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254話

「なんで俺達は服屋に...?」


 王都に到着したコウ達は商人であるダリアから護衛の報酬である金貨を貰った後に別れ、白薔薇騎士団の屋敷へと戻るのかと思い、王都内を歩いていたのだが、何故か服屋の前で立っていた。


「コウさん~海に行くのですから必要なものがあるじゃないですか~」


「そうですよ。"水着"が無いと海に入れないじゃないですか」


 確かに水着がなければ海に入れない。


 いや...まぁ入れなければ入らなくてもいいのだが、海へ行ったら十中八九(じゅっちゅうはっく)、波際まで連れて行かれ、濡れることになるので買っておいたほうが良いだろう。


 コウもルガルの街で寝間着などは購入することが出来たのだが、水着などを買っている訳もないということで、水着が売っているという王都の服屋へと訪れていたのだ。


「では~入りますよ~」


「ちょっ...押すなって」


 ライラに背中を押されつつ、服屋の中へと入ると男性物や女性物の水着が多く並べられており、値段もそこまで高くはないようだ。


 中には布の面積が少ない奇抜なデザインの水着もあるが、果たしてそんなものを一体誰が選んで着たりする人がいるのだろうかと疑問に思ってしまう。


 コウとしてはそんな奇抜なデザインをしたものを選ぶ気はないので無難な灰色をしたパーカータイプの水着上下セットを購入し、収納の指輪の中へと仕舞い込んでいく。


「あれ?そういえばあの2人はどこ行ったんだ?フェニは知ってるか?」


「キュイッ!」


 先程まで近くの水着を見ていた筈なのに、いつの間にかイザベルとライラは近くにおらず、何処へ行ったのか頭の上に乗っているフェニに尋ねると片翼を上げて店内の奥へ示しだす。


 そこにはカーテンが取り付けられた個室のようなものが3つほどあり、中の様子は分からないが2つの個室がカーテンで閉められているので、きっと水着の試着でもしているのだろう。


 だったらと長丁場になるだろうと思い、近くにあった誰もいない休憩用のソファーへと座り、目をつぶって旅の疲れを癒やしていく。


 それから約5分ぐらい待っていると試着が終わったのかカーテンが開く音が聞こえると同時にイザベルとライラの2人が数着の水着を持ちながら試着室から出てきた。


「ライラさんは決まりましたか?」


「ん~もう少し選びたいですね~」


 ようやく終わったのかと思い、重い腰をソファーから腰を上げようとすると水着が決まっていなかったらしいので、まだソファーでゆっくり出来るようだ。


 まぁあの2人の買い物なのだから長時間になることは目に見えていることではあったので、再び目をつぶると日々蓄積されていた疲れによってなのか意識が泥沼の中へと落ちてゆく。


「コ...さん...コウさん起きてください」


「んぁ?」


「買い物が終わったので行きますよ」


 仮眠しているといつの間にか2人の買い物が終わっていたみたいで、コウは肩を揺らされ、眠たい目を片手で擦りながら起きると、目の前で顔を覗き込むように立っている2人の姿が視界に映り込む。


「ふわぁ~あ...じゃあ行くか。そういえばどんな水着を買ったんだ?」


「んーそれは内緒ですね。お楽しみということで」


「良いやつにしたので楽しみにしておいてください~!」


「あ~まぁ楽しみにしておくさ」

 

 いつもならどれが良い?とか相談されたり、見せびらかしてきたりするのだが、今回はいつもと違って海に行ってからのお楽しみということで、2人の腰についている収納の袋へと仕舞い込んでいるようだ。


 白薔薇騎士団の屋敷へ一旦戻るため、服屋から外に出ると何故か馬車が待機しており、御者の席には1番隊隊長であるエリスが座っていた。


 王都で誘拐事件が起きていた時、イザベルの指示で色々と仕事を任されていたらしいので、なんだかエリスを久しぶりに見た気がする。


「イザベル様。このエリスがお迎えに上がりました!」


「エリスありがとうね」


 それにしてもいつの間に馬車を呼んでいたのだろうか?


 まぁ店の前にずっと馬車を置いておくのも通る人達や店に入る人達の迷惑になるだろうし、とりあえず馬車の中へ乗り込んでいくとエリスが馬に向かって鞭を打ち、ゆっくりと馬車は動きだす。


「そういえばいつ馬車を呼んだんだ?」


「偶々団員に見られていたようで馬車を呼ばれてしまいました」


 どうやらコウが仮眠している時、服屋内に偶々水着を選びに来た団員がいたようで、その団員が帰ってきたイザベル達に気づいてすぐに白薔薇騎士団の屋敷まで馬車を呼びに行ってしまったらしい。


 本来ならイザベルはもっとゆっくりと王都内を歩きつつ、屋敷まで戻りたかったようだが、それが出来なかったために少しだけ残念そうに小さくため息を付いていた。


 そして馬車内で今後の予定について話していると、ようやくゆっくり出来るであろう白薔薇騎士団の屋敷が小窓から見えてくるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は10月18日になりますのでよろしくお願いします

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