448話
その突き当りの場所に辿り着いてからというもの、とりあえず最初は左右にある小部屋の中に何かしらの仕掛けがないのではないかと思い、コウ達は隅から隅まで探すも、そこには多くの机や椅子が仕舞い込まれているだけで、仕掛けのようなものは一切見つからなかった。
そして後に残されたのは突き当りの場所だけなのだが、パッと見た感じは特に何かしらの仕掛けが施されているようには見えなかったりする。
とはいえ、イヤーカフの魔導具から伸びる光の線は突き当りの下を示しているので、何かしらの仕掛けがどこかにあるはずなのだが何も見つからない。
「うーん...何もないみたいだな」
「そうですね~特に変なところはないです」
「ひとまず休憩にしようか。効率も悪くなるしね」
とりあえず行き詰まってしまったということもあり、ニコルからはひとまず休憩しようと提案されたため、コウ達は小部屋から出ると、突き当りの場所でお互いに情報を共有することにしたが、これといって何も得られたことはない。
「はぁ...絶対なにかあるはずなんだけどなぁ...って背中になんか変な感触が...」
そのため、コウは頭を悩ませながら突き当りの壁により掛かると、背中に触れた一部だけ何かを押し込んだような感触が伝わった。
するとカコっと足元から何かが外れる音がしたため、何の音だろうと思いながら足元に視線を向けると、それは床の一部であるタイルが外れかけていることに気づく。
「何だこれ?」
「これって地下への入り口じゃないですか~?」
「何にもない壁だと思ったけどまさかそんな場所に押す部分があるなんてね」
ライラがその外れたタイルを退かしてみると、それは人1人が通れるようなスペースであり、下に向かって真っ直ぐと梯子が降りているので、きっと地下への入り口だと思われる。
もしコウが突き当りの壁により掛からなければ、背中で仕掛けの部分を押すこともなく、気づくことはなかっただろうか。
とはいえ、地下への入り口を見つけたということは、やはりフェニはこの屋敷にある地下へ捕らわれているのかもしれない。
「どうしますか~?」
「入り口が見つかったなら降りてみよう。フェニを早く取り戻したいし」
「いやーこういうのってワクワクするね。気をつけながら行こうか」
とりあえず何が起こるかわからないので、警戒しながらもコウ達は何かがあると思われる地下へ向かうために梯子を降りていくと、そこは灯りの魔導具が置いてあるも若干薄暗い一本の通り道となっており、また通り道の幅に関してはそれなりに広く作られているため、コウ達が横並びになっても歩けるようになっている。
そして特に何も罠や見張りのような者も見当たらないので、問題ないと判断したコウ達はそのまま歩いていくと、途中で鉄格子の扉が道を阻むかのように現れる。
「うーん...これじゃあ流石に先に進めないね...」
「何を言っているんだ?特に問題ないぞ。ライラここは任せた」
「は~い私に任せてください~」
どうやらニコルは鉄格子の扉を通れないと思っているようで残念そうにしているが、これくらいであれば、コウ達にとって特に問題はないのだ。
何故ならば今回は同行者にライラが一緒にいるからである。
鉄格子の扉の対応を任せたライラは早速、ある程度自由に扱えるようになってきた赤いオーラを手に纏わせると、鉄格子の扉へ手を掛けて、まるで粘土細工のようにぐにゃりと糸も容易く曲げて通り道を作り出してゆく。
「これで通れますよ~」
「ん...助かった。じゃあ先に進むか」
「...君達って意外と脳筋なんだね」
そのままコウ達は道を阻むかのようにあった鉄格子の扉を通り抜けて進んでいくと、そこも同じように灯りの魔導具が幾つも置いてある広い空間に辿り着いた。
そしてそんな広い空間に辿り着いたコウ達が最初に目にしたのはまだ生きている魔物が頑丈そうな鉄檻の中へ閉じ込められているといった光景であった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m
次回の更新は11月11日になりますのでよろしくお願いします。




