424話
時は流れ、ジールからとある盗賊団の頭領を出来れば捕まえて欲しいとお願いされてから1週間の日が経とうとしていた。
ちなみに元傭兵で魔眼を持つ男であるロウェルにその盗賊団の情報をお願いしてからというもの全くもって音沙汰が無いので、きっとその盗賊団を探し出すのに苦労しているのだろう。
またコウ達といえば、受けた依頼の報酬がそれなりに多かったため、日々を生活する分には問題はなく、新たに依頼を受ける必要性もなかったので、各々がしたいことをしていたりする。
そして今日は何をしているのかというと、外に出掛けるようなことはせず、小鳥の止まり木という宿で本を読んだりしてゆっくりとした時間を過ごしていた。
「キュ?」
「どうしたんだ?」
そんなゆっくりとした時間を過ごしていると、フェニが何かに気付いたのか部屋の扉の方向に視線を向けるので、コウも釣られて視線を向けると、コンコンと軽快なノック音が聞こえてきた。
「コウさん。いらっしゃいますか?」
どうやらノックをしてきた人物はこの宿で働いているミランダであり、何かしらの用があったのか、コウが部屋にいるかどうか確認しに来たようだ。
別に居留守を使う必要性もないため、コウはベッドからサッと降りて、部屋の扉を開ける前に掛けてあった外套を身に纏い、ミランダを出迎えることにした。
「どうしたんだ?」
「コウさんに会いたいという御方がいらっしゃっております。どうなさいますか?」
どうやら尋ね人が宿の入口付近に来ているようで、その人の対応をどうするかについて確認するためにミランダは来てくれたようだった。
はて...それにしても尋ね人は誰だろうか?と頭の中で考えるも、その時のコウは思いつくことはなかった。
「とりあえず会ってみようかな。わざわざ悪いな」
わざわざそんなことを伝えに来てくれたミランダにお礼を言いつつ、コウはそのまま1階に降りていき、宿の入口へ向かうと、そこには1週間前に盗賊団の情報が何か分かれば教えて欲しいとお願いしたロウェルが立っているではないか。
「よう。こんな良いとこを宿にしてるとは羨ましいもんだぜ」
「中々快適な良い宿だぞ。それよりも何しに来たんだ?」
「何しにって...俺に頼んだことを忘れたのか?」
「あーもしかして盗賊団の拠点が分かったのか?」
どうやら盗賊団の拠点としている場所が分かったようで、そのことを報告するためにロウェルはことコウが泊まっている小鳥の止まり木という宿へ訪れたらしい。
「ったく...まぁいい。ほれこれがそいつらの居場所だ」
ロウェルは不満げな表情をしながらも、片手に持っていた細い紐で縛られ、グルグルに巻かれていたスクロールをこちらに向かって放り投げてきた。
そんなコウは上手いこと放り投げられたスクロールを受け取って中身を早速開いてみると、そこにはローラン周辺が描かれた簡易的な地図となっており、少しローランから離れた場所の2箇所にバッテンで赤い印が記されていた。
「ん?なんで2箇所に印があるんだ?」
「規模の大きい盗賊団だから2箇所拠点があるみたいだな」
「へぇ...どっちにムイドって奴がいるんだ?」
「そいつに関しては一切姿を見せねぇからさっぱり分からん」
どちらにムイドがいるのかについて聞いてみると、どうやら表に姿を現さないようにするためか部下を上手いこと使い、どちらの拠点にいるのか分からないよう徹底している様子。
そのため、実際にはどちらかの拠点は攻めてみないことにはわからないとのことであった。
「なんか面倒な盗賊団だな。ニコルはどうするか言ってたか?」
「領主様は俺達に片方を攻めろと言ってたぜ。もう片方については冒険者ギルドに任せるんだとよ」
その盗賊団をどうするのかについて聞いてみると、片方の拠点についてはロウェル達が攻め込んでいく予定となっているようで、残りは冒険者ギルドに任せると言っていたらしい。
「ふぅん...まぁよく分かった。また何かあったらよろしくな」
「俺はお前の情報屋じゃねぇんだぞ...」
とりあえず、このことについてジールもニコル経由で知っているだろうということなので、コウはどうするのかについて確認するために一旦、冒険者ギルドへ向かう準備をするのであった...。
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