459話
そして翌日の昼過ぎに街の鐘が鳴り響いた頃、コウ達はディザーから報酬として受け取った綺麗に折り畳まれた1枚の紙に描かれた地図を見ながら、ディルが住んでいる屋敷へ向かって王都の街中を歩いていた。
何故、昼過ぎに向かっているのかというと、ディルから届いた招待状へ、その時間帯に来て欲しいとお願いが書かれていたからである。
個人的には屋敷の場所などについても一緒に書いておいて欲しかったというのがあるが、まぁそこは会った時にでも言えばいいだろうか。
「ん~この地図によると目の前にある角を曲がった先ですね~」
「みたいだな」
「キュイ!」
そして地図に描かれている通りに王都の街中を進んでいくと、少し離れた先にイザベルが生活している白薔薇騎士団の屋敷の門ほどではないが、それなりに大きな門が見えており、そこにはとある人物が門番と立ち話しをしているのも一緒に見えた。
そのとある人物とは今回、コウ達のことを招待した本人のディルであり、向かってくるコウ達の存在に遠目でも気づいたのか、大きく手を振ってきたので、同じように振り返す。
「やぁコウ君達。来てくれてうれしいよ」
「ローランで会ったぶりだな」
「お久しぶりです~」
「キュ!」
「立ち話もあれだから屋敷に案内するよ」
門の前にコウ達は到着したということで、お互いに挨拶を済ませ終わると、ディルが早速ではあるが、屋敷の中を案内してくれるようで、目の前にある大きな門は鉄が軋む音を鳴らしながら門番が開けてゆく。
そして大きな門を通り過ぎ、屋敷の敷地内へ入ると、コウ達は綺麗に整備された道を歩き、談話しながらディルの後ろをついていくことにした。
そんな屋敷へ向かう途中、ドーム状の形をしたガラス張りの大きな建物があり、コウは何の建物なのか少し気になって目が奪われる。
「あれって何の建物なんだ?」
「あれかい?あれは僕の従魔達の家だね」
「従魔ってルーとかの?」
「そうそう。他の子達も一緒に暮らしているんだ」
そのため、コウはディルに何の建物なのかについて聞いてみると、それは従魔達が普段から生活している建物らしい。
似たようなもので例えるとするならば花鳥園などが近しいだろうか。
「そうだ。少しだけそっちも案内しようかな」
そしてディルはその建物も案内してくれるようで、そのままドーム状の形をしたガラス張りの建物へと向かうので、コウ達もついていき、中に入ると、そこには見たこともない様々な羽色を持つ鳥の魔物達が空を飛んだり、木に止まったりと生活していた。
そんな魔物達は自身の主人であるディルが入ってきたことに気づいたようで、何匹もの鳥の魔物達がバサバサと翼を動かし、ディルの元へと集まってくる。
「全部従魔なのか?」
「そうだよ。僕は鳥の魔物と相性が良いのかよく懐いてくれるんだよね」
そしてそんな見たこともない種類の鳥の魔物達を見ていると、ディルの隣にあった木の枝へ何処かで見たことのあるような青い鳥が止まった。
その鳥の魔物とは以前、コウがローランで助けたルーであり、コウの頭の上でジッとしていたフェニがルーの存在に気づいたようで、久しぶりに会えたことが嬉しいのか、そのまま同じ木の枝の場所へと飛んでいってしまう。
「ピィ!」
「キュイ!」
そしてお互いは久しぶりに再開したということで、仲良さげに鳥の言葉で会話をしており、楽しげにしているではないか。
まぁフェニもルーとは近しい種族の魔物同士ということで、気が合うのだろう。
だとすればこのままフェニを少しの間、置かせてもらい、日々のストレスを発散して貰うのも悪くないかもしれないので、コウはディルにフェニを遊ばせても良いか聞いてみることにした。
「このままここでフェニを少し遊ばせても問題ないか?」
「問題ないよ。僕の従魔達なら君の従魔とも仲良く出来るだろうしね」
そのため、一緒に連れていたフェニをディルの従魔達が生活している花鳥園で少しだけ遊ばせることにし、コウ達はその場を離れると、再び屋敷へ向かうことにするのであった...。
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