325話
「え~?どうしたんですか~...ってなんですかこれ~!?」
コウの反応にライラはどういうことなのか分かっていなかった様子であり、首を傾げて不思議方な顔をしていたが、自身の手のひらが少しだけ視界に入ると赤いオーラに包まれているのに気付いたのか、時間差で同じように驚き出す。
「ライラも分からないのかよ...」
「分かるわけないじゃないですか~!私は知らないですよう〜!」
まぁ本人も驚いているということは、ライラの意思で出しているものではないようで、何が起こっているのか分からないらしい。
じゃあこの赤いオーラは一体なんだろう?と少しだけ考えてみると、思い当たる節が1つだけあった。
それはレヴィエールの言っていた贈り物である。
もしかしたら贈り物というのはこの赤いオーラ関係するのではないだろうか?
だとするなら詳しく聞いておけばよかったと思ってしまうのだが、今更聞こうと思ったところで既にレヴィエールはいない。
またあの時は贈り物について聞くという考えすら至ってはいなかった。
「コウさん~...何とかして下さいよう~...」
「そう言われてもなぁ..何かしら体調の変化とかは無いのか?」
「う~ん...特にはないですけど~...」
一応、赤いオーラに包まれているライラに体調などの変化は無いかどうか聞いてみると、特に問題は無いらしいので、もしかすれば害のあるものではないのかもしれない。
そしてライラと言葉を交わしていると、徐々に身体を包み込んでいた赤いオーラは薄っすらと消えていってしまう。
「お~?なんか勝手に消えてきました~何だったんでしょうか~?」
「どうして赤いオーラが出てきたのか本当に意味が分からんな...」
赤いオーラが現れた原因は結局分からず終いであり、うんうんと頭を悩ませていると部屋の扉からコンコンとリズムの良いノック音が聞こえてくる。
部屋の外の人物を待たせるのも良くないため、とりあえず扉を開けると、そこにはライラと同じように修道服を着こなすシスターが立っており、ペコリと綺麗な会釈をしてきたため、つられて同じように頭を下げてしまう。
「すみません。お邪魔でしたか?」
声質を聞く限り、先程コウを呼んでいた人物で間違いない様で、部屋の外までライラとの話し声が聞こえていたのか途中で水を刺してしまったことに申し訳なさそうにしていた。
「いや別に問題ない。何の用なんだ?」
「今回の件について上部の方々がお礼をしたいとのことです」
どうやら今回、多くのシスター達を助けたことによって聖都シュレアにある大聖堂のお偉い方々まで話が通り、コウへお礼をしたいということであった。
しかし多くのシスターを助けたと言っても、ライラを助け出そうとした結果、ついでとして救ったという形なので、そこまでお礼をされるようなものではないような気がしないでもない。
とはいえお礼として何かを貰えるのであれば貰ったほうが良いのは確かである。
「じゃあライラ。俺は少し出掛けるから留守番を...うおっ!また赤いのが出てるって!」
そんな迎えに来たシスターと雑談を交えながら仲良さげに会話をしていると、再びライラの全身は赤いオーラの様なものに包まれていた。
「もぉ~これ何なんですかね~?」
ライラは既に赤いオーラが勝手に出てきてしまい、コントロールすら出来ないことに少しだけ嫌なのかムッとした表情になっている。
それにしてもこの赤いオーラの発生条件の様なものがさっぱり分からないし、どんな効果があるのかも分からない。
今のところ分かることといえば、コウが何処かに行こうとするとこの赤いオーラが出てくるので、ライラと何かしらでリンクしているものなのだろうか?
「まぁいいや...とりあえず俺は大聖堂に行ってくる」
急ぎではないのだが、大聖堂に呼ばれていると言うこともあり、ライラに気を取られ、偉い人達を待たせるのも良くない筈であるため、コウは赤いオーラの発生条件の解明を諦めて一旦、大聖堂に向かうことにした。
「じゃあそういうことだからライラは留守番しながら赤いオーラがなんなのか色々と試しておいてくれ」
「えぇ~!そんなぁ!私を置いていくんですか~!?」
「一応怪我人だったんだからしょうが無いだろ。行くぞフェニ」
「キュイ!」
赤いオーラを身に纏った不満げなライラを孤児院の一室へ置き去りにしつつ、コウとフェニは迎えに来たシスターに付いていき、外に止めてあった馬車に乗り込むと、そのまま聖都シュレアの中心部にある大きな大聖堂へと向かうのであった...。
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