402話
「むー!むー!」
どうやら捕まってしまったティルシーはコウ達の存在に気付いたのか、口には猿轡そして手足は縄で拘束された状態だとしても必死に助けて欲しそうなアピールをしてくる。
まぁ実際には自業自得ということなのだが、今回はニコルからの依頼でもあるため、なんとか助けださないといけない。
そんなティルシーの首には他の人達と同じ様に値札が掛けられており、よく見てみると金貨500枚というかなりの高額の値段として設定されていた。
円に換算すると約500万。人1人の値段にしてはかなり高額でありすぎる様な気がするが、貴族...しかも領主の娘ともなれば様々な使い道があるため、高額に設定されているのだろう。
とはいえ、コウにはそんな大量の金貨なぞ持ち合わせている訳もないので、払えるわけもないし、違法なことにはあまり加担したくは無い。
そのため、どうにか助け出すことはできないか?とうんうん鉄檻の前で頭を悩ませていると、奴隷の売人と思われる身なりの良い男が近づいてきた。
「どうです?お客様。こちらの娘はつい数時間前に捕まえたばかりですよ」
どうやらコウが鉄檻の前でうんうんと頭を悩ませている姿はティルシーの購入をどうしようかについて悩んでいるかのように見えたらしく、ティルシーをアピールするかのように奴隷の売人は話しかけてきた。
「そうなのか。どうしてこんなに高いんだ?」
とりあえずティルシーを助け出しにきたとバレるのは不味いのではないだろうかと思ったコウは奴隷の売人に銀貨を1枚だけ手渡しながら、話を合わせていくことにした。
「ほほっ...!実はここだけの話ですがこの娘はなんとローランの領主の娘らしいのですよ」
「本当なのか...?」
すると奴隷の売人はコウにこっそりと耳打ちをしながらどうして値段が高く設定されているのかということを話してくれるも、それは最初から知っていることであったので、特段驚くことはなかったが、わざとらしい反応をしていく。
「うーんでも高いなぁ...安くはならないのか?」
「それは厳しいですねぇ...他にも金貨500枚で購入したい方がおりますゆえ...もしそれ以上だされるのでしたらお譲りしますが...」
一応、値切りをしてみることにしたのだが、どうやら他にもティルシーを買いたそうにしている人がいるとのことであり、あっさりと断られてしまった。
もしその買いたいという人物にティルシーが買われてしまい、足取りを掴むことができなければ、取り戻すのはほぼ不可能に近くなってしまうため、どうにかしないといけない。
まぁ正直に言えばこの鉄檻を破壊して中に捕らわれているティルシーをニコルの元へ連れ去ることは出来なくもなかったりする。
ただしコウ達はローランで活動している冒険者のため、繋がりのある宿屋のミランダや同業者のダン達などに報復として迷惑が掛かる恐れがあるので、そんな簡単には実行することは出来ないのだ。
「むふぅ〜店主来たぞぅ〜」
「おぉ!これはこれは旦那様いらっしゃいませ!」
そしてコウとライラはどうやって助け出すか頭を悩ませていると、誰か来たのか奴隷の売人はコウ達の後ろに向かって声を掛けつつ、隣をすっと通り過ぎていく。
誰が来たのだろうと思い振り返ってみると、そこには身体が一回り二回りもでっぷりと大きく肥え、醜悪な見た目をした男性と銀色に鈍く輝くフルプレートアーマーを身に纏い、人丈程の大剣背負った2人組が現れるのであった...。
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コロナになりましたので次回の更新は多分8月11日になります。よろしくお願いします。




