423話
「コウさんこれからどうするんですか~?」
「ん?何をだ?」
「ジールさんが言ってた盗賊団についてですよ〜捕まえに行くんですか〜?」
街中を歩いていると、ライラからジールに頼まれた黒幕に繋がっているという盗賊団を今から捕まえにいくかどうかを聞かれた。
しかしその盗賊団はここ最近姿を現してはおらず、身を隠しているということなので、一から探し出すのは流石に困難である。
まぁ情報屋などのその道の筋の人にでも頼れば、今回捕まえるべき、盗賊団が根城としている場所が分かるかもしれないが、自腹を切ってまで知りたくはない。
まぁ見つかったら捕まえてくれという話だったので、ここは何かしらの情報が入ってくるまで待機していたほうがいいだろうか。
「んーとりあえずは待機かな。探し出すのは難しそうだし」
「簡単に見つかれば苦労はしませんもんね~」
「そうなんだよなぁ...って...ん?」
「あれ〜?女の子は確か~...」
「キュ?」
そして大通りを歩きながら、今後の予定についてライラと話していると、目の前から誰かが手を振りながら小走りで駆け寄ってくるので、誰だろうと思い、ライラと共に2人で見つめると、それは領主の娘であるティルシーであった。
普段は貴族街の中心部にあるニコルの屋敷にいる筈なのだが、何故こんな所にいるのかが分からない。
もしかしたらまた父であるニコルの目を盗んで、こっそりと抜け出してきたのではないのだろうか?
「コウ師匠久しぶりね!」
「久しぶりだな。師匠になった覚えはないけど...それにしてもどうしてここにいるんだ?」
「お父様の許可を得て冒険者ギルドに向かってるの!」
どうやらティルシーはニコルに許可を得た上で外出しているのらしく、今は冒険者ギルドに向かう途中とのこと。
「へぇ何か依頼でも出すのか?」
「違うわよ?あたいは今からロウェルと鍛えに行くの!」
「ふぅん...ってロウェル...?どこかで聞いた名前だな...」
依頼でも冒険者ギルドへ出しにいくのかと思い聞いてみると、どうやら違ったようで、実際は冒険者ギルドにある訓練場に向かい、そこでロウェルという人物と一緒に特訓をしているらしい。
またティルシーの口から出たロウェルという人物の名は何処かで聞いたことのある名前だとコウは思ったのだが、その時は思い出すことが出来なかった。
そしてそんなティルシーと道の真ん中で話していると、更に奥から誰かがこちらに向かって小走りで駆け寄ってきた。
「はぁはぁ...ちょっと待ってくれ嬢ちゃん...」
「あんたは確か...あぁ!思い出した!クルツ村を襲って俺が捕まえた魔眼のロウェルだ!」
「げっ...!お前はあの時の!」
息を切らしながらティルシーの後を追いかけてきたのは執事などではなく、以前コウがクルツ村付近で捕まえた魔力の流れが見える魔眼を持つロウェルという帝国側の傭兵であった。
そんなロウェルはコウのことを見るや否や、嫌な過去を思い出を思い出したのかのように顔を歪ませていく。
「人の顔を見て失礼だな」
「お前のせいでどんな目にあったと思ってんだ!」
「自業自得だろ?」
「ぐっ...」
コウはロウェルの反応に失礼だと思い、文句を言うと、反論するかのように言い返してくるが、自業自得だと痛いところを突くと、ぐぅの音も出ないのかすぐに黙ってしまった。
「で...そんな奴がなんでティルシーと一緒に訓練するんだ?」
「ずっと独房だったけどここの領主様に拾われて嬢ちゃんのお守りとかを頼まれてんのよ」
どうやらあれからというものの、ローランにある独房で日々を過ごしていたらしいのだが、領主であるニコルに腕を見込まれたのか拾ってもらい、ティルシーのお守り役として頼まれたとのこと。
確かに腕に関しては魔眼のおかげで、コウとほぼ同等レベルの実力を兼ね備えているため、護衛含めてティルシーに稽古を付ける人物としては最適かもしれない。
「なんか帝国側の人間だから裏切りそうだな...」
「裏切らねぇって...ここの領主様には首輪を付けられてっからな」
ロウェルは自身の首を親指で指すと、そこには首輪のようなものが嵌められており、その首輪の中心部には魔石のようなものが取り付けられている。
「何だそれ?」
「魔道具だっての。もう1つあるらしいがそれに魔力を込めたら頭と胴が離れるんだとよ」
「へぇ...それは可哀想なもんだな」
「誰のせいだよ誰の...」
その首輪はもう1つあるようで、それに魔力を込めると、破裂して頭と胴体が別れてしまうらしく、コウは可哀想だと憐れむと、ロウェルは聞こえないほどの小さな声で愚痴をこぼした。
「そういえば部下達はどうなったんだ?」
「あいつらか?今は俺の指揮下でとある盗賊団を探してるぜ」
「もしかしてムイドって奴が纏め上げてるっていう盗賊団か?」
「あー...確かそんな名前の奴の盗賊団だったな」
一緒に捕まってしまった仲間達はどうなったのか聞いてみると、彼らもまた傭兵としての能力が高いためか、領主であるニコルに拾われ、今も変わらずロウェルの元でムイドという頭領が纏め上げている盗賊団を探しているとのことであった。
どうして探しているのかというと、それは領主であるニコルからの指示のようで、きっとジールの話を聞いて動くことにしたのだろう。
「丁度良かった。そいつらを俺達も探さないといけないから何か情報を得たら教えてくれ」
「そいつはこれ次第だな」
とりあえず自身で探す手間も省けるということなので、ロウェルに何かしらの情報を得た場合は教えてくれとお願いすると、笑みを浮かべながら親指と人差し指をこすり合わせ、お金を求めるようなハンドサインしてきた。
「一応言っとくけど領主のニコルとは知り合いだからな」
「はぁ...わかったっての...人使いが荒い奴らだ...」
ニコルと知り合いということを伝えると、すぐにロウェルは引き下がり、渋々コウの条件を飲んでくれたようで、ムイドという頭領が纏め上げている盗賊団が根城としている場所を見つけた際には教えてもらうことにするのであった...。
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