436話
南区から西区へ無事に戻り、ディルの従魔であるルーを取り返すことが出来たということで、コウは自身の泊まっている宿である小鳥の止まり木へと戻っていた。
特に追われているなどの様子もなかったため、ここにいる事はバレていない筈なのだが、2人組には格好を見られているので、これからはなるべく普段使いしている外套を着て外に出るのは控えた方が良いかもしれない。
「お〜コウさんお帰りなさいです〜」
「キュイ!」
そして自身の部屋の扉を開けると、そこにはライラとフェニが仲良くベットの上でごろごろと横になっており、コウが帰ってきたことに気付いたようで、出迎えてくれたが、部屋に入れた覚えはない。
「なんで俺の部屋でゆっくりしてる?というかどうやって入ったんだ...」
「フェニちゃんが開けてくれましたよ〜部屋で留守番しているのが寂しかったみたいです~」
「キュイ!」
どうやらライラがコウの部屋へ入れた理由というのはフェニのお陰のようで、留守番をしているのが寂しかったため、部屋に招き入れたようだった。
「あぁそう...まぁいいんだけどさぁ...」
「そういえば手に持ってる鳥籠はフェニちゃん用ですか〜?」
「これか?見せたほうが早いか」
コウの持っていた鳥籠にライラは気付いてフェニの為の物かと聞かれるが、とりあえず見せたほうが早いということで、鳥籠を机の上に置くと、被せている布を取り払う。
「キュ!」
「ピュイ!」
すると鳥籠の中にいるルーの存在にフェニは気づいたようで、近くまで寄ってくると、お互いに見知った顔だということで中良さげに挨拶を交わし合っていた。
「え〜っと...確か王都で見た従魔の子ですよね〜?」
「そうそう。ディルの従魔だな」
「でも何でこんなところにいるんですか〜?」
「あーそれがだな...」
ライラの疑問はもっともであるため、コウは今までの経緯であるジールから聞いたことや西区で食事をした際に現れた2人組から聞いた会話内容を詳しく伝えることにした。
「なるほどですね~事情はわかりました~とりあえず窮屈そうなので出してあげませんか~?」
「そうだなって...何だこれ。鍵が必要みたいだな」
とりあえずライラの言う通り、鳥籠の中に閉じ込められているルーは窮屈そうにしているので、鳥籠の扉を開こうとするも、残念なことに南京錠のようなものが取り付けられており、鍵がなければ開けることは出来ない様子。
もしかしたらあの2人組のどちらかが鍵を所持しているかもしれないが、流石にあの2人組の前へ再び姿を現し、鍵を寄越せと言ったところで、くれる訳もないし、面倒なことになるのは確実である。
「ここは私に任せてください~」
そのため、南京錠のようなものにコウは四苦八苦していると、ライラから任せて欲しいと言われるので、そのままルーが入った鳥籠を手渡すと、赤いオーラを手に纏い出す。
「むんっ!」
そのままライラは手に力を込めるとバキッ!という音ともに鳥籠の一部分が壊れており、片手には鳥籠の一部分と思われる物が握られていた。
「ピュッ!」
そして鳥籠の一部分が壊れたことによって窮屈な鳥籠の中からディルの従魔であるルーが飛び出し、部屋にある机の上へと飛び降りてのびのびと羽を伸ばすと、毛繕いを始め出す。
「意外と脆いですね〜」
「そうだな...それにしてもどうやってディルに送り返そうかなぁ...住んでる場所知らないし」
とりあえずライラのお陰で鍵の問題は解決できたということなのだが、次の問題としてはディルの従魔であるルーをどうやって送り返そうかということである。
王都に住んでいるというのは何となく分かってはいるのだが、どこに住んでいるのかまでは知らなかったりする。
「だったらジールさんに相談するのはどうですか〜?もしかしたら何とかしてくれるかもしれませんよ~」
「あー...まぁそれもいいかもな」
確かに先程の2人組についての話は問題と思われる貴族に深く関わってくるかもしれないということで、多少なりとも関係性のあるディルの従魔のルーを保護してくれるかもしれないし、なんだったら王都まで無事に送り届けてくれるかもしれない。
「じゃあフェニ達をまた見といてくれ」
「了解です〜気をつけて下さいね〜」
とりあえず、あの2人組がコウの事をここまで探している可能性もあるため、普段使わない外套を収納の指輪から取り出して身に纏うと、ライラにフェニとルーの面倒を任せ、ディルの従魔であるルーをどうするかなど色々なことをジールへ相談するべく、再び冒険者ギルドへ向かうことにするのであった...。
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