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248話

 あれから鍛冶師であるダルガレフにレイピアを預けて2日の時間が経つ。


 この2日間に何をしていたのかというとコウ達はドワーフの国を観光していたが、物作りが好きな種族のためか意外にも多くの観光スポットが作られていたので、いつの間に2日という短い時間は過ぎていた。


 まだまだドワーフの国の観光スポットはあったりするのだが、とりあえず預けたレイピアの修復が終わっている筈なので、昼前頃からイザベルと共にダルガレフの元へ向かっていた。


 ちなみに今回もライラとフェニはあいも変わらず宿に引きこもっており、ライラに関してはこの引きこもり生活を意外と満喫しているようで、旅の前に購入した本の読書にハマっていたりする。


 そして商人であるダリアは中々にドワーフ達との交渉が上手くいかず四苦八苦(しくはっく)しているようなのでもう少し交渉に時間が掛かるらしい。


「それにしてもコウさんのお父様は色々なお知り合いがいますね」


「まさかドワーフと仲が良いと思ってなかったな」


「エルフにも知り合いがいるんじゃないんでしょうか?」


「いやいや流石にいないだろ...いないよな?」


 いないと思っているが実家から逃げ回り、ドワーフの国までふらりと立ち寄ってダルガレフと親しい友人になっているのだ。


 あのハイドのことなので、もしかしたらエルフの国にも立ち寄っていて友人がいたりしてもおかしくはない。


「おっ...見えてきた」


 暫くイザベルと話しながら歩いていると、遠目でも見えていた空高くまで伸びる黒い煙突を生えた鍛冶場へと到着した。


 そして入口周りにはダルガレフの弟子である鎧を着込んだドワーフ達がいつものように立っている。


 コウやイザベルの顔を覚え、またダルガレフからは丁重に対応するようにと教育されたためか最初に訪れた時のように絡まれることはなく、すんなりと鍛冶屋へ通された。


 鍛冶屋の中に入るとイザベルのレイピアを手に取ってじっくりと眺めているダルガレフの姿がそこにはあり、鍛冶屋内に入ってきたコウ達に気がついたようで「よっこいしょ」と年寄り臭いことを言いながら立ち上がる。


「丁度良い時に来たようじゃな。最後の確認も終わったぞい」


 どうやら今しがた修復したレイピアの最終確認も終わったらしく、両手で大事そうに抱えながらイザベルの元へダルガレフは持ってきた。


「ほれ。嬢ちゃんが大事にしているレイピアじゃ」


「直して下さってありがとうござます。何か困ったことがあればいつでも助力(じょりょく)しますので連絡を下さい」


「ガッハッハ!頼もしい嬢ちゃんじゃな!機会があればお世話になろうかのぉ!」


 ダルガレフは修復が終わったレイピアを手渡すと、受け取ったイザベルはヒビが入っていたであろう刀身部分をじっくりと確認し、納得したのか腰元にいつものようにぶら下げる。


「試し切りも出来るがやっていくかの?」


「良いのでしょうか?」


「勿論良いぞい。儂についてくるんじゃ」


 鍛冶屋の奥に向かって歩き出すダルガレフの後について行くと裏庭に通じており、そこではいつでも試し切り出来るように弟子達が着ている鎧に似た物が藁巻(わらまき)の代わりに何個も組み立てて置いてある。


「あの鎧ぐらいなら紙のようにスパッといけるはずだぞい」


 ダルガレフが言うには組み立てて置いてある頑丈そうに作られた銀色に輝く重厚な鎧を紙のように切れるくらいには研いで切れ味を仕上げているらしい。


 物は試しということでイザベルは組み立ててある鎧の前に立つと腰元にぶら下げたレイピアの持ち手をギュッと握り、スッと引き抜く。


 また風魔法も使用しているのか刀身の周りにはグルグルと小さな旋風(つむじかぜ)(まと)っていた。


 そしてイザベルは目を閉じながら深呼吸をし、息を整えると目にもの速さでレイピアを振り抜き、何度か風を切る音をさせると組み立ててあった鎧はバラバラに切り裂かれた状態になって地面へガシャン!と音を立てながら崩れ落ちた。


「凄い切れ味ですねこれは...以前私が使っていたレイピアとは段違いです」


「そりゃよかったわい!まぁ儂の腕に掛かればこんなもんじゃな!」


 流石ドワーフの中でも二大鍛冶師と言われている者が修復したということもあって、今まで相棒として共にしてきたレイピアではないとイザベルが疑ってしまうほどのようである。


 とりあえず試し切りも終え、レイピアも無事に受け取ったということで、これからどうするかをイザベルと話していると昼前ということもあってコウのお腹がグゥッと盛大に鳴った。


「なんじゃコウは腹が減ったのか?だったら儂がドワーフ料理を馳走してやるぞい!」


 どうやら隣に立っていたダルガレフの耳にはしっかりとコウのお腹の主張が聞こえていたようで手料理を振る舞ってくれるらしい。


 宿では一般的なパンやシチューなどしか出てこず、また観光をしていても郷土料理を出している店よりかはお酒を売りにしている店のが多く、他に見当たらなかったので確かに食べてみたい気持ちがある。


「いいのか?」


「ガッハッハ!勿論じゃ!儂の作るドワーフ料理は店を開けるほどじゃよ!」


「じゃあ食べていこうかな」


 店を出せるほどと豪語しているので料理の腕には相当な自信があるようだ。


 ドワーフ料理を振る舞ってくれるということなので、とりあえず裏庭から鍛冶屋の中へ戻ると入口方面からダルガレフの弟子達と誰かが口論している声が聞こえ、何やら騒がしい。


「全くあの馬鹿弟子共がまた騒いでおるのか...」


 ダルガレフはため息を付きつつ、怒るのかそれとも止めるのかわからないが鍛冶屋の入口へ向かおうと歩き出すと、扉が一気に開き、外で口論していたであろう弟子達と壊れた扉が一緒に吹き飛んでくるのであった...。




いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は10月6日になりますのでよろしくお願いします。

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