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441話

「さて...あの2人組からどんな情報が出たかな?」


 ディルと出会い、別れてからの数日後。ジールへ引き渡した2人組はどうなったのか聞くため、ちらほら白い雲が浮かぶ青々とした空の真上へ太陽が位置する頃合いにコウは冒険者ギルドへと訪れていた。


「コウさんこんにちは。依頼をお探しですか?この依頼とかおすすめですよ」


 そして冒険者ギルドの中に入ると、掲示板の前でサーラが木製の小さな足場台に乗りながら、追加の依頼書をせっせと張り出している姿が見え、サーラはコウの存在に気が付いたのか手を止めて挨拶を挟みつつ、話しかけて来た。


 またサーラはコウが依頼を受けに来たと勘違いしているようで、ほんの数秒で何枚かある依頼書の中からコウに丁度良いおすすめの依頼を選び出しており、冒険者ギルドの職員の中ではとても優秀だと分かる。


 といっても今日の目的はジールと会うことであり、依頼書を幾つか見繕ってもらって悪いのだが、サーラに依頼を受けることはしないという旨を伝える必要があるだろうか。


「選んでもらって悪いが今日はジールさんに話があって来たんだ」


「あぁそうなんですね。ギルドマスターならいつものお部屋にいますよ」


「ん...分かった。ありがとな」


 そのため、コウは今日の目的についてサーラに伝えると、勘違いしていたということを理解したのか依頼書を元の掲示板へと再び貼り直しつつ、ジールはいつものギルドマスター室で仕事をしていると伝えられた。


 とりあえずサーラにお礼を言いつつ、コウはいつも通り、2階へと続く木の階段をミシミシと一歩ずつ踏み鳴らしながら登り、小窓から陽光が差し込む廊下を少し歩くと、ジールがいると思われるギルドマスター室が見えてきた。


 そしてギルドマスター室の扉を何度かいつものように何度かノックをすると、部屋の中から「入れ」と一言だけジールの低い声が聞こえ、中に入る許可を得たということで、コウはひんやりとする真鍮製のドアノブを片手で包み込みながら捻り、扉を開けて中へと入ってゆく。


「なんだお前さんか。もしかしてあの2人組についてか?」


「そんなとこかな」


「まぁそうだろうな。とりあえずお前さんにも伝えておくか」


 部屋の中に入ると、ジールは鋭い眼光でちらりと見ると、コウが何故ここに訪れたのか察してすぐに理解したのか、無駄話をせずに本題である2人組について口を開き始めた。


 ジールの話を聞くと今回、ディルの件で捕まえた2人組というのはやはりローランの端に住んでいるデモンという貴族が雇った者達であったようで、その2人組が何を任されていたのかというと、珍しい魔物をどんな手でも使って集めろといったことであった。


 そのため、その2人組は王都にいた際、たまたま王都の街並みを散歩をしていたと思われるルーを上手いこと用意した鳥籠内へ捕らえることに成功したので、数日前にローランへ訪れ、デモンという貴族にルーを引き渡しにきたらしい。


 それ以外に何か頼まれていることや何か詳しい話を聞いていないかについて聞いてみたところ、特にそれ以外の話は聞いていないようで、きっとデモンという貴族にとって2人組はただの捨て駒のような存在だったのだろう。


「そうだったんだな。あの2人組はどうなったんだ?」


「2人組はこの間の貴族に連れてかれて今頃は王都に向かっとるだろうな」


 どうやらあの2人組に関しては話を聞き終えた後、観光を終えたディルとともに王都へ一緒に連行されたとのことなので、きっと貴族の従魔に手を出したということで然るべき罰を受けるのかもしれない。


 というか結局の黒幕はやはりローランの端に住んでいる貴族の可能性が高いということが結果として分かったが、これからどうするのかについてジールに聞いてみると、ローランを収めている領主のニコルに聞き出した情報を全て放り投げたとのこと。


 そして領主であるニコルは早速、デモンという貴族に対して屋敷内を調査したいと連絡しているのだが、返答は一切返ってこないらしい。


 そのため、いずれは強制的に調査することになるようなのだが、その際に調査する人員が足りないようで、冒険者ギルド側から応援として何名か人員が欲しいとニコルからお願いされている。


「どうだ?お前さんがよければ行ってみるか?」


「いや別に良いかな。ディルからの手紙がいつ来るかわからないし」


 ジールからはその強制捜査を調査する人員として参加してみないかと誘われるが、そのうち届くであろうディルからの招待状の件があるため、コウは首を横にふるふると振るい、参加しないという旨を伝えると、少し残念そうにしていた。


「まぁ気が変わったら教えてくれぃ」


「気が変わったらな。そういえばこの間の報酬って用意できたのか?」


「そいつについてはもう用意してあるから帰る時にでも受け取っとけ」


「分かった。じゃあそろそろ帰らせてもらおうかな」


「おう。またな」


 そういえばコウは以前、盗賊達の拠点を鎮圧しに行った際の報酬を受け取っていないことを思い出し、ついでとして報酬は用意してあるのかジールに聞いてみると、どうやらすでに用意してあるとのことであった。


 とりあえず聞きたいことも全部聞けたということで、コウはジールに別れの挨拶を済ませると、ギルドマスター室から出て、冒険者ギルドの受付に立ち寄り、用意されていた報酬をしっかり受け取った後、そのままライラ達が待っている宿へ寄り道せずにまっすぐ戻ることにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は10月28日になりますのでよろしくお願いします。

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