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469話

 翌日の朝。コウとフェニは部屋の扉を数回ほど叩かれたノック音と扉越しということで、くぐもっているが聞き慣れたミランダの声で目を覚ました。


「コウさん起きていらっしゃいますか?朝食はどうなされますか?」


「あー...じゃあ頼む...あと果実も幾つかよろしく...」


「キュ...?」


 聞こてきた話の内容は朝食が必要か?それとも必要では無いか?の確認であり、目を覚ましたコウは眠た気な目をこすりながら、声を掛けてきたミランダに返答を返した。


 そしてコウはロスガニアに向かう際、途中で立ち寄り、フーローの村で手に入れた魔道具の時計に魔力を流して今の時間を確認すると、起床した時間は朝の範囲に入りはするが、朝早くから起きている冒険者達には既に良さげな依頼書を抑えられている時間帯である。


 そのため、冒険者ギルドで今日の依頼を受けるのかについて内心では、ほぼ諦めていた。


 暫く寝転がりながら、うだうだとしていると、眠気が覚めてぼーっとしていた頭が覚醒したということで、身体を起こして寝相によってシーツが乱れたベッドから降りる。


 すると少し離れた場所からガラガラとワゴンを押す音が聞こえ、コウの部屋の前でその音は止まると、再び部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。


「コウさんお待たせ致しました。朝食をお持ちしました」


 そのノックは食事を持ってきたという合図であり、コウはそのまま部屋の扉を開けると、そこにはこんがりと黄金色に焼かれたパンと淡いピンク色をしたハム、そして表面から湯気が出るシチューとフェニ用として綺麗にカットされた果実などを乗せたワゴンがあり、その隣にはミランダが立って待っていた。


「ありがとな。部屋に運んでおいてくれ」


「キュ!」


 とりあえず部屋の外に待たせるのは良くないし、せっかくの朝食が冷めてしまうということで、コウは中にある机の上へ運んでおいてくれとミランダに頼むことにした。


「ではごゆっくりお召し上がり下さい。失礼致します」


 そしてミランダは朝食を机の上へ運び終えたということで、ぺこりと綺麗な一礼し、音を立てないように部屋の扉を閉めていく。


「さて...食べるか」


「キュイ!」


 とりあえずせっかくの料理が冷めてしまうということなので、コウは早速机の上に置かれた朝食に手を出していくことにした。


 まずコウが最初に手を付けたのは勿論、表面に湯気がゆらゆらと揺らいでいるシチューであり、木のスプーンで一口分ほど掬い、息を吹きかけて食べれるくらいの温度に冷ますと、口の中へ運んでいく。


 すると一瞬にして濃厚なバターとミルクの味が口の中に広がり、ゴロッと切られた野菜はしっかりと火を通して煮込まれているためか、噛む必要が無いほどに柔らかく、舌の上でほろほろと崩れる。


 そしてそのまま飲み込むと、食道を温かいシチューが通り過ぎ、寝起きで空っぽだった胃袋の中をじんわりと温めながら満たしていく。


 次に手を付けたのは黄金色に焼かれたパンであり、一緒に添えられていた淡いピンク色のハムを乗せて一気に齧りつくと、丁度良いハムの塩気が舌に伝わると共に焼き立てのパンの香りが鼻腔を通り過ぎ、これもまたとても美味しいものである。


「ふぅ...やっぱこの宿の料理は美味しいな」

 

「キュ!」


 どうやら綺麗にカットされた果実も新鮮ということで、フェニも満足しているらしく、いつの間にか用意された果実は半分となっている。


「足らなかったら言えよ?追加で頼むから」


「キュイ!」


 それからというもの美味しい朝食をコウ達は黙々と食べ続け、皿の上が空っぽになると、ディルから貰ったティーセットの魔導具を活用してお茶を淹れると、ホッと一息つく。


「ふぅ...朝食も終わったし郵便物を確認するために冒険者ギルドへ行こうかな。フェニはどうする?」


「キュ!」


 そして用意された朝食を食べ終えたコウは冒険者ギルドに一緒に行くかどうかをフェニに聞いてみるも、どうやら行く気は無いようで、乱れたシーツが敷いてあるベッドの上に飛んでいく。


「あぁそう。じゃあ窓だけ開けとくから好きにしてくれ」


「キュイ!」


 とりあえず一緒についてくる気はないということなので、コウはもしかしたら出掛ける可能性もあるかもしれないと思い、部屋の窓を少しだけ開けておくことにした。


 そしてそのまま部屋を出たコウは念のためにライラも一緒について来るかどうか確認しようと思い、隣の部屋の扉の前に立つと、何度かコンコンと軽快なノック音を鳴らしていく。


 しかしライラは未だに寝ているのか、それとも朝早くから出掛けているのか分からないが、部屋の中からは物音せず、反応が一切ない。


「いないのか...?まぁいいや」


 そのため、コウはライラをそのまま放置して届いているかもしれない郵便物などを確認するために冒険者ギルドへと向かうことにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新予定日は12月23日になりますのでよろしくお願いします。

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