304話
暫くベン達とのんびりロロルが行っている作業を見ながら待っていると、ある程度、魔力炉の穴を塞ぎ終わったのか高い場所に登っていたロロルがパイプにしがみつきながらズルズルと降りてくる。
「ふぅ...とりあえずある程度の穴は塞ぎ終わったのだ」
「お疲れ様ロロル。魔力炉については君にしか任せられないから助かるよ」
「お立てても何も出ないのだ!」
ベンは労いの言葉を掛けるとロロルは褒められ慣れていないのか、それとも素直じゃないのかは分からないが、そっぽを向き返事を返していた声色は何だか嬉しそうなものであった。
「コウ君達も魔石を譲ってくれてありがとうね」
「魔石が無ければ直せなかったから本当に助かったのだ!」
コウとしては普段使い道のなく、お金にしかならない魔石を譲るだけで魔道具を直してくれるような場所やツテの繋がりを作ることが出来たため、これはこれで十分な収穫と言える。
「お互い様だからな」
「それじゃあ自動昇降機が動いてるか確認にでも行こうか」
現状、魔力炉から繋がっているパイプラインの穴はある程度、補修が完了しているが、それでも実際に魔塔内の魔道具達が動いていることを確認しないといけなため、この場を後にしてコウ達は上へ向かうこととなった。
そして元着た道を戻り、上の階層に辿り着くと自動昇降機は問題なく動いており、他の研究者達は魔塔内で再び魔力が使えるようになったことで、魔道具の実験などを再開しようあれこれ準備をしていた。
これではせっかくロロルが魔力炉の補修が終わったということなのに再び、大量の魔力を消費してしまうと先程と同じように魔力炉がパンクしてしまうと思ったベンは研究者達を集め、なるべく使いすぎないと注意していく。
とはいえ、研究者達にこれから魔塔内の魔力を使わないように注意したところで一過性のものであるだろうし、いずれは同じように使いすぎてしまう気がしないでもない。
その際はきっとロロルが再び荒れ狂い、ベンに八つ当たりの矛先が向けられるだろうが頑張って欲しいところである。
ということで色々とあったが早いもので時間帯は既に夕方頃となっており、魔塔から見える街並みや魔塔の中を一通り見物することが出来、満足したコウ達はそろそろ自身達の宿に戻ろうと思っていた。
「じゃあそろそろ帰るか」
「そうですね~お腹が空いてきました~」
「だったら馬車で送ろうか。ミリー頼んでもいいかい?」
「畏まりました。では馬車を用意して参ります」
魔塔から宿までそれなりの距離があるためか有難いことに送ってくれるようで、ベンが自身のメイドであるミリーに指示を出すと手早く馬車を用意してくれたので、なんとか宿の夕飯には間に合いそうである。
また魔塔から出ると最初にベンから手渡されていた銀色で細かな装飾が施された腕輪を馬車に乗り込む前に取り外し、元の持ち主であるベンに手渡す。
すると魔塔にあった入口はぐにゃりと曲がり、まるで夢であったかのように再び入口のない魔塔へと姿形を変えていく。
「悪いな馬車まで用意してくれて。ロロルによろしく言っといてくれ」
「あぁ分かった僕から言っておくさ。また魔塔に来る際は歓迎するよ」
コウ達は魔塔の前に用意された馬車に乗り込みながらベンと別れを済ませ、席に着いてからミリーに今泊まっている宿の場所を伝えると、馬車はゆっくりと進み出し、目的地へ向かって街中を走り出す。
そして暫く馬車に揺られつつ、今日の夕食はなんだろうと話ながら窓の外を眺めていると、走っていた馬車は徐々に速度を落としていき、窓の外の景色が止まるので目的地である宿に到着したようであった。
宿に到着した旨を伝えられたので、コウ達は馬車から降りてお礼を言うとそのまま御者をしているミリーはペコリと頭を下げて、そのまま来た道を戻るように馬車は動き出したため見送ると、すれ違いで別の馬車がコウ達の前に止まった。
「おや?コウさんではないですか。お帰りですか?」
「ルーカスも同じみたいだな」
「えぇ丁度商談が終わりまして。商談も上手くいきましたので準備が出来次第ですが何時でもローランへ帰ることが出来ますよ」
馬車に乗っていたのはルーカスであったようで、どうやら商談は無事に上手くいったらしく、明日にはこのメークタリアを発つことが出来るとのことであった。
コウ達もある程度の観光などは既に済んでおり、帰ることに関しては特に問題ないため、何時でもローランへ帰ることが出来る旨を伝えると、ある程度準備をしてから明日このメークタリアを発つこととなった。
そして明日から再び長い旅路なるということで、英気を養うために宿で夕食を済ませるとコウ達は各々自室へ戻り、明日に備えてゆっくりと身体を休めるのであった...。
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