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420話

「コウさんあれって〜...」


「あぁ...例の壺だな」


 どうやら黒いローブを身に纏った怪しい5人組が態々周りから見えづらい林に入っていった理由とは、ここ最近ローランや王都周辺で見つかった問題と思われる壺を設置しにきたからのようであった。


「どうしますか~?」


「勿論捕まえるに決まってる」


「そうですよね〜もしかしたら何か分かるかもしれないですし〜」


 そんな問題と思われる壺を黙々と設置している5人組には気付かれないようにライラと小声でやりとりを行い、ここは全員を何とかして捕えることにした。


 もし無事に全員を捕えることが出来れば、一体何の目的であの壺を設置しているのかという情報を引き出すことができるかもしれないチャンスなのだから。


「フェニは俺達がもし取り逃がしたらその人を捕まえてくれ。後は壺にあまり近づかないようにな」


「キュイ!」


 もしかしたら5人組が全員、別々の方向へ逃げてしまえば取り逃がしてしまう可能性もあるため、フェニには事前に取り逃がした人を捕まえるようにと、指示を出しておくと、そのまま空高くまで飛んでいき、見えなくなってゆく。


「よし...一気に鎮圧するぞ」


「了解です〜」


 そして打ち合わせも終わったということで、コウとライラは息を合わせると、隠れていた場所から黒いローブを見に纏った5人組へ一気に襲い掛かった。


「敵だ!全員散って逃げろ!」


「逃すかよ!」


「逃げたらだめですよ〜!」


 そして黒いローブを身に纏った5人組の内1人が急に現れたコウ達にすぐに気付いて各方向へ散らばるかの様に逃げろと大きな声で叫び出す。


 しかし他の4名は最初は何が起きたのか分からなかったようで、少しだけ反応が遅れてしまったのか、ぴたりと足が止まっていた。


 そんな隙を見逃さなかったコウは氷の鎖を作り出し、逃げ遅れた4人のうち2人に向かって放つと、両足首へグルグルと巻き付いてその場に引き倒し、逃げ出さないように拘束していく。


 そして残りの3人も捕まえようと後ろを振り返ると、ライラが逃げ遅れた残りの2人をいつの間にか気絶させており、5人中4人を無事に捕まえることが出来た。


 ただしコウ達が現れた時に真っ先に反応した1人はこの場から更に林の奥へと逃げ出しており、既に姿を見失ってしまっていた。


 とはいえ、こんなこともあろうかと、コウはフェニへ取り逃がした人を捕まえるように指示を出していたので、あまり気にしてはいなかったりする。


 そのため、先に捕まえた4人を逃がさないように手足を追加のロープで固く縛り上げていると、空からフェニが鳴きながら戻ってきた。


「捕まえれたか?」


「キュ!」


 そんな戻ってきたフェニに上手いこと逃げ出してしまった人を捕まえたかどうか聞いてみると、どうやら無事に捕まえてくれていたようで、自慢げな鳴き声と共に着いて来いと、そのまま林の奥へ飛んでいってしまう。


「ライラ。こいつらが逃げない様に見張っててくれ」


「わかりました〜任せて下さい〜」


 そのため、この場をライラに任せてフェニに付いて行くと、林の少し奥に行ったぐらいの場所に先程、逃げ出した1人が全身を痙攣させながら、その場に倒れていた。


「どうやって捕まえたんだ?」


「キュイ!」


 どんな方法で捕らえたのかフェニへ聞いてみると、その場で小さな雷球を作り出し、近くにある木に向かって放つ実演をするので、威力を弱くした雷球を直接当てたというのが分かった。


 もし普段通りの大きさをした雷球を当てていれば死んでいた可能性もあったので、この捕まえ方は及第点といったところだろうか。


「なるほどな。まぁよくやったフェニ」


「キュ!」


 とりあえず無事、捕えることに成功したフェニを褒めつつ、倒れている1人の手足や身体に作り出した氷の鎖でぐるぐるに縛ると、コウはライラの待っている場所へと引き摺りながら戻ることにした。


「急に場所を任せて悪かったな」


「キュッ!」


「いえ〜問題ないですよ〜」


「じゃあ後は壺を置いていた理由を聞くだけだな」


 これで黒いローブを身に纏った怪しい5人組を無事に捕まえることが出来たため、後は情報を引き出すだけだろうか。


 そのため、コウは気絶やまだ痺れて動けない人以外の起きている人物へ何故、あの問題と思われる壺を設置しているのか等の問いを投げかけることにした。


「どうしてあの壺を置いているんだ?」


「...」


「誰からの依頼なんだ?」


「...」


 しかしそんなコウの問い掛けに、やはりというか誰も口を開くことはないようで、目を逸らしたり、寝たふりをされてしまう。


 まぁ無理矢理にでも口を割らせる方法はなくはないが、別に自身達が態々情報を引き出そうとしなくとも、専門家に任せてしまえば良い気がしないでもない。


「まぁいいや。後はジールさんに任せようかな」


 とりあえず、こういった面倒事は全てジールに投げてしまえばいいのではないか?と思ったコウは気絶している2人とまだフェニの雷球によって痺れて動けない1人が目を覚ましたり、動けるようになるまで、周りに設置してあった壺を全て回収していくことにした。


 そして暫く、壺を回収したりして時間を潰していると、気絶している者は目を覚まし、痺れている者は動けるようになったので、コウ達は5人組を罪人のように引き連れながら、ローランへ連れて帰ることにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は9月16日になりますのでよろしくお願いします。

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