461話
あれからコウ達はディルとゆったりとしたお茶会の時間を過ごし、いつの間にか辺りは暗くなったのだが、なんと有難いことに夕食もご馳走してくれることとなった。
ただあまり身体を動かしてはいないし、用意されていた様々な種類のお菓子を際限なく、食べていたので、夕食はなるべく多めにしないようにして欲しいと、ディルにはお願いだけをしておいた。
ちなみにフェニはいつの間にかディルの従魔達が過ごしている花鳥園でコウ達よりも先に食事を済ませたらしい。
そしてコンコンと部屋の扉がノックされると「夕食の準備が出来ました」という侍女の声が聞こえたということで、コウ達はディルと共にこの屋敷にあるダイニングルームへ移動することとなる。
「わぁ〜良い香りがしてきましたね〜」
「そうだな。結構お菓子を食べたけどまだいけそうだ」
ダイニングルームへ近づくにつれて、何処からか香ばしい匂いがふわりとコウ達の鼻腔を刺激し、先程までお菓子を食べていたというのに胃袋が急いで隙間を作り出そうとしている気がしないでもない。
「そこらのお店よりは美味しいと思うから楽しみにしててよ」
どうやらディル曰く、屋敷が出す食事にはそれなりの自信があるようなので、楽しみといったところだろうか。
そのままダイニングルームの前に到着すると、両開きの扉の前に立っていた侍女達が扉を開けてくれるので、コウ達は流れるように中へ入ると、その部屋の中には長方形の長机が置かれ、周りには庶民では手が入りにくそうな小物がちらほらと置かれていたりする。
また長方形の机の上には3人分のフォークとナイフのセットが置かれているが、コウはとあることに気がついた。
それはディルの他の家族の分がないということである。
「家族は一緒に食べないのか?」
「父と母は旅行だし妹達は学園で暮らしているからね」
話を聞いてみると、どうやらディルの家族は旅行に行ったり、学園で暮らしていたりしているようだ。
まぁ三女であるメリルとは面識があるのだが、他の兄妹や父と母と面識はなく、一緒に食事をしたりするのは流石に気まずいということなので、コウとしては正直なところラッキーではある。
とりあえず入り口で立ったまま話しているのもあれなので、コウ達はそのまま用意された席へ着くと、後ろに控えていた侍女達がせっせと準備をするため、動き出す。
そして席に着き、暫く料理を待っているとワゴンに乗せられた料理がコウ達の下へと運ばれてきた。
最初は前菜ということで、皿の上には新鮮な野菜で作られた小料理が幾つか盛られた軽いものとなっていたりする。
「美味しそうですね〜」
「そう言ってくれると嬉しいよ。沢山食べてくれ」
そして全員の前に料理が届けられたということでディルとライラは早速、両手にナイフとフォークを持ち、食事を楽しみ出すので、コウも同じように両手に置かれていたナイフとフォーク持つが、つい手を止めてしまった。
どうして手を止めてしまったのかというと、それはコウ自身がテーブルマナーについてあまり詳しくないということに気づいたからである。
ナイフとフォークの使い方ぐらいなら多少なりとも分かるのだが、それ以外で何かしらのマナーを学んでいるかと言われると、なんとも言えないところだ。
以前、コウが参加したイザベラ主催のパーティーに関しては立食だったため、そこまで気にすることはなかったのだが、今回は違うということもあって、もし粗相があったりしたら良くないのでは?と少しだけ不安になってしまう。
「ん~?コウさんは食べないんですか〜?」
「もしかして苦手な物でもあったのかい?」
そしてコウが出てきた料理に手をつけないでいると、ライラとディルは疑問に思ったのか話しかけてきたので、素直に何故手を止めていたのかについて口を開くことにした。
「あー...あんまりこういう場のテーブルマナーに詳しくないのを思い出してな」
「なるほどね。まぁ堅苦しい場じゃないから好きに食べて欲しいかな」
「私もあまり詳しくないから大丈夫ですよ~」
そのため、自身の抱えていた不安を打ち明けると、ディルとライラは笑いながら問題ないと、コウの悩んでいたことを吹き飛ばしてくれた。
ということで、コウはテーブルマナーを気にすることなく、出てくる美味しそうに作られた料理を1つ1つ堪能していくのであった...。
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追記:寝落ちして更新遅れました。申し訳ありません。




