247話
コウ達はレイピアを修理するために必要だった目的の鉱石を手に入れたので、ダルガレフが待っている鍛冶屋へ戻ると入口の前には誰も立っておらず、あの鎧を着たドワーフ達はいない。
どうしたんだろう?と思いつつ、鍛冶屋の入り口から覗くように中へ入ると、サウナに入る時に似たムワッとした熱気が顔を包み込む。
そして炉の中には真っ赤に燃え上がる火が入っており、真っ黒に焦げた鉄が埋められた丸太の上でカンカンと一心不乱に赤く光る鉄を打っているダルガレフの姿が見えた。
またダルガレフの周りには入口の前に立っている筈の鎧を着たドワーフ達も立っており、弟子ということで、その一挙一動をしっかりと目に焼き付けている。
やはり職人の技術というものは見て目で盗むものなのだろうか。
というかあのドワーフ達は入口の前に立ってなくて良いのかという疑問はあるが、とりあえずダルガレフに声を掛けることにした。
「戻ったぞ」
「おぉう!びっくりしたわい!」
後ろからダルガレフに声を掛けると集中して気付いていなかったのか、びくりと肩を震わせながら驚き、手に持っていた小槌を落としそうになっていた。
「すまんがもう少しで終わるから奥で待っておいてくれい。おら馬鹿共弟子!お茶を用意してやれ!」
どうやら今のダルガレフは鍛冶をしており、手が空いていないためとりあえず奥の部屋待つように言われる。
そして奥の部屋にある椅子に座るとダルガレフの弟子達が慌てながらお茶を用意してくれたので、お茶を啜りながらイザベルと暫く談笑していると鍛冶が終わったのかダルガレフが額の汗を服の袖で拭いながらやってくる。
「待たせてすまんのう!とりあえず怪我も無さそうじゃな」
「いやこっちこそ仕事中に悪かった」
「なーにコウならいつでも来ても気にせんぞい!」
ダルガレフは会話をしつつ、コウの身体に怪我がないか全身をちらりと見ながら確認し、怪我が無いということが分かると一安心するような表情を浮かべていた。
「とりあえず鉱石を取ってきたんだけどこれで間違いないよな?」
「うむ。これで間違いないぞ」
収納の指輪からイザベルのレイピアを直すために必要という翡翠色をした卵形の鉱石を机の上に置いてダルガレフに確認すると、どうやら間違いないようなので、とりあえずこれで無事に直してくれるだろう。
「よし。今から直すからレイピアを出してくれい!」
「あーそのことなんだけど...タダで直してくれるのは申し訳ないし何か欲しいものはないか?」
とはいえタダで直してくれると言っていたが、流石に申し訳ないので何か他に渡せるものは無いかをイザベルとは先程話し合っており、対価として何か欲しいものはないかということを聞いてみることにした。
「そんなことを気にせんでもいいがなぁ...強いて言えば他に鉱石は拾ってないかの?とある事情で鉱石が足りんのじゃよ」
そういえば採掘場のドワーフ達から聞いていたもう一人の二大鍛冶師が嫌がらせとして鉱石を総取りしているということを思い出す。
それが原因でなのかダルガレフの手元には鉱石が足りていないらしい。
だからイザベルのレイピアを最初に鍛冶屋へ持ってきた時に直せなかったというのもあるのかもしれない。
「他に鉱石?あぁ色々と拾ったよな」
「私達に価値はわかりませんが沢山拾いましたね」
目的の鉱石以外に持っている鉱石といえば、あのモグラの魔物が背負っていた鉱石ぐらいだろう。
一応、鉱石ということで拾っていたがコウ達にとっては使い道がないためか現状、収納の指輪の肥やしになっているので別に対価として差し出すのに問題はなく、次々と鉱石を机の上に出していく。
「これで最後かな?」
「むおぉぉぉ!どれだけあるんじゃ!」
収納の指輪から全てを出し終わる頃には机の上に多くの鉱石が山のように積まれてしまいダルガレフの顔が見えなくなるが、しっかりと驚いてくれてはいるようだ。
「これで問題ないか?」
「十分すぎるわい!中には貴重な鉱石もあるが本当によいのか?」
「使い道が無いし別にいいよな」
「私的には問題ないですよ」
イザベルと共に魔物を倒し、手に入れた鉱石でもあるので譲っても良いか確認すると特に問題ないので、譲るとダルガレフは感謝をして弟子達にか鍛冶場へ持って行くように指示を出していく。
「ではダルガレフさん。このレイピアをお願いします」
「儂に任せておけ!完璧に仕上げさせてもらうぞい!」
またイザベルは腰にぶら下げている鞘に収まったレイピアをダルガレフへ頭を下げながら手渡すと大切そうに両手で受け取っていた。
「ちなみにどれくらいで直せるんだ?」
「ふぅむそうさなぁ...2日後ぐらいに来てくれれば終わっているはずじゃな」
どうやらレイピアを直すのには約2日程、時間が掛かるということなのでこの街を観光すれば丁度良いぐらいかもしれない。
観光も終わって何もすることがなければ再び採掘場に行ってダルガレフの求めている鉱石も取りに行っても良いだろう。
とりあえず時間帯も夕方頃になってきたということで宿に戻ってライラなどにもこのことを説明しないといけないし、食事の時間でもあるためコウ達は一旦、ダルガレフに別れを告げて、今泊まっている宿へと戻ることにするのであった...。
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