242話
ハーピー達の死骸を回収した後、あれからというもの他の魔物にも襲われず、ダリアの馬車でゆりゆられながら岩山を登り、ゆっくり進んでいるとダリアからようやくドワーフの国が見えてきたということを言われた。
ドワーフの国はどんな街並みなのだろうと期待に胸を膨らませ、窓から地平線の先を眺めるとそこには大きな岩山をくり抜いてモクモクと白煙を吐き出す何本もの大きな煙突が地面から木のように生えている街並みが見えてくる。
「おぉ...あれがドワーフの国か」
「職人の国って感じがしますね~」
「レイピアを修復できると良いのですが」
今回の目的はイザベルが長年相棒として扱っていたレイピアに入ったヒビを王都の鍛冶屋では完璧に修復できないということなので人間の国よりも遥か上の鍛冶技術を持つドワーフ達に修復してもらうべくこの国へ訪れたのだが、実際には修復出来るか出来ないかは見せてみないとわからない。
それがもしドワーフ達にも修復できないレベルであったら、それこそもう諦めて新しいレイピアを買うか特注で作ってもらわないといけないだろう。
そうこうしているうちにドワーフの国へ入るための城門へ到着したのか馬車がゆっくりと速度を落としていく。
そして馬車が止まったので窓から外を見ると鎧を着込んだドワーフが立っており、どうやら検問のようでコウ達はゆっくりと馬車から降りるとダリアが先に対応してくれていた。
「僕は商人で今回も色々と仕入れに来たっす!」
ダリアはイザベルやライラが持っている収納の袋と似たような形の腰袋へ手を突っ込んで、ごそごそと漁ると何やら鉄の板で作られた通行証のようなものを取り出し、それをドワーフへ見せつける。
「それを持っているということはお前は一度来たことがあるようだな。通れ」
そして城門を通り抜ける許可を得ていたのでコウ達も一緒に入れるのではないかと思いダリアの後ろについて行くと鎧を着込んだドワーフがコウ達だけを通せんぼするかのように間へ割って入られた。
「誰が通って良いと言った?お前らこの国は初めてだろう?入りたいなら通行料を払え」
「なんだ通行料って...いくらぐらいなんだ?」
「一人頭金貨5枚ってとこだな。まぁお前らみたい女子供が持ってるとは思わんが」
金貨5枚?流石にただ街へ入るだけなのに高すぎるだろうし、そもそも通行料などと言うものは他の街でそんな話は聞いたこともないのでドワーフの国特有のものなのだろうか。
確かにドワーフの国へ入ることができれば人族が作るような武器よりも品質が良い物を手に入れることができたり、修復してもらえたりとなんでもござれなのだが、それにしても傲慢なものである。
とはいえコウは金貨5枚という高すぎる通行料などは払う気さらさら無いのでブラスからお墨付きをもらっているミスリルナイフを取り出すことにした。
「これで街の中に入れてくれないか?」
「ふんっ...ミスリルナイフなんてものを見せられても...」
ミスリルナイフを最初に見せた時は鼻で笑いながらもドワーフは受け取って柄部分に掘られている名前が目に入った瞬間、徐々に顔色が青ざめていくかのように悪くなっていく。
そしてゴシゴシと目を擦り何度も手に持っているミスリルナイフの柄部分に掘られた名前を見返してはコウの顔を見るといったことをしていた。
「どうなんだ?それを見せれば入れるって聞いたんだけど」
「これを何処で手に入れた...?」
「父親から譲って貰った物だな」
「そうかそうか!いや~俺が悪かった!お仲間と皆で入ってもいいぞ!」
ハイドからの贈り物なのでここは素直にドワーフにこのミスリルナイフを手に入れた経緯を話すと先程の態度とは真逆に変わって、すぐに街の中へ入るための許可が下りる。
更にイザベル達もコウのパーティーメンバーということで一緒に入って良いらしく、1人頭金貨5枚という無駄なお金を使わずに済んだのは僥倖であった。
しかしこのミスリルナイフはブラスが言っていた通り、何処ぞの時代劇に出てくる印籠並みの効力を持っているため、すんなりと街へ入れたのはいいのだが、一体誰が作り上げた物なのだろうか?
まぁ何となく偉い人物ということはわかるがこんな便利な物を贈り物として貰っているハイドとの関係性が気になる。
もし父親であるハイドと親しい仲の者だとしたら一度会って話してみたいという気持ちが生まれてきた。
「聞きたいんだけど...このナイフを作ったドワーフは何処の誰なんだ?」
「なんだお前知らないで持ってたのか?あの2大鍛治師の1人ダルガレフさんだ」
「2大鍛治師...?」
門兵のドワーフに聞いてみると2大鍛治師と呼ばれているダルガレフという人物が作り上げたミスリルナイフとのこと。
また2大鍛治師というのはこのドワーフの国で最も鍛治の技術が高く、弟子が多い人物ということでかなりの発言力を持つというのを教えてくれた。
そのダルガレフというドワーフを訪ねたいため、居場所を聞いてみると街の中心部に白と黒の大きな煙突が2本空へ伸びているのだが、そのダルガレフというドワーフは黒い煙突が伸びている建物で鍛治をしているらしい。
とりあえず聞きたい話も聞けたということで先に入っていったイザベル達やダリアを追うように街の中へ入るとそこは鉄臭い男の街であり、カンッ!カンッ!と鉄をリズム良く打つ音がそこらにある建物の中から聞こえ、ルガルの街と違って今度は鍛冶屋が圧倒的に割合を占めていた...。
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