460話
「さぁここが僕の住んでいる屋敷だよ」
そしてフェニをルー達が生活している花鳥園に置いていったコウ達はディルの生活している屋敷の前へと到着したということで、そのまま屋敷の中に吸い込まれるよう入ってゆく。
屋敷内に入ると、玄関ホールには何名かのメイド服を身に付けた侍女達がピンっと背筋を伸ばした綺麗な姿勢で待機しており、コウ達を迎え入れるかのようお辞儀をしてくる。
「じゃあ御礼の品を用意するから客間でゆっくりしておいてよ」
ディルは何やらお礼の品を用意するとのことで、この場を離れてしまい、今度は侍女達にコウ達は連れられ、客間まで案内されることとなった。
「こちらのお部屋でお待ち下さい。すぐにお茶もお持ち致します」
「あぁありがとう」
「ありがとうございます〜」
そして侍女達について屋敷内を歩き、客間まで案内されたコウ達はその場で待つようにとお願いされたため、お礼を言いつつ、案内された客間に入ると、値が張りそうなソファーへ腰を掛けることにした。
またソファーの側に置かれた机の上には様々な種類のお菓子が自由に摘めるようにと用意されていたりと、いたせり尽せりのおもてなしといったところだろうか。
「失礼します。お茶をお持ち致しました」
暫く、用意されていたお菓子を摘みつつ、コウとライラは話に華を咲かせていると、入ってきた扉がコンコンとノックされ、外から先程案内してくれた侍女からお茶を持ってきた旨を伝えられた。
そして扉を開けてコウ達の前へと淹れたてのお茶が入ったティーカップを置かれるが、貴族の屋敷の茶器ということで、高級感溢れるデザインとなったものであり、落として割ったりでもしてしまえば、幾ら補填をしなければいけなくなるのか分からない。
まぁ払おうと思えばきっと払えるだろうが、無駄な出費はしない方が良いということで、コウ達は慎重に持ちつつ、お茶を味わうことにした。
「コウ君達待たせたね!」
すると部屋の扉が大きな音と共に開き、つい手に持っていた高そうなティーカップを床に落としそうになってしまい、振り向くとそこには息を少し切らせたディルが何かが入っていると思われる梱包された箱を脇に抱えながら立っているではないか。
「びっくりさせるなよ!落とすとこだったぞ!」
「少し焦りましたぁ〜...」
「ごめんごめん!」
そんなディルは平謝りをしつつ、コウ達の前にある同じようなソファーへと座り、控えている侍女達にお茶を淹れるように頼んでいた。
そして侍女達にお茶を用意されたディルは一口だけ口に含み、ホッと一息つくと、机の上にあるお菓子を少しだけ横に退かして空き場所を作りだす。
するとディルは持ってきた箱を膝に乗せると、梱包を剥がし、中にある物を取り出して空き場所へ置いた。
その取り出した物とは幾つかのティーカップとティーポットのセットであり、この場所に持ってきたということはコウ達に対しての御礼の品という物だろうとは予想ができる。
「これはティーセット?」
「ただのティーセットじゃないよ。実は魔道具なんだ」
話を聞く限り、どうやら目の前に置かれたティーセットは魔導具らしく、中に茶葉と水を入れて魔力を込めると、美味しいお茶が作れる代物のようで、お茶会を開く際に使える便利なものであった。
確かにこれがあれば、いつでもどこでも温かいお茶が飲めるし、便利であるのは間違いなのだが、本当にこんな良いものを貰ってもいいのだろうかと思ってしまう。
「本当にこれ貰って良いのか?」
「いいよいいよ。僕は既に持ってるしルーのことを助けてくれたからね」
「じゃあ貰おうかな。後で返してって言っても返さないからな」
「コウさんよかったですね~」
ということで、ディルからの御礼の品であるティーセットを受け取ったコウはそのまま収納の指輪の中へ仕舞い込むと、まだ机の上に残っている様々なお菓子を堪能しつつ、お茶を飲みながら談笑をして1日を過ごすことにするのであった...。
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