表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
287/746

287話

 ルーカスから相談があるということでコウ達は再び開店前の店の中にある応接間まで案内され、柔らかなソファーに座ると、人数分のお茶とお菓子をそっと机の上に用意される。


「で...一体相談ってなんなんだ?」


「相談と言うか指名依頼をお願いしようと思っていまして」


 用意されたお菓子を摘み、お茶を飲みながらとりあえずルーカスの相談をしたいということについて詳しい話を聞いてみると、それは指名依頼をしたいという話であった。


 とはいえ引き受けるかどうかに関してはどんな依頼なのかを聞いてみない限り、頭を縦に振ることは出来ない。


「依頼は良いんだけど何をするんだ?」


「護衛依頼になりますね」


 護衛依頼にしても様々な内容があり、例えば誰かに狙われているから護衛してくれだとか、他の街に行って商品を仕入れたり、新規の顧客を獲得したいからそれまでの旅を護衛してくれなどだ。


 ルーカスと言えば魔道具店を大通りに構えているため、他の魔道具を扱っている者達からやっかみがあったりして狙われたりしているのだろうか?


 それとも新しく何かしらの商品を仕入れたり、新規開拓をするのかもしれないので、今度は詳しい依頼内容を聞いてみることにした。


「詳しい内容は?」


「魔導国メークタリアへの護衛をお願いしたいのです」


 魔導国...なんちゃら?過去に少しだけ周囲の土地を勉強したりしたが、聞いたことのない国の名前だ。


「ライラは知ってるか?」


「魔導国メークタリアは確かシュレアとアルクの間にある国でしょうか~?」


「お詳しいですね。魔導国メークタリアは魔道具の国とも言われております」


 まぁ名前からして何となくだが、魔法や魔道具が発展している国だということは分かっていた。


 ふむ...聖都シュレアやダンジョン都市アルクの近くならば、今までの経験上大体3日か遅くとも4日の移動となるだろうか。


 その魔導国メークタリアに暫く滞在すること、そして帰りのことを考えると、大体1周間以上の旅になってしまう。


 となると今泊まっている小鳥の止まり木から部屋を引き上げないといけないので、なんだか面倒ではあるが、どんな国でどんな発展をしているのかを見てみたい気持ちもある。


「でもなんで俺達なんだ?他にも冒険者はいる筈だけど...」


 コウが言った通り、ローランには少なからず他にも頼れそうな冒険者は多いため、別にコウ達ではなくとも良い筈だ。


 だというのにコウ達にわざわざ指名依頼をするのは何故だろうか?


 ルーカスは知り合った中でも一番古い人物に近しいがそこまで親しいと言えばそうでもない。


「我々商人の耳にも活躍が届いていますし何よりダリアから話を聞いておりますから」


 あぁなるほど。ルーカスは自身の一番弟子であるダリアからコウ達の活躍を聞いていたりしているらしく、今までの依頼達成率と合わせてそれなりに信頼をしているみたいである。


「なるほどそういうことか。じゃあ依頼報酬は?」


 大体の事は把握できたので、護衛の報酬は魔道具関係だと大体予想はついてしまうが、ルーカスに一応確認しておくことにした。


「魔道具関係になりますでしょうか。要望が御座いましたらお聞きしますが...」


 やはりというか魔道具が今回の依頼報酬であった。とはいえ欲しい魔道具があるかどうかと言われると正直言って今現在あまり欲しいものは無い。


 とはいえ無償で依頼を受けるのは損してしまうだけなので、まず選択としてはあり得ない。


「今欲しいものはあんまりないんだよなぁ」


「そう御座いますか...できれば実力のある方に護衛していただきたいのですが...」


 いや...欲しい物が無いことはないのだ。


 例えば以前、イザベルの別荘に招かれた時の以来、コウも別荘があったらなぁと思うし、ずっと宿の部屋を借り続けるよりかは拠点となるような場所を持っておいたほうがいいだろう。


 まぁ実際には今回の依頼報酬にしては高すぎるし、例え拠点や別荘を持つことが出来たとしても現状の収入では必死に依頼をこなさなければ維持管理が出来ないので、流石に現実的とはいえないだろう。


 そのため欲しい物が今は無いというとルーカスは残念そうに頭を垂れるが、別に魔導国メークタリアに行ってみたい気持ちもあるため、依頼を断るわけではない。


「だったらまた後で決めるのはどうですか~?」


「あー...それでも良いかもな」


 確かにライラの言う通り、ギルドマスターであるジールから依頼を受けた時は報酬を後回しにして最終的に寝具が欲しいとなったので、それもありかもしれない。


 もしかしたら魔導国メークタリアに行った際に欲しい魔道具が見つかるかもしれないし、旅の途中で欲しい物が出来たりするかもしれないのだから。


「別に依頼を受けてもいいぞ。そのメークタリアだっけか?行ってみたいからな」


「おぉ!また引き受けてくれる方を探すところでした。依頼を引き受けていただき誠に感謝致します」


 残念そうに首を垂れていたルーカスはコウの引き受けるという言葉を聞くと、下がっていた頭がすぐに上がり、安堵した表情で感謝をしていた。


 とはいえすぐに魔導国メークタリアに向かう訳ではなく、まず冒険者ギルドへ依頼をして更にコウ達を指名しないといけないとのこと。


 そしてお互いに話をすり合わせつつ、条件を煮詰めていき結果として、馬車の手配や物資の準備などに数日掛かるということらしい。


 そのためコウ達は一旦、隣にある小鳥の止まり木という宿に戻って数日間かけて同じように旅の準備をし、ルーカスの準備が終わるまでのんびりと待つのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は12月23日になりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ