408話
時は過ぎ、時間帯は昼頃。
あれからというものコウ達は黙々と木を切り倒した結果、依頼として求められている大量の木を確保することが出来た。
そんな切り倒した木の殆どは既に収納の指輪の中へと仕舞い込んでおり、午後から追加の木を切るかどうかはまだ決まってはいない。
「ふぅ...それにしても結構切ったな」
「ふひ〜...疲れました〜...あとお腹も空きました〜」
確かにライラの言う通り、黙々と木を切り倒していたためか、いつの間にかお腹の虫が鳴き始めており、ご飯にするには丁度良い時間だろうか。
「あぁそうだな。フェニ!ご飯にするぞー!」
そして昼食にするのであれば、今でも周りを警戒しているであろうフェニを呼ばないといけないので、コウは大きな声でフェニを呼ぶと、上空から金色に輝く何かが落下してくるかのように降ってきた。
「キュイ!」
その落下してきたものとはコウの相棒であるフェニであり、上手いことコウの肩へ着地すると、同じようにお腹が空いているみたいである。
まぁずっと空を飛び回りながら周りを警戒してくれていたので、お腹が空くのは当たり前だろう。
とりあえず全員集まったということなので、早速近くにある切り株の上に収納の指輪から取り出した布を被せて料理を並べるための簡易の机を作っていく。
そして次にコウが収納の指輪から取り出したのはローランや他の街で買い貯めておいた屋台の料理であり、フェニ用としての新鮮な果実も並べていくことにした。
「なんか久々に屋台の料理を食べるな」
「最近は宿の料理かお店の料理でしたもんね〜」
久しぶりに食べる屋台料理はどれもこれも出来たての状態で温かく保たれており、改めて自身の持つ収納の指輪は便利だとしみじみコウは思ってしまう。
そんなコウ達の温かい料理を周りにいる冒険者や木こりなどが羨ましそうに眺めており、自身の手元にある干し肉や硬いパンを見て、肩を落としながら食べていた。
そして暫く机に並べた出来たての屋台料理を楽しんでいると、何処からか焦げ臭い匂いが漂ってきた。
「ん...?なんか焦げ臭くないか?」
「ん〜?確かにそうですね〜?」
「キュ?」
そんな焦げ臭いに匂いに気がついたコウ達は近くにいる冒険者達や木こりが焚き火などをしているのではないかと思ったのだが、周りを見渡しても木を燃やしている様子は無い。
何故だろうと思っていると、森の奥から何人かの冒険者が慌てながら現れ、大きな声で「火事だ!水魔法を使える者はいないかー!?」と叫び、コウ達の隣を通り過ぎて行こうとしていた。
「待ってくれ。火事ってどういうことなんだ?」
「どこかの馬鹿が焚き火をしやがって火が森に移ったんだよ!」
そんな通り過ぎようとしている冒険者を呼び止めて、何故火事になったのか聞いてみると、どうやら何処かの冒険者が焚き火をした結果、森の木に火が燃え移ってしまったらしい。
そしてなんとか燃え移ってしまった火を消そうとしたらしいのだが、その場に残念ながら水魔法を使える者がいなかったため、鎮火することが出来なかったようだ。
そのため、水魔法を使える者を探しに森の奥から慌てて駆け出して来たとのことであった。
「はぁ...しょうがない。ライラとフェニは待っててくれ」
「了解です〜気をつけて下さいね〜」
「キュイ!」
「俺は水魔法が使えるからその場所まで案内してくれ」
とりあえずこれ以上、森に火が回ってしまうのは流石に不味いだろうということで、コウは何とかするために森の奥から助けを求めに出てきた冒険者へ自身が水魔法を使えるということを伝えていく。
「助かる!こっちだ!ついてきてくれ!」
すると森の奥から助けを求めに出てきた冒険者は火の元まで案内してくれるらしく、その場から駆け出すので、コウもその後を追うかのようについていくのであった...。
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