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45話

 コウとフェニは馬車にがらがらと揺られながら王都へと向かっていた。


 王都へ向かっている理由としては白薔薇騎士団の団長からお茶の誘いが来たためだ。


 前回勝手に暴走したエリスのせいでコウは迷惑を被ったためそれの謝罪を込めたお茶の誘いだろうか。


 まぁわざわざ誘いを拒否する理由もなく、更にはこの世界に来てから甘いものを全然食べれていなかったために甘いもの目当てでコウは参加することを決めたのだ。


「ん~たまには馬車に乗るのもいいな」


 馬車へ最後に乗ったのはルーカスの馬車が最後だったろうか。


 この馬車もルーカスほど乗り心地が良いわけではないが十分振動も少なく乗りやすい馬車となっていた。


 それもその筈だ。この馬車の運転手はルーカスの一番弟子が運転しており、馬車もそれなりに良いものを使っている。


 何故この馬車に乗れたのかというと王都へ行きたいとルーカスに相談したところ偶々王都へ行く人物がいるとルーカスから話を聞いたので護衛ついでに乗せて貰ったのだ。


 王都へ行く途中多少ゴブリンに絡まれたりはしたがコウならば余裕で対処できるレベルだったのでスムーズに王都へ馬車が進んだ。


「もうすぐで王都に着くっすよ~コウさん!」


 御者がそろそろ王都に到着することを教えてくれて窓から外を見るとそこにはコウが拠点としているローランの街より更に何倍も広そうな街が広がっており、奥には海が見えていた。


 遠くから街を見ると城を中心に区分けが綺麗にされているように見える。


「おぉやっぱりローランの街より随分と広いな~城とか初めてみたし海もあるんだな」


「まぁこの大陸では1位2位を争うほど栄えてる場所っすからねぇ~」


 街への入る場所に入る門を見ると跳ね橋が掛かっており、ローランよりも長蛇の列が並んでいるのが見える。


 まぁ長蛇の列とはいえローランの街と同様に商人は商人専用の入口があるので前回と同じようにコウも街へと入れるはずだ。


 商人用の列に並ぶと御者からゆっくりしてくれと言われたので荷台の上の布部分で寝そべる。


 荷台の上は日当たりがよく時々揺れる馬車の動きで眠気を誘いコウは少しだけ目を瞑ると意識が遠のいていく。


「コ...さ...コウ...さん!コウさん!起きてくださいっす!」


 どれくらいの時間寝てしまっただろうか?御者の呼ぶ声が下から聞こえ、コウはむくりと起き背筋を伸ばす。


 隣ではまだフェニが寝ており、フェニの体を揺すると起きいつもの左肩へと乗る。


「すまん寝てた」


「あぁ荷台の上は気持ちいいっすもんね~それはそうとそろそろ門前なんで準備をお願いします!」


 コウは荷台の上から降りると馬車の隣をゆっくりと歩く。


 暫くすると門の前へと着くと大柄な門兵がこちらへと歩いてくる。


「あ~あんたが商人だな。とりあえず荷物の確認をさせてもらうぞ~。あと隣にいるこの坊主は見習いか?」


 大柄な門兵は面倒くさそうに荷物を探し御者にコウは見習いかどうかを確認する。


「いえこの人はうちの護衛の方っす!」


「護衛~?この坊主が?人材不足なんかねぇ...坊主一応確認だがギルドカードかなんかあるか?」


「あぁこれな」


 大柄の門兵に証明出来るものがあるか確認されたため、コウは収納の指輪へ仕舞っていたギルドカードを取り出し手渡す。


「おぉ悪いな坊主。本当に護衛だとは思わなかったんだ。ありがとよギルドカードを返すぜ」


 ギルドカードを確認し終わった門兵は先程の態度の悪い対応の仕方を反省したのかコウへと謝罪してきた。


 悪いと思っているなら今後はどんな相手にもやらないようにはして欲しいものである。


「いやいつものことだから気にしてない」


「そうかい。まぁ飯食って大きくなりゃ舐められないようになるさ」


 そうこうしているうちに馬車の荷物の確認も終わると街へ入れるようになっていた。


「んじゃ改めてアルトマード王国へようこそ。ここは大陸一栄えてる場所だぜ?楽しんできな!」


 門兵と別れを済ましコウは再び御者と共に街の中をがらがらと馬車に揺られる進んでいく。


「ルーカスさんから宿の場所を紹介しておいてくれってお願いされてるっすから案内しますね!」


 どうやらルーカスから宿の場所も案内するようにと言われていたらしくコウはルーカスにそっと感謝をの念を送る。


 馬車がゆっくりと止まり窓の外を覗くとそこはそれなりに綺麗な建物がずらりと並んでいた。


「コウさん着いたっすよ~。ここならそれなりの価格でなかなか良い待遇が受けれるっす!」


「あぁありがとう助かったよ。また何かあったらよろしくな」


「こちらこそ護衛ありがとうございましたっす!また機会があればお願いします!では失礼するっす!」


 馬車ががらがらと動き出しルーカスの一番弟子とも別れを済ました後コウは宿の中へ入っていく。


「安らぎの森亭へいらっしゃいませ~!お客様は1名様でしょうか?」


「あぁ1人と1匹だな」


 コウは肩に止まっているフェニに視線を動かすと受付嬢も理解したようだ。


「失礼しました!では何泊なされますか?従魔の代金は必要ありませんのでお客様は1泊金貨2枚になります!」


「ん~とりあえず2泊頼む。じゃあ金貨は4枚だな」


 コウは収納の指輪から金貨を4枚出し受付嬢へと渡すと部屋の鍵を貰う。


「では奥の201号室がお部屋になります!また朝食と夕食は部屋までお持ちいたしますが不在の場合は後ほど話を頂ければ再度食事をお持ちしますのでお声掛け下さい!」


 受付嬢からある程度の宿のシステムを聞いた後部屋へと入ると、金貨2枚相応の綺麗な部屋となっていた。


「それにしても受付の対応がぜんぜん違うな。ここはいい宿だ」


 普段ならコウは子供のような見た目をしているため多少なりとも対応が雑になったりするのだがこの宿は教育が完璧に施されているのか心地よい対応をしてくれた。


「さぁフェニ今日はゆっくりして明日は白薔薇騎士団のギルドにでも行くぞ」


「キュイ!」


 こうしてコウとフェニは無事王都に到着し明日へ備えるため宿でゆっくりと休憩するのであった...。

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