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452話

 新しい扉から出ると、そこは一本の通り道だが、元来た道と違って左右に様々な魔物の剥製が置かれ、ちらほらと装飾がされていた。


 そして通り道は地下ということで、2つの足音がこつこつと規則正しく響き渡り、その足音を響かせているのはコウとニコルの2人組である。


 そんな足音を響かせながら、コウ達が向かっている先はこの屋敷の主であるデモンの元であるのだが、実際にこの通り道が何処に繋がっているのかは分からない。


 とはいえ、何度か階段を登ったりしているので、屋敷の敷地内の何処かしらに繋がっているだろうし、そのうち外に出られると思っていたりする。


 まぁもし地上に出られなくとも、元来た道を戻って隠し通路から地上に戻ればいいだけの話なのだが、引き返すのは面倒であるため、出来ればこのまま地上に出たいところ。


「ん?扉?」


「ようやく地下から出られそうみたいだね」


 そしてある程度歩いたコウ達の目の前に現れたのは、中心部に透き通った水晶のような球状の物が埋め込まれた豪華な作りの扉であり、ネズミ1匹も通さないようにそれは固く閉ざされている。


「ちょっと開くか試しに押してみるか...よっと!」


 とりあえずコウは内側から開けることが出来ないか、試しに目一杯力を込めて両手のひらで押してみるも、ビクともせず、扉は一切動く気配がない。


「駄目だ。これはライラじゃないと開かないかもしれない」


「んー...普通は内側から開けれるようになってる筈だけどこの扉は何かしらの仕掛けがあるのかもしれないね」


 本来、このような扉は内側からでも開けることが出来るように作られている筈なのだが、鍵の様なものは一切見当たらなかった。


 ということは扉自体に何かしらの仕掛けが施されていると思われるのだが、コウ達にはどうやったらこの扉が開くのか検討もつかない。


 念のため、どうにかして開けることが出来ないか、隅々までしっかりと調べてみるもこれといって怪しい部分はなく、唯一何かありそうなのは、扉の中心部に埋め込まれた水晶ぐらいだろうか。


「どうする?来た道を戻るか?」


「うーん...せっかくここまで来たのに引き返すのもねぇ...」


 ここまで来たというのに今更、引き返すのは面倒であるのは同意見なのだが、目の前の扉を開けられないのであれば仕方ないことなのだろう。


 そのため、コウ達は諦めて来た道を引き返すために(きびす)を返して歩き出そうとすると、中心部に埋め込まれている水晶がぼんやりと白く光り、ガチャリと音を立てながら、ギィっと開き始めた。


 そして、そこに現れたのはデモンと何名かの護衛と思われる見た目をした者達が固く閉ざされていた扉の開いた先に奥におり、デモンはコウ達を見るや否や驚きの表情を浮かべながら餌を食べる鯉のように口をぱくぱくと動かしていた。


 何故そんな表情をしているのかというと、絶対に入られることはないと自信を思っていた頑丈に閉ざされていた扉の内側からコウ達が現れたからだろう。


「な...何故ニコル様がこんな場所に...!?まさか隠し通路を...?だったら中にいる魔物達まで...」


 コウ達がどうやってこの中に侵入したのか?奥に隠していた従魔達のことについて知られてしまったのではない?など、デモンは察しが良いのか、すぐに気がついているのようで、額からだらだらと冷や汗が流れ出していた。


「さて...デモン。幾つか聞きたいことがあるんだけど良いかな?」


 そんな冷や汗をかいているデモンに幾つか質問したいとニコルが一歩踏み出して言い放つと、じりじりと後ろに下がりつつ、何かしらの言い訳を考えるかのように目を泳がせていた。


「いやはや少し急用を思い出しました!失礼させて頂きます!お前ら!ニコル様の相手をしてあげなさい!」


 すると何かを思いついたかのようにデモンは苦しい言い訳をその場に残しながら、何名かの護衛にコウ達を足止めしろと命令しつつ、くるりと反転してドタドタと腹の肉を揺らし、逃げるように走り出した。


「コウ君。よろしく頼むよ」


「分かってる」


 そんなデモンの姿を見たニコルからよろしく頼むと一言だけ伝えられ、詳しく何かを説明されることはなかったが、言いたいことは何なとなく理解していたので、逃げ出すデモンに向かって追いかける様にコウもその場から駆け出す。


 そして、その場に放置された何名かの護衛は急に命令されたことによって理解が追いついていないのか、そのまま追いかけるコウを止めることが出来ず、すんなりと護衛達の横を通り過ぎることが出来た。


「逃げるなって!」


「うぶっ...!わ...私は貴族だぞ!こんなことして許されると思っているのか!」


 逃げ出したデモンに一瞬で追いついたコウは捕まえるためにサッと足払いをすると、顔面から地面へ倒れ込むが、すぐに面をあげて貴族だと権力を振りかざすかの様に主張し出した。


 しかしデモンの言葉にコウは一切耳を貸さず、そのまま後ろ襟を掴むと、ずるずると引き摺りながら、力尽くでニコルの元へ連れて行くのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は11月19日になりますのでよろしくお願いします。

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