314話
「なんでチェルシーが王都にいるんだ?孤児院にいる筈じゃあ...」
色々と聞きたいことはあるが、とりあえず聖都シュレアにいる筈のチェルシーが何故、この王都にまで来ているのか気になったのでコウはどうして王都にいるのか聞いてみることにした。
「実は聖都シュレアから逃げてきたのです...」
「ん...?一体どういうことなんだ?」
するとチェルシーは重い口を開き、ぽつりぽつりと騒がしい王都の街中で喋り始めると、どうやら聖都シュレアから逃げてきたと言われ、意味がわからず聞き直してしまう。
深く話を聞いてみると、どうやら今の聖都シュレアではシスターが行方不明になるといったことが多々あるようで、行方不明になった他のシスターと同様にチェルシーも攫われたらしい。
ふむ...なんだかその話を聞くだけで、何だかどこか見に覚えのあるような話という気がしないでもない。
そしてそんなチェルシーが攫われ、監禁されていた場所は聖都シュレアから東側に少し外れた場所にボロボロに風化した小さな古城であり、そこには他にも攫われたであろう多くのシスターが集められていたとのこと。
集められたシスターの中には各地に散らばっている者もいたようで、そのシスター達には宛名の分からない謎の手紙が送り届けられていたようだ。
手紙の内容的には人それぞれ違うようだが最終的には聖都シュレアに集まるように書かれていたと言っていたらしく、その手紙に騙されたシスター達は聖都シュレアへ急いで戻って来た結果、捕まってしまった者が多かったみたいである。
そういえば数日前にライラも宛名が分からない手紙を受け取っているので、もしかしたら届けられた手紙を開き、同じように聖都シュレアへ向かったのかもしれない。
まぁこの世界では基本的に情報の伝達が限られているため、騙されてしまう人が多いのだろう。
それにしても何故、そんなにシスター達を一箇所に集めているのだろうか相手の目的が分からない。
「なるほどな...どうやって逃げてきたんだ?」
「他にいる方々から助けを呼ぶようにと何人かのシスターと一緒に逃げさせてもらいました」
どうやらシスター達の中にもライラと同じくそれなりに力を持ったものがいるらしく、チェルシーはその力を持ったシスター達のお陰で何とか監禁されていた檻から逃げ出すことができ、助けを呼ぶためにわざわざ王都へ来たようだ。
「助けを呼ぶなら聖都シュレアの大聖堂にでも行けばよかったんじゃないか?」
「私が戻れば孤児院がどうなるのかわかりませんでしたから...それに聖騎士達の方も既に動いてるという話は他のシスターに聞いていたので」
こんな聖都シュレアから遠い王都までわざわざ足を運ばなくても良かったのではないかと思ったが、戻ったとしても孤児院が危険に晒される可能性があると考えてそれを避けるためにチェルシーは王都へ来たらしい。
しかしその行方不明になるという話は明らかに王都を中心に各地で起きていた新人の女性冒険者達が攫われるといったことと酷似しており、手口は違えど実行犯は裏ギルドの人物だろうし、あの時逃げられた3人組が関わっている可能性は高いかもしれない。
もしあの3人組が関わっているとするならば流石にコウ1人では手に負えない件なので王都のギルドマスターであるディザーやローランのジールに報告しておいたほうが無難かもしれない。
あの3人組...というかその内の1人はディザーやジールにとって因縁がある関係ということなので話をしておけば確実に力になってくれる筈であるのは間違いないからだ。
「大体事情は分かった。だったら冒険者ギルドの偉い人と一応顔見知りだし」
「本当ですか!?でしたら是非お願いします」
「じゃあ案内するから着いてきてくれ」
チェルシー1人だけ冒険者ギルドへ行ったとしても話は聞いてくれるだろうが、他の国ということもあってそこまで迅速に対応してくれるとは思えない。
そのため、コウはBランクの特権を利用してギルドマスターであるディザーに直接会って、今聞いたばかりの内容を話したほうが良いだろうと思い、貴重な睡眠時間を犠牲にして王都の冒険者ギルドへチェルシーを案内することにするのであった...。
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