401話
そして暫く、ティルシーについての情報をバリィに聞きながら路地裏を歩いていると、道の角から似たような顔の赤いバンダナをしている男が現れた。
ただその男も顔がバリィと同じように腫れ上がっており、身体はボロボロの状態なので、誰かを襲った結果、返り討ちにあったのかもしれない。
「兄貴ぃ!」
「ダニィ!」
そんな2人はお互いに顔を見合わせた瞬間、名前を呼び合いつつ、まるで生き別れの兄弟が再会したかのように抱き合っていた。
「ふっ...!2人いれば俺様達に敵はいねぇぜ!」
「違いねぇ!兄貴がいればあのシスターにも勝てる筈!」
そしてバリィとダニィの2人は人数が有利になったということで、勝ちを確信している様子だったのだが、道の角から今度はティルシーを探している筈のライラがひょっこりと顔を出す。
「あれ〜?コウさんじゃないですか〜」
「ライラじゃないか。ティルシーは見つかりそうか?」
「私はティルシーちゃんの場所へ案内してくれる人を見つけたんですよ〜」
「へぇ...奇遇だな。俺も親切な情報提供してくれる人を見つけたんだ」
コウとライラは会話をしながらお互いに冷めた視線をバリィそしてダニィに向ける。
するとバリィとダニィの2人の笑顔の状態から徐々に青ざめ、身体はぶるぶると震え出しており、蛇に睨まれた蛙に近しい状態となっていた。
「案内してくれるんだよな?」
「案内してくれるんですよね〜?」
「お...おう!俺様達に任せてくれ!」
「兄貴!すぐに案内しよう!」
そんなコウ達の言葉に屈服したのか、先程まで強気な態度だったのが一転して媚をへつらうかのように手で胡麻を擦りだす。
「じゃあよろしく」
「任せろぃ!」
そしてそのままバリィとダニィの兄弟は再び薄暗い路地裏を歩き出すので、コウ達も一緒について行く。
「じゃあお互いに情報を共有するか」
「私から話しますね〜」
とりあえずライラと合流も出来たということで、お互いに情報を擦り合わせていくことにした。
ライラの話を聞く限り、路地裏を歩いてティルシーを探していると、弟のダニィが道を塞ぎながら襲ってきたらしい。
ただコウと同じように襲われたところで、特に問題なく、返り討ちにした結果、路地裏の案内人というものになったようだ。
また一緒に案内してもらっている間、ダニィから聞いた情報もほぼほぼ兄であるバリィと同じようなものであり、ティルシーと同じ容姿を持った貴族の令嬢が路地裏で捕まったというものであった。
「というか本当にお前らはここらを縄張りにしてるのか...?」
「いや...実は他に縄張りとしている奴が...」
どうやらバリィとダニィは路地裏の住人で多少なりとも実力はあるのだが、実際にはここらではなく別の場所を縄張りにしているらしく、またここらについては別の人物が縄張りとしているとのことであり、コウ達に会った時は少し...いやだいぶ誇張していたようである。
そしてティルシーについての情報を知っていた理由も、偶然にも捕まる場面に居合わせていただけであっただけとのこと。
「じゃあ俺らはどこに向かってるんだ?」
「多分兄貴は奴隷市場に向かってる感じだ」
どうやら今向かっている場所というのは奴隷市場らしく、捕まってしまったティルシーがいる可能性が1番高いのはそこらしい。
ちなみに王都やローランでは奴隷というものは禁止されているのだが、流石にスラム街や路地裏までは目が届かないため、やりたい放題しているようだ。
「着いたぜ!ここが奴隷市場だ!」
そして暫く歩き続けると、ひらけた広場に出たが、そこには幾つもの大きな鉄檻が置かれていた。
そんな鉄檻の中にはボロボロの衣服を纏った老若男女がおり、値段を設定されているのか首に値札のついた木の板をぶら下げている。
またその鉄檻の側には明らかに売人と思われる身なりの良い男がニコニコとした表情で立ちながら、客が来ないかを待っていたりする。
とりあえずコウ達は鉄檻の中に入れられている人達を1人1人確認しながら歩いていると、そこには昼間に模擬戦をしたティルシーが猿轡と手足に縄で拘束され、涙でぐしゃぐしゃな状態で捕まっていたのを発見するのであった...。
いつもお読みくださってありがとうございます!
評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m
次回の更新は8月9日になりますのでよろしくお願いします。




