかを確認しに来たということなので、コウは見知った顔のサーラの元へと近づいていくことにした。
「おはようございます...ってあれ?コウさんじゃないですか。何か依頼でも受けるんですか?」
「いや今日はもう何もないし受けない。どちらかというと郵便物を確認しに来たんだ」
「あぁそういうことですね!ちょっと待って下さいねー...っと」
受付の前に立つと、書類を黙々と処理していたサーラがコウの存在に気が付き、依頼を受けるのかどうか聞いてくるも、受ける気はないと返答し、とりあえず郵便物は届いていないか確認してもらうことにした。
するとサーラは机の引き出しを開き、色々な書類が保管されている引き出しの中をごそごそと弄りだすが、どうやらコウ宛の郵便物は届いていないようで、開けた引き出しを閉めて首を横に振られた。
「んー何も届いていないみたいですね」
「そうなのか。じゃあ帰ろうかな」
「あっ!待って下さい!コウさん良かったら少しだけお茶でもして来ませんか?」
「お茶って...サーラは仕事中なんだろ?」
「朝は忙しかったので息抜きが必要なんですよーって...準備しますので酒場で待っていて下さいね」
手元に散らばっていた書類をサッとまとめると、声を掛ける前にサーラはそのまま席を立ち、お茶の準備をするために裏の部屋へ急ぎ足で向かってしまったので、コウはまぁ暇だし良いかという気持ちで、冒険者ギルド内にある酒場へと向かい、待つことにするのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m
次回の更新予定日は12月25日になりますのでよろしくお願いします。




