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306話

「ここも久しぶりだな」


 コウは冒険者ギルドに到着すると木製の扉に手を掛け、軋む音を出しながら木製の扉を開くと、冒険者が依頼を受けに来るピークの時間帯は過ぎ去っているのか、職員達はのんびりとしているようだ。


 そんなのんびりとしている職員達の中には見慣れた顔であるサーラもいるが、珍しく手に持っている書類に向かって睨めっこしているようで、真面目に仕事をしていた。


「しっかり仕事をしてるみたいだな」


「わっ!って...誰かと思えばここ最近ギルドに来なかったコウさんじゃないですか!」


 仕事に集中しているサーラへ声をかけると、まさか話しかけてきたのがコウだと思っていなかっためか、驚きの表情を浮かべ、睨めっこをしていた書類が机の上にヒラヒラと散らばってしまった。


「まぁメークタリアって場所に行ってたからな」


「メークタリア...あぁ魔道具が発展しているところですね!もしかしてお土産があったり...」


「すまん。サーラのために買ってこようと思ってなかった」


 期待するような眼差しで、お土産があるのではと思っているだろうが、残念なことにコウはお土産を買おうと思ってすらいなかったことを伝えると、サーラは机の上で両腕を置いてそのまま頭を(うず)めると、シクシクという声を出しながら、あからさまな嘘泣きを始めだす。


 うーんまぁ...確かに知り合いといえば知り合いだし、いつも色んな依頼を教えてくれたりとお世話になっているサーラであるため、お土産の1つでも買ってくれば良かった気がしないでもない。


「あー...まぁかわりと言ったらあれだけど今度飯でも奢るから」


「本当ですか!?でしたら魔食堂でお願いします!約束ですよー!?」


 何かをご飯を奢ると言うとサーラは嘘泣きをすぐにやめて、両腕に埋めていた頭を上げると、ニコニコとした表情に変わっていた。


 むぅ...なんとも現金な受付嬢である。


 そんなことよりもこの冒険者ギルドに来た目的はサーラと食事の約束することではなく、溜まっているであろう手紙をもらうことであることをコウは思い出す。


「そういえば俺宛の手紙とかってあったりするか?」


「手紙ですか?コウさん宛なら幾つか届いていましたよー。確かここに...」


 手紙が届いているかどうかについて確認してみると、やはり1週間以上もローランを空けていたためか、手紙が何通か溜まっていたようで、サーラから質の良い紙の封筒を受け取ると念の為、無くさない様に収納の指輪の中へ仕舞っていく。


 封筒の質や封蝋などを見る限り、いつもイザベルから送られてくる封筒と同じなので、誰からの手紙なのかについてはすぐに分かった。


 とりあえず今日の夜、就寝前にすることはイザベルから送られてきた手紙を読んで、翌日の朝から手紙を送るために、ここ最近の身の周りの事についてを記した手紙を作ることなのかもしれない。


「ちなみにコウさんは今日にでも依頼を受けたりしないですか?」


「いや受けるつもりはないけど...」


「むぅ...そうでしたか。受けてもらいたい依頼があったんですけどしょうがないですね」


 どうやらサーラは何かしらの依頼をコウに受けて欲しかったらしく、最初に断りを入れるとなんだか残念そうにしていた。


「どんな依頼なんだ?」


 流石にメークタリアから拠点としているローランへ戻ってきたばかりということなので、早々に依頼を受ける気はコウにはなかったが、話を聞くぐらいならいいだろう。


 また今すぐに受ける必要がなく、ゆっくりしてから別日に受けることが可能ならば、ライラに話して意見を聞いてからサーラがコウ達にお願いしたい依頼を受けれなくもない。


「いえそこまで難しい依頼ではなくてとある薬草を取りに行って欲しいのです」


 詳しい話を聞いてみるとここ最近のローランでは少しづつ、とある流行(はや)(やまい)が出てきたらしく、その流行り病の特効薬を作るために必要な薬草を取りに行って欲しいとのことであった。


 何故、サーラがコウにその話を持ってきたのかというと、そこらの冒険者が薬草を取りに行った際、収納の袋や指輪という魔道具を持っていないので、大量に必要な薬草を持ち帰ることができないのだ。


 その点、コウとライラはそういった大量の薬草を持ち運べる魔道具を丁度持ち合わせていたため、白羽の矢が立ったのだろうか。


 またそれ以外にも理由があり、収納の指輪は劣化などを防ぐことが出来るため、劣化しやすい薬草を貯めることができるという利点もあるからだったりする。


「わかった前向きに考えておく。ライラにも聞いてみないと分からないし」


「急ぎではないですがもし受けてくれるなら嬉しいです!」


 まぁライラにサーラから聞いたことを話し、依頼を受けるかどうかを聞いたとしてもきっと誰かのためになるようなことなら率先して受けようと言うような気がしないでもない。


 とりあえず夜になるまではライラと会わないだろうということで、コウはローランをぶらつきつつ、サーラからの話とイザベルからの手紙を持ち帰ることにしたのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は1月30日になりますのでよろしくお願いします。

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