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404話

「なっ!?」


 そんな振り下ろされる大剣を目の端で捉えることが出来ていたため、偶々コウは横に転がって躱わすことに成功した。


 そしてディーヴァが振り下ろした大剣は地面に触れると、大きな音と共に石などの破片を撒き散らしながら、抉り跡をその場へ残していく。


「殺す気満々だな...」


 明らかに威力は人1人ぐらいであれば簡単に殺せるほどの威力であるため、競技と呼ばれるような試合ではなく、もうこれはどちらかといえば死合いというものに近いだろうか。


 とはいえ、事前に勝敗のルールを決めていない時点で、こうなってしまうのはしょうが無いだろうし、何よりでっぷりと太った醜い男がこうなるように狙っていたのかもしれない。


 ここでコウを殺してしまえば他に足はつかないし、処理にも特には問題ない。


 そしてそのままライラを奪うことが出来るのだから一石二鳥といったところだろう。


「あとはどうやって一瞬で俺の横に...?」


 それにしてもどうして正面にいた筈のディーヴァがコウの隣へ急に現れ、大剣を振り下ろすことが出来たのか?ということに理解が追いつかない。


 とりあえず何かしらのカラクリがあるのは分かったが、それについてあまりディーヴァは考えさせてくれないようで、地面へ沈み込んだ大剣を片手で引き抜くと、そのまま横薙ぎしながら振ってきた。


「そんな大振り当たらないぞ!」


 コウは半歩だけ後ろに移動して横薙ぎに振られる大剣の切先(きっさき)ぎりぎりのところで躱すと、今度は此方の番というかのように地面を蹴って一気にディーヴァの懐まで潜り込む。


「これなら当たるよな!?」


 懐まで潜り込むことに成功したコウは片手に持っていたサンクチュアリを下から掬い上げるかのように振り上げようとするも、ディーヴァは横薙ぎの振りを継続していたようで、大剣が風を切る轟音と共にもう一周して戻ってきた。


 そのため、コウは自身の攻撃をピタリと止めてすぐに大剣を受け止める態勢に入り、吹き飛ばされないように全身へ力を込めていく。


「ちょっ!」


「ふん!」


 そして実際にディーヴァの振るう大剣をサンクチュアリで受け止めてみると、遠心力も追加されているためか、かなり重い一撃となっており、コウはそのまま近くにある建物の外壁まで一直線に向かって吹き飛ばされてしまった。


 ただコウは壁に衝突するのを避けるべく、吹き飛ばされながらも地面にサンクチュアリを刺して上手いこと勢いを殺していく。


 なんとか勢いが止まったのも束の間、追撃としてなのかディーヴァが正面から迫っており、両手で大剣を持ち、勢いよく上段から振り下ろしてくる。


「舐めるなっ!」


 そんなコウも対抗するかのように振り下ろされる大剣に目掛けてサンクチュアリを下から掬い上げながら振るっていき、お互いの獲物がぶつかり合うと同時に大きな音が周囲に響き、あちらこちらにいる路地裏の住人達の歓声が湧き上がった。


「よく間に合った」


「これでもBランク冒険者なんでねっ!」


 まさかコウが上段から押しつぶすように振り下ろした一撃を受け止められるとは思ってもいなかったのか、驚きつつあるディーヴァから称賛の言葉をかけられた。


 ずっとこのままの状態にしていたとしてもジリ貧に近いし、会話をしている余裕もないので、コウは両足に力を込めてディーヴァの大剣を一気に弾き返していく。


「水球!」


 そして追加として水球を再び作り出し、放つと今度はディーヴァに直撃するがフルプレートアーマーの防御力が高いのか、それとも何かしらの魔法で護られているのかそこまでダメージのようなものは見られず、ただずぶ濡れの状態となっただけであった。


 それにしても本来であれば木の幹を抉り、倒すほどの威力がある筈なのだが、そこまでダメージがないのにコウは違和感を覚える。


「その鎧...もしかして魔導具か?」


「さぁどうだろうか...」


 とりあえず少しでも情報を得ようとディーヴァに尋ねてみるも、残念ながらはぐらかされてしまうが、ほぼ何かしらの魔導具だと思ったほうが良いだろうし、他にも何かしらの能力を持っているかもしれない。


 そしてまだまだやる気満々ということで、お互いに武器を再び構えると、ディーヴァは最初に水球を撃ち込んだ時と同様に煙の如く目の前から消えていくのであった...。

いつもお読みくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は8月15日になりますのでよろしくお願いします。

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