411話
翌日の朝。朝食を終えた後、コウ達は食後の運動として冒険者ギルドへ歩きながら向かっていた。
食後の運動であれば町中を歩き回るだけで良いのに、どうして冒険者ギルドへ向かっているのかというと、昨日の夕方前に裏手の倉庫へ納品した木はどうなったのか知るためである。
昨日は夕方前に木を納品をしたため、1日でも経てばサーラが多少なりとも依頼書を処理してくれていると思うし、きっと依頼報酬を用意してくれているだろう。
そして冒険者ギルドに到着したコウ達は早速、木の扉を開けて建物の中に入ると、どうやら朝の受付ラッシュは終わって終わっているようであり、掲示板には数える程度の依頼書しか貼られていなかった。
また受付場所にはサーラではなく、今日は紫色の綺麗な髪色を持つ、おっとりしたお姉さんのミラが座っており、事務処理をしていたが、コウ達の存在に気づいたのか手招きをしてくるので、挨拶するためにそのまま近づいていく。
「おはよう。コウ君達久しぶりね。元気そうで何よりだわ」
「あぁ久しぶりだな」
「お久しぶりです~」
「キュ!」
「今日ってサーラはいないのか?」
「昨日コウ君が大量の木を納品してくれたお陰でお休みよ」
お互いに挨拶を終えたところで、コウはとりあえずサーラはいないのか聞いてみると、どうやら前日、コウが裏手の倉庫に納品した大量の木の数を確認するため、長時間の残業となってしまい、結果として今は休暇をとってゆっくりと休んでいるらしい。
「なんか悪い子とした気分になるな」
「いいのよ。どうせ普段はのんびりとしてるもの。そういえば今日は何しに来たのかしら?」
「あぁそうだった。昨日の依頼書の処理が終わってるのか聞きに来たんだ」
「だったら今から確認するわね。少し時間が掛ると思うから酒場でのんびりしててくれるかしら?」
「分かった。終わったら呼んでくれ」
ミラから冒険者ギルドに何をしに来たのかと聞かれたので、本題であった依頼の処理が終わっているかどうか聞くと、今から依頼書がどうなったのか確認してくれるとのことであり、サーラは受付の机の引き出しを開けると、書類の束を取り出し、一枚一枚確認し始める。
ただ時間が掛かるということなので、コウ達はミラに言われた通り、冒険者ギルド内にある酒場に向かうと、確認が終わるまでのんびりと待つことにした。
そして酒場の席に座り、今後の予定について暫くの間、話し合っていると、書類の確認が終わったのかミラがこちらに向かって近づいてきた。
「コウ君お待たせ。依頼書の処理が終わったわよ」
「意外と早かったな。ありがとな」
「これくらい問題ないわ。依頼の報酬を渡すから付いてきてね」
既に依頼の報酬も用意されているとのことなので、コウ達は席を立つと、そのままミラの後を付いていくように受付まで流れるように移動する。
「はい。これが今回の報酬よ」
そして受付に到着すると、机の上にはたっぷりと硬貨が入っているであろうと思われる袋が2つほど用意されており、ミラから手渡されて受け取ると、硬貨のジャラリと擦れる音共にずっしりとした重さが手に伝わった。
袋の中身を確認してみると、そこには銀貨と金貨が入り混じった状態となっており、どちらかといえば銀貨のほうが多く見えるだろうか。
とはいえ、これだけの量の銀貨と金貨があるのであれば、それなりの額となるため、ある程度は贅沢ができる筈である。
「じゃあ半分はライラだな」
「いいんですか~?」
「当たり前だろ?一緒に木を切ったんだから」
「ありがとうございます〜大切に使いますね〜」
片方の袋を手渡すと、ライラはそのまま腰に身に付けていた収納の袋の中へ大切に仕舞い込んでいくので、コウも同じ様に収納の指輪へと仕舞い込むことにした。
「じゃあ今日は依頼も残っていないみたいだし帰ろうかな。じゃあなミラ」
「また明日から新しい依頼でも受けますか~ではミラさん失礼します~」
「キュ!」
そして無事に依頼の報酬を受け取ったということで、コウ達はミラに別れを告げ、その場で振り返ると、入口からコウよりも一回りも二回りも大きな身体を持つ者が入ってきたのに気がついた。
こんな身体の大きい人物は中々いないため、誰だろうと思い、顔を見てみると、それはこの冒険者ギルドでギルドマスターをしているジールであり、コウ達を見るやいなやニカっと笑いながら、こちらに向かって近づいてくるのであった...。
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