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382話

「ふぅ...ちょっと待ってくれ。質問の意図がわからないんだが...」


 イザベラの質問に大きく(むせ)()()んでいたコウだが、深呼吸をしてある程度落ち着いてきたということで、再び先程の質問どういうことなのか?とつい聞き返してしまう。


「ん~コウ君はどっちに恋愛感情を持ってるのかなって気になったのよねぇ」


「恋愛感情って言われてもなぁ...」


 正直に言えばコウも鈍感ではないため、イザベルとライラの2人が自身に対して多少なりとも好意を抱いているというのは察していたりはするのだが、今の関係を壊したくはないので、目を背けていたところだ。


 しかしコウとしてあの2人が嫌いではないし、寧ろ好意を抱かれているということで、意識してしまうことも多い。


 もし...もしだがイザベルと付き合うとなれば、一緒に冒険者のパーティーとして活動しているライラと気まずくなるし、逆の場合だとしても同様である。


 しかもライラに関しては聖都シュレアにある孤児院からわざわざローランまで来てくれている訳なので、簡単にどちらかを好きになるようなことは出来ないし、コウとしては悲しい思いをどちらにもさせたくはなかった。


「私が言うのもあれだけどどっちの子も魅力的よ?あれだけ一緒にいるのにまだ手を出してないのかしら?」


「出すわけ無いだろ...というか親ならそんなことをいうなよ...」


「あら?私は歓迎よ?イザベルに手を出してくれれば跡継ぎも息子も一緒に出来るんだもの」


 それにしても親から手を出すことを推奨されるとは、この世界と元いた世界では価値観がだいぶ違うようだ。


「というか何処の馬の骨かも知らないただの冒険者をよく信頼できるなぁ...」


「イザベルから色々と話を聞いてるからかしら?あと私は見る目がある方だと思ってるのよね」


 しかし...数える程度しか会ったことがないというのに、親であるイザベラから信頼を得られているというのはあまりにも出来すぎているのではないか?と思ってしまう。


 もしかしたらイザベルと交流を取っている際に美化されて話されているのかもしれない。


「あら?話してたらもうお茶がなくなっちゃったわ」


 コウも自身のティーカップの中を覗き込むと、入っていた紅茶は全部飲み切ってしまったようで、同じ様に空っぽになっていた。


 そしてメイドが用意してくれた菓子であるカップケーキも話の合間に黙々と食べていたせいで、殆どが無くなっており、そろそろお開きの時間だろうと思ったコウはふかふかな椅子から立つと背筋を伸ばす。


「じゃあそろそろ戻ろうかな」


「もう帰っちゃうのかしら?」


「今日の夜の準備もあるしな」


 とりあえず着替えなど色々と準備することもあるということで、コウはイザベラからの引き止めを断りつつ、一旦別れを告げて白薔薇騎士団の屋敷へ戻るのであった...。


 そして(とき)は過ぎ、晩餐会の時間。


 真っ暗な空には煌々(こうこう)と輝く大きな月が浮かんでおり、王都全体を明るく照らしていた。


 そんなコウといえば晩餐会に参加するため、購入した黒いタキシードへと着替えを済ましており、外に用意されている馬車の側でイザベルとライラ、2人の準備が終わるのを待っていた。


「それにしても腹減ったな...」


「キュ〜...」


 女性は着替えやメイクなどに時間が掛るものだと理解はしているのだが、コウのお腹は既に限界を迎えているようで、早くご飯を食べさせろと文句を言ってくる。


 またフェニもコウと同じで、お腹が空いているのか、あまり元気はない。


 何故、2人はお腹がここまで空いているのかというと、夜に美味しいものが沢山食べれるということで、昼をいつもより少なめにしたせいであり、若干後悔していたりする。


「コウさん~!準備できましたよ~!」


「お待たせしました」


 そして空腹状態のお腹をさすりながら待っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきたため、振り返って屋敷の入口を見ると、そこには先日、貴族街で購入したばかりの綺麗なドレスに身を包み、薄っすらではあるが化粧して気合を入れたイザベルとライラの2人が目の前に現れるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は7月2日になりますのでよろしくお願いします。

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