表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
273/748

273話

 倒した巨大なザリガニを回収したコウ達一行は疲労困憊(ひろうこんぱい)の状態であるジャン達を手助けしながらローランにある冒険者ギルドへ夕方になる前に無事戻ることが出来た。


 今回ザリガニの魔物が殆どコーラスフロッグを食い散らかしたものの、最初はジャン達が討伐しており、討伐証明できる素材を持っていたため、依頼は成功ということになったらしい。


 とはいえ精霊玉の加工を今からお願いするのは流石に酷だと思ったコウは翌日、リリアと会うことを約束し、一旦冒険者ギルドで別れることとなる。


 因みにあの倒した巨大なザリガニの名称はマッドロブスターと言ってほぼBランクの魔物に近いが一応Cランクの魔物の扱いらしく、ここら辺では中々に見かける魔物ではないらしい。


 とりあえずマッドロブスターを解体したいところではあるが、コウ自身、魔物の解体は苦手な分野ということなので冒険者ギルドの隣にある解体倉庫を尋ねることにした。


 解体倉庫を尋ねるとそこにはいつもお世話になっているオーバーオールの作業着を着たレグルが立っており、どうやらコウが来たことに気がついたようで片手を上げて挨拶をしてくる。


「ようやく来やがったなコウ坊」


「久しぶりだなレグルのおっさん。元気そうじゃないか」


「まだおっさんじゃねーっての!ったく...解体だけ頼んでロックドラゴンの素材を放置しやがって」


 そういえばこの解体倉庫へ一番最後に来たのはBランクになるための試験の際にロックドラゴンの討伐証明だけ急ぎで欲しくて爪だけを貰った時以来だった気がする。


 ただ解体されたとしても頼んでいた事自体を忘れていたため、受け取らずそのまま放置したままだったのを今になって思い出した。


 まぁあれからというもの中々、解体倉庫に来る機会はあまり無かったし、獣人の国や王都、またイザベルの別荘など色々な場所を飛び回っていたため忙しかったのだからしょうがと言いたいところではある。


「どれもこれも素材としては一級品だしどうするんだ?」


「いや...素材は全部ギルドに売っといてくれ。持って帰っても使い道がない」


「あいよ。じゃあまた冒険者ギルド経由で売っとくからお金は貰っておけ」


 一応、解体倉庫でバラした魔物の素材は売却もしくは持って帰るという選択肢があり、持って帰って特注の武器や防具をプロに頼んで作ってもらったり、イザベルのように拠点があるものは家に飾ったりする者もいたりする。


 どうやら以前持ってきた素材はどれもこれも一級品の素材ということでギルドには売らず、念のため使うかもしれないと思い、解体倉庫側で大切に保管しておいてくれたらしい。


 ただコウにとっては武器や防具は現状でこと足りているし、拠点などを持っていないので飾る場所もなく、お金に変えてしまったほうがマシということで、全て売り飛ばすことになるわけでして。


「ところで今日は何の用なんだ?どうせ何かの解体なんだろ?」


 なんとまぁ勘が鋭いことだ。収納の指輪に仕舞い込んでいたマッドロブスターを取り出す前に話を切り出され、レグルからはジトっとした視線が向けられる。


「どうせ暇なんだからいいじゃないか」


「ゔっ...まぁまぁ...とりあえず大きさは?」


 解体倉庫内を見渡す限り、働いている者達は談笑したり、のんびりしているため暇なのではないかとちくり小言を刺すと図星だったらしく話をずらしてきた。


 まぁ解体倉庫を経由して冒険者ギルドに素材を売った際、手数料や手間賃を取られるので、利用をする冒険者は少ないのか仕事が少ないのだろう。


「ん〜わからんけど大きい」


「わからんならとりあえず前と同じ部屋にしとくか...ついてきな」


 レグルの後をついていくと、そこは前回ロックドラゴンを出した部屋と同じ場所に案内され、今回討伐した魔物を出すように促されるので、コウは討伐したマッドロブスターを収納の指輪から取り出していく。


「おぉ!こいつぁマッドロブスターじゃねぇか!」


「流石は色んな魔物を解体してるだけあって魔物の知識がすごいな」


「あったりめぇよ。こいつの身は焼いたらうめぇんだ」


 ほぅ...あの魔物はそんなに美味しいものなのか。実際にザリガニ似た生き物は口にしたことはないため、美味しいのかどうかはわからなかったがレグルが言う限り、美味しいらしいので少しだけ楽しみである。


 またあそこまで大きい個体ならばだいぶ身は取れる筈であり、普通ならば腐ったりするのだが、収納の指輪の中に入れておけば腐る心配もない。


「じゃあ身以外は必要ないから売っといてくれ」


「わかった。甲殻とかは売っておけばいいんだな」


 念のため、レグルにマッドロブスターの身を冒険者ギルドに売らず、それ以外の素材を売っておいてと頼んでおくことにした。


 これでマッドロブスターの身を間違って売ることはないだろう。


「明日には解体は終わってるから早めに身を取りに来いよ」


「ん...わかった」


 どうやら仕事が無く暇なため、解体は今から取り掛かるらしく明日には終わっているということなので、リリアに会うついでに解体された身を受け取りに来ればいいだろう。


 また冒険者ギルドにも今まで大切に保管してくれた素材やこれから解体されるマッドロブスターの素材をすぐに売ってくれるはずであり、ここ最近で減った懐具合も一気に解消できるため一石二鳥...いや一石三鳥である。


 ということで解体倉庫のレグルにマッドロブスターを託した後は泊まっている宿の小鳥の止まり木へ一旦戻って、翌日のリリアに会う時間まで身体を休めるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は11月25日になりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ