433話
あれからというもの無事にローランへ到着し、盗賊達を引き渡してから小鳥の止まり木という宿にて徹夜の疲れを癒やしてから2日が経過したのだが、コウは昼頃に1人で冒険者ギルドへと訪れていた。
何故、コウが冒険者ギルドに来ているのかというと、ジールから個人的に呼び出されたからである。
そしていつも通り、受付を通り過ぎてジールの部屋であるギルドマスター室に到着すると、扉をノックして許可を得た上で中に入っていく。
「おう。悪いなわざわざ呼び出しちまって」
部屋の中に入ると、一通り書類が片付けられた机の上には追加としてなのか新しい書類が山のように積まれており、黙々とジールは処理していた手を休め、部屋に入ってきたコウを迎え入れてくれた。
「別に暇だったし問題無いぞ。で...何の呼び出しなんだ?依頼報酬か?」
「いや...依頼報酬はまたにしてくれぃ。色々と情報が出てきたからお前さんに共有しておきたくてな」
依頼報酬について何か話があるのではないか?と思い、話を聞いてみると、どうやら今回の件で盗賊達の拠点から色々と情報が出てきたようで、それに関してコウにも共有しておきたいということであった。
「ふぅん...まぁ話だけ聞いておこうかな」
まぁ聞いておいて損はないだろうし、とりあえず盗賊達の拠点から出てきた情報についてジールに話を聞いてみると、今回の黒幕もある程度は絞れてきたらしい。
ただ確たる証拠がまだ出てきていないので、そこまだ調査中の様でそのうち何かしらの情報が出てくるかもしれないとのこと。
因みに今回の黒幕の正体と思われている人物はコウ達の活動している範囲からかなり離れた場所であるローランの端っこに住んでいるという貴族であった。
その貴族とは以前、コウがBランクに上がるために進められた依頼の1つである珍しい魔物を探して剥製にして欲しいと言っていた依頼主であり、少なからず黒い噂もあるような人物のようだ。
本来であれば、すぐにでもその貴族の屋敷内を隈なく調べたいところなのだが、少し厄介なことにここ最近、ローランの屋敷にはおらず、王都にある屋敷にいるとのこと。
そのため、ローランにある屋敷内をすぐに調べることが出来ないようで、王都から戻ってくるのを待たされている状態らしい。
「とまぁこんな情報が出てきてな。お前さんも気をつけろよ?」
「気をつける?何を?」
「はぁ...お前さんの相棒は珍しい魔物だろう?もしかしたら狙われるかもしれんぞ」
確かに...ジールの言う通り、もしその人物がコウが相棒としているフェニを見たら珍しい魔物ということで、あの手この手を使い、奪おうとしてくるかもしれない。
ただその貴族に関しては先程も言った通り、コウ達の活動している範囲からはかなり離れた場所で生活しているということなので、あまり関わらないと思われる。
まぁもしかしたらの可能性も十分にあるため、少しは気をつける必要があるだろうか。
「お前さんの相棒は今は何処で何をしているんだ?」
「んー多分だけど宿からは出てないかも。まぁフェニも簡単に捕まるとは思えないけどな」
「それならいいんだがなぁ...まぁ話はそれだけだ。気をつけてくれぃ」
とりあえずジールから伝えたかったという話を聞き終えたということで、コウは部屋から出ると、そのまま昼頃ということなので、腹をすかせていたため、何か食べれるものはないか探しに街中を歩き出すのであった...。
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