416話
「おいおい...なんだこりゃぁ...」
コウ達はジールと共に様々な魔物達が眠っていたという場所へ到着したということで、窪んだ地形の底を全員で最初に見た時と同じ様に覗き込むと、そこには先程と変わらず無数の魔物達がぐっすりと眠りについている。
そんなぐっすりと眠っている魔物達を見たジールは事前に話を聞いていたというのに、あり得ないような光景を見たということで、口を大きく開けながら驚いていた。
「やっぱりジールさんでもこれは驚くんだな」
「おう...冒険者を長年やってるがこんな光景は初めて見たな...」
「何が原因なんですかね~?」
「で...ジールさん。俺たちはどうすればいいんだ?魔法である程度の魔物達は倒すことは出来るけど...」
「ちょっと待て...今考えてる...ってなんだこの甘い匂いは?」
とりあえずぐっすりと眠っている魔物達が起きてしまう前に倒しておくかどうかということを聞くと、ジールは目を閉じて腕を組みながら、どう対応していくかを悩んでいる様子。
そして暫くの間、うんうんとジールが頭を悩ませていると、最初に来た時と同じ甘い匂いが何処からか漂ってきたのだ。
「ん~この甘い匂いはさっきもした匂いですね~」
「そうだな。それにしてもこの匂いは何処から来てるんだろ?」
そんな甘い匂いの出処はどこだろうと、嗅覚を頼りに探していると、コウ達はとある物がぐっすりと眠っている魔物達の中心部に置かれていることに気がついた。
それは謎の模様が入った壺のようなものであり、そんな謎の壺の口部分から謎の白い煙のようなものがモワモワと湧き出ていた。
「あの壺が問題なんじゃないんですかね〜?」
「そうっぽいよな」
「あれかもしれんなぁ...」
そんな謎の模様が入った壺から出ていた白い煙を見たコウ達はもしかしたらあれがこの甘い匂いの出処だろうと思い、またこのぐっすりと眠っている魔物達の原因ではないだろうかと予測を立てた。
「うーむ...あの壺を回収したいところなんだがなぁ...」
「取りに行けば良いのか?だったら行くけど...」
「コウさんが行くなら私も付いて行きますよ~」
「お前さん達だけで行かせる訳にはいかん。とりあえず何が起こるか分からんから全員で行こう」
どうやら謎の模様が入った壺をジールは回収しておきたいらしいので、取りに行こうかと聞くと、もしかしたら魔物達が起きてしまう危険もあるため、ここは全員で壺を回収しに行くこととなった。
とりあえず窪んだ地形ということで、斜面をゆっくりとコウ達は降りていき、底部に到着すると、そこからぐっすりと眠っている魔物達の隙間を縫って中心部まで向かっていく。
「意外と起きないものなんですね~」
「起きられたら困るだろって...ふわぁ~ぁ...」
中心部まで向かって行く最中は先程の甘い匂いがどんどんと濃くなっていくので、やはりというか置いてある壺が原因なのだろうか。
そしてなんとか寝ている魔物達を起こさないよう、壺の置いてある場所に到着したコウ達は早速、収納の指輪の中へ置いてあった壺を回収していく。
目的であった壺を無事に回収し終わると、やはりこの壺が原因だったのか周囲に漂っていた甘い匂いは通り過ぎる風によって徐々に散らされていき、その場では甘い匂いがすることがなくなっていった。
「ふぅ...無事に回収だな。それにしても甘い匂いの原因はこれだったな」
「そうみたいですね~それにしてもさっきの壺は何なのでしょうか~?」
「とりあえず話は後にしてさっさと戻るぞ」
ジールの言う通り、とりあえずこの場にいてもしょうが無いので、話を止めてまだ寝ている魔物達を起こさないように元来た道をこっそりとコウ達は戻って行こうとすることにしたのだが、戻っていく途中でとある問題が起こることとなる。
その問題とはぐっすりと眠っていた一部の魔物の寝相が悪いせいで、隣で眠っていた魔物に身体の一部が当たり、刺激されたことによって徐々に目を覚まし出したのだ。
そしてそんな目を覚ましだした魔物達が最初にする行動といえば、隣で寝ていた寝相の悪い別の種類の魔物へ攻撃である。
そのため、連鎖反応が起こるかのように次々と魔物達は起き上がり出し始め、こっそりと戻ろうとしていたコウ達にもその牙は向けられていくのであった...。
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