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341話

 冒険者ギルドから歩くこと約数十分。


 街中で多くの人達とすれ違いながら、ようやく目的地であった小鳥の止まり木という宿の姿が見えてきた。


 そしてその小鳥の止まり木の隣にはルーカスが営んでいるルーの魔道具本店という魔道具を専門として扱っている店があり、入口では多くの人が出入りを繰り返しているのが見え、元気な店員の大きな声が少し離れた位置からでも聞こえてくる。


「ルーカスの店はいつも繁盛してるな」


「品揃えが凄くいいですもんね〜」


 そんな繁盛をしているルーカスの店に今日は用がないため、横目で見ながら通り過ぎ、隣の小鳥の止まり木という宿の中へと入るも、受付に誰もおらず、いつも出迎えてくれるミランダが珍しく不在であった。


「奥で何かしてたりするのか?」


「あれ~?誰もいないですね〜」


「キュ〜?」


 受付の机には呼び出し用のハンドベルが置いてあるため、コウは手に取って左右に軽く振ると、チリンチリンと心地よい音が受付内に響き渡る。


 そしてハンドベルを鳴らしてからすぐに奥の部屋から「少し待って下さーい」と聞き覚えのない優しい男性の声が聞こえてきた。


 暫く受付の前で待っていると、奥からほっそりとした眼鏡を掛けた知的な男性が現れ、そのまま受付へと立つ。


 今までミランダぐらいしか受付に立っているところを見たことはないのだが、人手が足りなくて新しい従業員でも雇ったのだろうか?


「いらっしゃいませ。お泊まりでしょうか?」


「あぁとりあえず2部屋で5日間ぐらい泊まろうかな」


「畏まりました。長期のお泊まりということで割引して金貨10枚となります」


 ミランダは出かけているのか?など色々と疑問はあるのだが、とりあえずコウはいつも通り、収納の指輪の中から言われた枚数取り出すと、そのまま新しく雇われた従業員と思われる男性に手渡していく。


「確かに10枚お預かり致しました。ではこちらがお部屋の鍵となります」


「ん...ありがとう」


 そして2本の鍵を受け取ったため、早速鍵についているタグの部分を確認すると、いつも泊まっている部屋の番号と同じだったので、コウ達はそのまま階段を上り、泊まる予定の部屋へ向かう。


「ライラはそっちの部屋な」


「むぅ〜私は一緒の部屋でも良かったですけどね〜」


 部屋の前に辿り着くと、2本もらった鍵のうち1本をライラに渡そうとすると、一緒の部屋ではなかったためか、文句を少しだけ言われるが、最終的には受け取ってくれた。


 何故、一緒の部屋にしないかというと、若い男女2人同じ部屋というのは色々と悶々してしまい、コウの精神衛生上、良くないからである。


 断じてヘタレな訳では無い。


「も〜...じゃあ寂しかったら部屋に来てもいいですからね〜」


 ライラはコウより先に隣の部屋へ入ると、扉を閉める前にひょっこり顔を出し、ニヤリといたずらっ子のような表情をしながら、いつでも部屋に来ても良いという台詞を言い残していく。


「行く訳ないだろ!全く...」


 言い残した言葉にツッコむが、既にライラの部屋の扉は固く閉ざされており、コウの声は届くことはない。


 そんなライラにやれやれと思いつつ、コウは部屋に入ると、頭に乗っていたフェニが部屋の中で1番居心地が良さそうな場所を探しながら、あちらこちらへ飛び回って座り心地を確かめていた。


 最終的にフェニはベッドの上に置いてあった丸いクッションの上が1番居心地が良いと理解したのか上手く着地すると、そのまま旅の疲れを癒やすかのように眠り出す。


「そうだ。早く手紙を見て返事を返さないと」


 思い出したかの様にコウは近くにあった椅子に座ると、収納の指輪へ仕舞い込んでいたイザベルからの届いていた手紙が入っているであろう封筒を取り出す。


 そんな封筒を裏返すと、赤い封蝋でしっかり閉じられているので、コウはペーパーナイフを差し込み、破けないよう綺麗に開封していく。


「よし開いた。どれどれ...」


 届いていた封筒の開封が終わったので、中から綺麗に折りたたまれた手紙を取り出して開くと、どんなことが書かれているのか1枚1枚じっくり目を通していく。


 イザベルからの手紙の内容は基本的には日常的なものであり、今度新しい茶葉やお菓子を用意できそうなので、いつでも気軽にお茶会として来て欲しいといったことであった。


 また他の手紙には見知らぬ貴族からの恋文なども届いたという愚痴や以前、別荘に泊まった際のお礼の言葉なども書かれていたりする。


「ふぅ...さて返事でも書いていくか」


 とりあえずイザベルから届いた手紙を全て見終わると、今度は返事の手紙を書くために収納の指輪の中から白い用紙や羽ペンを次々と取り出していく。


 そしてコウは頭を悩ませながらその白い紙の上を羽ペンで走らせ、ここ最近の出来事を書き連ねたり、お茶会のお誘いについて今度王都に寄った際、参加させて欲しいなどの返事を丁寧に書いていくのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は4月11日になりますのでよろしくお願いします。

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