466話
ガラガラと車輪が回転し、テンポ良く地面を踏みしめる音を背景音楽にコウ達はローランに向けて着実に進んでいた。
そして新たな旅の仲間であるロバーツと共に馬車に揺られているコウはローランに到着するまで何もすることがなく、暇ということなので、何故神父なのに旅をしているのかについて話を聞いてみることにした。
「そういえばなんでロバーツは旅をしてるんだ?仮にも神父なんだろ?普通は教会とかにいるものじゃないのか?」
「それが養子の息子を探してまして。そのために私は旅をしているのです」
「息子さんをなんで探しているんですか~?」
「いや...何と言いますか...その...恥ずかしながら喧嘩別れをしてしまいまして」
どうやらロバーツが旅をしている理由というのは養子として迎え入れた自身の息子と喧嘩別れしてしまい、謝るために探しているらしい。
そしてロバーツはライラの第2の故郷である聖都シュレアからこの場所まで身体1つで来たらしく、ここまで来たのもコウ達が日々拠点としているローランに息子がいるという情報を得たからとのこと。
まぁ王都などよりもローランは小さいが、それでも多くの人が住んで栄えている街ではあるため、そこから特定の人物を探し出すのは容易ではない。
またローランにいるかもしれないという情報が果たして本当なのかどうかも分からないので、もしその情報が偽の情報であれば。ここまで来たのも徒労に終わってしまうだろうか。
「見つかると良いですね~」
「もしあれなら冒険者ギルドに依頼を出すのも良いかもな」
「ありがとうございます。そうですね...もしかしたら冒険者ギルドにお願いするかもしれないですね」
そんなロバーツの身の上の話を聞きながら、ゆっくり他のことについても雑談していると、馬車の進む速度が体感でも分かるほど速くなっていき、揺れる振動についてもどんどん大きくなっていくことにコウ達は気がついた。
コウ達はローランに早く到着したいから馬車の速度を上げているのでは?と思っていたのだが、途中で御者席が見える小窓からコンコンとノック音が聞こえてくる。
そのため、御者から馬車の速度を上げた理由について何かしらの話があるのだろうと思ったコウは小窓を開けてみると、そこには何かお願いしたそうな表情をした御者の顔が見えたということで、何があったのかについて詳しい話を聞いていくことにした。
「どうしたんだ?」
「それが魔物に見つかりまして...冒険者様のお力で何とかなりませんでしょうか?」
詳しい話を聞いてみると、どうやら今現在、後方から馬車を追いかけてくる魔物がいるようで、馬車の速度を一時的に上げているらしい。
ただこのまま速度を維持することは、精々数分といったところらしく、冒険者であるコウ達に何とか魔物を追い払って欲しいとのこと。
「ん...それは俺達の出番だな。分かった任せろ」
ローランはまだまだ先であり、今ここで流石に足を失う訳にはいかないということで、コウは御者からのお願いに対して二つ返事で返すと、小窓を閉めてすぐさま左右に取り付けてある窓から身を乗り出し、馬車の後方を確認することにした。
するとそこには御者の言っていた通り、魔物と思われるものが物凄い速度でこちらに向かって迫ってきており、確かにこのまま放置すれば、いずれ馬車の速度が少しでも落ちた際に追いつかれてしまうだろうか。
「どうしたですか~?」
「魔物が追ってきてるから何とかするぞ」
「なるほどですね~了解です~」
「キュ!」
とりあえず現状の状態を把握できたということで、コウはライラに先程御者と話していた内容を伝えていく。
そしてコウ達は後方から迫る魔物をなんとかするために左右に取り付けてある窓から身を乗り出そうとすると、ロバーツが唐突に話し掛けてきた。
その話し掛けてきた内容というのはロバーツが後方から迫り来る魔物を任せてもらえないかという提案であった。
本来であればここは冒険者であるコウ達の出番なのだが、何やらロバーツは後方から迫りくる魔物を対処できる自信がある様子。
とはいえ、まだ出会ってから数時間しか経過していない相手の言葉を信用できるかどうかはまた別の話である。
しかしロバーツからは身体1つで旅をしてきたという話を事前に聞いているため、どれだけの実力を持ち合わせているのかについてコウは確認がしたいという気持ちも少なからずあった。
例えロバーツが後方から迫る魔物の対処に失敗したところで、自身達が待機していれば、すぐに対処することが出来る筈だろうか。
そのため、コウはロバーツの実力がどれだけあるのか確認するべく、迫りくる魔物の対処を任せてみることにするのであった...。
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